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2009年7月 6日 (月)

在宅医療は、住民の理解も必要 岩手

 誰が在宅医療を求めているのか。今の国の政策は、急性期の入院期間を短縮し、慢性期も追い出され、自宅に誘導されています。医療費の削減を家族のボランティアで補填している、という見方もあります。在宅の条件は、医療の提供だけではなく、家族の形なども見ていくことが必要です。

 岩手日報のSOS地域医療シリーズから

(4)チームもりおかの挑戦 理想の「在宅」目指す

 入院、外来と並び「第三の医療」と呼ばれる在宅医療。高齢化の進行を背景に、都市部でもニーズは高まっている。

 盛岡市の医療福祉関係者は2007年、理想の在宅医療を目指し、「team(チーム)もりおか」というグループを設立した。

 事務局の中田隆文理学療法士(44)=盛岡市・須藤内科クリニックリハビリテーション科長=は「医療は地域に向かっている。患者は大きな病院、小さな診療所、介護保険事業所の間を行き来しており、その間の連携が必要。地域全体で支える仕組みが求められる」と主張する。

 半年に1回程度、勉強会を兼ねた懇親会を開催。設立時は約40人のスタートだったが、今月中旬に開かれた懇親会には約120人が集まった。

 「緩和ケアの窓口をどうすればいいのか」「ケアマネジャーはプランを組む際、どのような注意を払っているか」。勤務医や開業医、介護施設のスタッフらが積極的に意見を交わす。

 盛岡市医師会指定居宅介護支援事業所の松田豊子・介護支援専門員は「介護は制度の変更が多く、ほかの事業所がどのように対応しているか気になる。そんな時にこのつながりが役に立つ」と話す。

 00年に介護保険制度が始まって以来、高齢者が受けるサービスは細分化される傾向にある。同制度がスタートする前は一つの病院内で、これらのサービスを受けられたが、医療費抑制の一環で長期入院を避けるため、国は「在宅」へとかじを切った。

 しかし、老老介護、介護分野の人材不足などで、シナリオ通りに進まない。特別養護老人ホームの待機者はいっこうに減らず、行き場を失った高齢者を支える家族の負担は増す一方だ。

 チームもりおかの一員、かわくぼ往診センター(盛岡市津志田、坂正毅(まさたか)所長)は、市内に二つある往診専門診療所の一つ。1カ月に約80人の患者を診察しており、現在はこれ以上、患者を受け入れる余裕がない。

 坂所長(71)は「在宅医療は地域に入院ベッドを置くようなもの」と説明、「往診専門の医療は今後ますます必要とされるだろう」と予測する。

 2週間に1回ほど、夫が診療を受ける高橋不二さん(73)は「わたし一人で病院に連れて行くのは無理。訪問診療がない生活は考えられない」と感謝する。

 団塊世代の高齢化で介護の必要性がますます高まる今後、チームもりおかの取り組みは地域医療を支える新たなモデルとして注目される。

 在宅医療とは 医師らが何らかの事情で通院が困難な患者の自宅を訪問し、医療行為を施す。医師による訪問診療のほか、看護師による訪問看護、理学・作業療法士らによる訪問リハビリ、歯科医師による訪問歯科診療、薬剤師による訪問薬剤指導などもある。医療だけでなく介護や福祉的なサービスが関係するため、その連携が重要とされる。

【写真=患者宅を訪れ、診察をする坂正毅医師(左)。「多くの事業所が連携することで、きめ細かな在宅医療を提供できる」と語る=盛岡市内】

(2009.6.26)

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