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乱読のススメ

  • 二木 立: 地域包括ケアと地域医療連携

    二木 立: 地域包括ケアと地域医療連携

  • 森田 洋之: 破綻からの奇蹟: 〜いま夕張市民から学ぶこと〜 これからの医療・介護の話をしようシリーズ

    森田 洋之: 破綻からの奇蹟: 〜いま夕張市民から学ぶこと〜 これからの医療・介護の話をしようシリーズ

  • 小松秀樹: 地域包括ケアの課題と未来 ~ 看取り方と看取られ方 (亀田総合病院地域医療学講座)

    小松秀樹: 地域包括ケアの課題と未来 ~ 看取り方と看取られ方 (亀田総合病院地域医療学講座)
    国の方針による地域包括ケアではなく、現場から、地域から、どう構築していくかを問う本です。基本的な医療政策、実態の推移(1950年代は、在宅死が82.5%)も紹介され、短い文章の集合体で、読みやすい本です。 (★★★★★)

  • 東京大学公共政策大学院 医療政策教育・研究ユニット: 医療政策集中講義: 医療を動かす戦略と実践

    東京大学公共政策大学院 医療政策教育・研究ユニット: 医療政策集中講義: 医療を動かす戦略と実践
    市民参加での医療政策作りが、1つの柱として据えられています。さまざまな立場(正確には、4つのステークホルダーの協働)での実践等が書かれ、読むべき本の1つです。 (★★★★★)

  • 30年後の医療の姿を考える会: メディカルタウンの青写真を語る

    30年後の医療の姿を考える会: メディカルタウンの青写真を語る
    すばらしい人の繋がりを感じます。これを地方でできるだろうか、30年後は地方で開催を、ではちょっと夢が小さいですね。新渡戸稲造も紹介されています。 (★★★★★)

  • : 病院 2015年 9月号 特集 自治体病院改革は成功するのか

    病院 2015年 9月号 特集 自治体病院改革は成功するのか
    ちょっと、突っ込みが足りない感じ。邉見さんの、新ガイドラインの受け止めの積極性が意外な感じもします。定価2,900円プラス消費税。図書館にあれば、読んでおいてもいいかもしれません。 (★★★)

  • 里見 清一: 医師の一分(新潮新書)

    里見 清一: 医師の一分(新潮新書)
    どこで死ぬのか、どう死ぬのか、救急医療のあり方など、率直に語りかけてくる本です。 (★★★★)

  • 岡崎 祐司: 安倍医療改革と皆保険体制の解体: 成長戦略が医療保障を掘り崩す

    岡崎 祐司: 安倍医療改革と皆保険体制の解体: 成長戦略が医療保障を掘り崩す
    そうか、皆保険制度の否定が根底にあったのかと築かせてくれる本です。緊急に出版され、内容が重複する部分もありますが、最初に岡﨑氏の第2章を読むべきでしょう。ちなみに、ガイドライン作成の議事録は、ざっと通読させていただいてます。 (★★★★★)

  • 堤 未果: 沈みゆく大国アメリカ 〈逃げ切れ! 日本の医療〉 (集英社新書)

    堤 未果: 沈みゆく大国アメリカ 〈逃げ切れ! 日本の医療〉 (集英社新書)
    TPPでの医療保険制度が「攻撃」対象、儲けの対象にされていること、その先進地アメリカの実態を紹介し、日本の対応に警鐘を鳴らす良書です。 (★★★★★)

  • 神田 敏史: 市町村から国保は消えない─都道府県単位化とは何か

    神田 敏史: 市町村から国保は消えない─都道府県単位化とは何か
    読みました。

  • 上 昌広: 日本の医療格差は9倍~医師不足の真実~ (光文社新書)

    上 昌広: 日本の医療格差は9倍~医師不足の真実~ (光文社新書)
    医療に関する本と思いきや、大学教育について熱い思いを執筆されています。岩手医専はでてきませんが、全国の医学部等の歴史を知ることができます。 (★★★)

  • : 地域医療を支える自治体病院―医療・介護一体改革の中でー

    地域医療を支える自治体病院―医療・介護一体改革の中でー
    地域医療を考える入門書です。もう少し、市民の視線が入ればとは思いますが、労働組合がこういうかつ土ぷをするのか、という驚きの声も聞こえそうです。 それにしても、全自病協の邊見会長まで登場とは、さすが自治労連です。 (★★★★★)

  • 堤 未果: (株)貧困大国アメリカ (岩波新書)

    堤 未果: (株)貧困大国アメリカ (岩波新書)
    夢を実現する国アメリカ、とも言われていますが、そのアメリカで生まれ育った巨大企業が、奴隷農場を作り、発展途上国までをも「種」ビジネスで支配してる様子が、よく分かります。医療の問題は、この後のシリーズで。 (★★★★)

  • 本田 宏: 本当の医療崩壊はこれからやってくる!

    本田 宏: 本当の医療崩壊はこれからやってくる!
    なんと、この3月末(2015年3月)で、本田さんは退職されるようで、この本を医療界への「遺言」、そしてこれからの事務からの活動への「所信表明」だとしています。激励の一読を薦めます。 (★★★★★)

  • 伊関 友伸: 自治体病院の歴史 住民医療の歩みとこれから

    伊関 友伸: 自治体病院の歴史 住民医療の歩みとこれから
    ちょっとまんべんなく書きすぎのきらいがあります。せっかくの大著ですが、売れ行きが芳しくないとか。岩手出身の新渡戸稲造の評価が今ひとつしっくり来ません。彼が東京で実施した購買生協による病院建設(現在の東京医療生活協同組合中野総合病院)があってこそ、地方での燎原の火のような産業組合による医療施設開設に繋がったのではないだろうか。 (★★★★)

  • 野村 拓: 新・国保読本 たたかいへの助走路を歴史に学ぶ

    野村 拓: 新・国保読本 たたかいへの助走路を歴史に学ぶ
    なんと本の表紙に「岩手の保健」が6冊も使用され、本文でも「特論」として紹介されています。岩手で医療や医療運動、労働組合の役員は、必読の1冊です。特に、今、国保の都道府県化が閣議決定され、国会での議論が始まる中で、地域の国保の役割を再確認する必要があります。 (★★★★★)

  • 城塚 健之: これでいいのか自治体アウトソーシング

    城塚 健之: これでいいのか自治体アウトソーシング
    それにしても、改めて自治体のサービスの広さを感じました。そして、医療の市場化、公立病院の現状にも触れられています。ここは10ページ程度なので、医療の問題を、全体との関連でさらっと確認できます。 (★★★★)

  • 仲野 徹: エピジェネティクス――新しい生命像をえがく (岩波新書)

    仲野 徹: エピジェネティクス――新しい生命像をえがく (岩波新書)
    私には少し難解な本でした。遺伝子情報だけが、人間を決定するのではなく、エピジェネティクスという新しい考えが提示され、広がっているようです。東北メディカルメガバンク構想を考えるヒントになる一冊です。 (★★★)

  • 五十嵐享平: 人体特許: 狙われる遺伝子情報 (PHPサイエンス・ワールド新書 75)

    五十嵐享平: 人体特許: 狙われる遺伝子情報 (PHPサイエンス・ワールド新書 75)
    遺伝子の配列の解読が特許になりうるか。解読競争の裏に、そういう特許争いや、民間研究機関の離合集散も。遺伝子をめぐる最新情報を知ることができます。 (★★★★)

  • 堤 未果: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書)

    堤 未果: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書)
    アメリカ医療の、特にオバマケアがどうなっているのかを知ることのできる本です。それにしても、恐るべきは、医療を儲けにする企業の戦略です。 (★★★★★)

  • 宇沢 弘文: 経済と人間の旅

    宇沢 弘文: 経済と人間の旅
    もう少し早く知っていたら、という思いが募ります。自然、医療などを社会的共通資本だ、ということを広めて行ければと思います。 (★★★★★)

  • 伯野 卓彦: 自治体クライシス 赤字第三セクターとの闘い (講談社BIZ)

    伯野 卓彦: 自治体クライシス 赤字第三セクターとの闘い (講談社BIZ)
    夕張の財政破綻のきっかけにもなった第三セクター問題。それは全国各地にあり、その問題を取材等でなまなましく捉えています。その夕張では、第三セクターの赤字だけでなく、「病院に蝕ばまれた」と表現された実態に驚かされます。 (★★★★★)

  • 尾林 芳匡: 自治体民営化と公共サービスの質

    尾林 芳匡: 自治体民営化と公共サービスの質
    読みました。

  • 池永 満: 新 患者の権利―医療に心と人権を

    池永 満: 新 患者の権利―医療に心と人権を
    買いました。

  • 齋藤 貴生: 自治体病院の経営改革―原則と実践

    齋藤 貴生: 自治体病院の経営改革―原則と実践
    行政の側、経営する側からの手引き書です。書いているのは、医師でもあり、大分県立病院事業管理者などを歴任した方です。ガバナンス強化、改革のためには、全摘か独法を進めています。 (★★★★)

  • 京都府保険医協会: 開業医が展望する地域ケア

    京都府保険医協会: 開業医が展望する地域ケア
    地域包括ケアを頭から否定する論調もあるなか、地域での医療を守ってきた開業医の立場からの提言です。人権としての医療確立、「居住保障」からの地域ケア、など傾聴すべき開業医の姿がそこにあります。これを全国のシステムにしていく努力が求められている気がします。 (★★★★★)

  • 武藤 正樹: 2025年へのロードマップ

    武藤 正樹: 2025年へのロードマップ
    社会保障と税の一体改革関連法の成立を受けて、いよいよ、医療制度、システムの大改革だ、として、その方向性を提言しています。目玉は、やはり医療圏見直しでしょう。行政の方が参考にすべき本かと思われます。 (★★★)

  • 森 臨太郎: 持続可能な医療を創る――グローバルな視点からの提言

    森 臨太郎: 持続可能な医療を創る――グローバルな視点からの提言
    医療のグローバル化の中で、今、何をなすべきか。8つの提言にまとめています。社会保障政策の転換、診療報酬制度改革、シンクタンクの設立などうなずくものの一方、雇用の柔軟化は、どうなんでしょうか。 (★★★★)

  • 病院再生研究会: 続・病院再生への挑戦

    病院再生研究会: 続・病院再生への挑戦
    うわー、失敗です。定価2,800円。全体に、資料が主で、説明が短すぎ。本田さんも書いていますが、他の本の抄録程度。どこの広告、書評、本を見て買ったんだったか。 (★)

  • 長 隆: 病院経営改革へ―なぜ、わたしは戦い続けるのか

    長 隆: 病院経営改革へ―なぜ、わたしは戦い続けるのか
    最近、目立った活躍を聞かなくなった長さんの本です。すでに公開されている議事録が長すぎるのと、労働組合への、ちょっと適切でない(と思われる)批判がありますが、彼が何をしようとしているのかを知ることができる本です。批判する前に、読みましょう。 (★★★★)

  • 中村伸一: 寄りそ医 支えあう住民と医師の物語

    中村伸一: 寄りそ医 支えあう住民と医師の物語
    学会の発表に感銘して購入。地域での医療の在り方、医師の関わり方を考える良書です。過疎地域で、どういう医療を求めるのか、住民の医療、医師との関わり方など、示唆に富んだ内容です。 (★★★★★)

  • 中村仁一: 朗らかに! 今すぐ始める サヨナラの準備

    中村仁一: 朗らかに! 今すぐ始める サヨナラの準備
    対談形式で、解りやすい、在宅での死を含めて、サヨナラの在り方を考えさせられる本です。2人とも、地域でさまざま、住民の方々と交流し、その中で生まれた本とも言えるでしょう。 (★★★★★)

  • 井上英夫先生退職祈念論文集: 人権としての社会保障: 人間の尊厳と住み続ける権利

    井上英夫先生退職祈念論文集: 人権としての社会保障: 人間の尊厳と住み続ける権利
    声をかけていただき、購入しました。修論でお世話になった国京さんなど、幅広い視点を、もちろん、井上さんのかかわってきたバックボーンを知ることとしても、大切な本です。 (★★★★★)

  • 佐々木 司: ルールがわかれば変わる 看護師の交代勤務

    佐々木 司: ルールがわかれば変わる 看護師の交代勤務
    準夜勤務と深夜勤務を連続する2交代勤務が広がっています。その「圧縮労働」の問題を科学的に解明しています。2交代を選択する前に、読むべき1冊です。そして、看護労働のマネジメントとし、選択すべきでないことの確認が必要はないでしょうか。 (★★★★★)

  • 公益社団法人 日本看護協会: 看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン 資料付き

    公益社団法人 日本看護協会: 看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン 資料付き
    一番の印象は、労働組合への暖かい視線にあふれていること。月8日夜勤の歴史は、月平均の働く日数の3分の1が、夜勤の上限ということ。週休2日の現在では月6,7日となります。労働基準法等の最低限のルールではなく、新しい交代制のルール、ガイドラインが求められています。 (★★★★★)

  • 角瀬保雄監修: 医療と地域社会のゆくえ―震災後の国で

    角瀬保雄監修: 医療と地域社会のゆくえ―震災後の国で
    宮城、福島県を中心にした被災地の報告です。医療生協の組織形態から、社会医療法人への移行も一部で進んでいるようですが、そこへの切り込みがないのが、残念。 (★★★★)

  • 日野秀逸監修、労働運動総合研究所編: 社会保障再生への改革提言―すべての人の生きる権利を守りぬく

    日野秀逸監修、労働運動総合研究所編: 社会保障再生への改革提言―すべての人の生きる権利を守りぬく
    ちょっと難しい感じです。思わず、読み終わるまで時間を要してしまいました。社会保障という言葉でカバーする領域の広さを、財源問題、ワーキングプア、年金などを含めて書かれています。 (★★★★)

  • 村上 智彦: 医療にたかるな (新潮新書)

    村上 智彦: 医療にたかるな (新潮新書)
    新しい内容、主張ではなく、これまでの取り組み等を文庫でまとめた感じです。読みやすいので、一読を。特に、自ら学び変えていく主体になること、大事です。 (★★★★★)

  • 酒巻 哲夫: 患者の声を聞く みんなで紡ぐ医療の絆

    酒巻 哲夫: 患者の声を聞く みんなで紡ぐ医療の絆
    患者の声が、なぜ医師に(この本では医学生に)必要なのかがよく分かります。そして、患者と医療をつなぐコーディネーターの必要性も感じました。医学部を、医学生を対象にしていますが、全ての医療スタッフに必要な授業だと思います。 (★★★★★)

  • 京都府保険医協会編集: TPPは国民医療を破壊する―韓米FTAに学んだ医療者からの訴え

    京都府保険医協会編集: TPPは国民医療を破壊する―韓米FTAに学んだ医療者からの訴え
    入門用というブックレットを超えて、非常に内容が濃い本でした。TPPの諸問題が議論されていますが、医療に限定し、しかも先行した韓国に学んだ良書です。 (★★★★★)

  • 上 昌広: 日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言

    上 昌広: 日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言
    宮城県での医学部新設の裏側や、医師養成の西高東低の、明治維新まで遡った分析など、へーと感じるところがありました。 (★★★★★)

  • Ruth Chambers: クリニカルガバナンス―病医院経営 医療の質を高める「14の視点」

    Ruth Chambers: クリニカルガバナンス―病医院経営 医療の質を高める「14の視点」
    イギリス・ブレア政権でのNHS改革の中心にあった1つは、この「クリニカルガバナンス」です。このガバナンス、狭義にはステークホルダーの参加ですが、広義には、この本で紹介されるように、学習する文化の確立から説明責任まで、自立的に管理するということになります。 (★★★★★)

  • J.A.ミュア・グレイ: 患者は何でも知っている―EBM時代の医師と患者 (EBMライブラリー)

    J.A.ミュア・グレイ: 患者は何でも知っている―EBM時代の医師と患者 (EBMライブラリー)
    イギリスで書かれた本の翻訳です。元々が医師向けに書かれた本で、内容が難し面がありますが、大事なことは、患者の視点に立つこと。 (★★★★)

  • 二木 立: TPPと医療の産業化

    二木 立: TPPと医療の産業化
    「いつでも、どこでも、だれでも」という標語は、誰が使いはじめたのか。やはり革新自治体の高揚した時期と重なるようです。ここは、興味を持って読めました。他の論文は、やや難解。じっくり、時間をかけて読む本です。 (★★★★)

  • 河野 圭子: 病院の内側から見たアメリカの医療システム

    河野 圭子: 病院の内側から見たアメリカの医療システム
    アメリカの病院というと、儲け本意の資本主義の権化というイメージがありませんか。なんと、企業価値を高めるために、ステークホルダー、患者、市民参加が目指されていました。日本人女性の活躍も注目。 (★★★★★)

  • 日隅一雄: 国民が本当の主権者になるための5つの方法

    日隅一雄: 国民が本当の主権者になるための5つの方法
    市民参加は憲法がめざす主権者のあり方かもしれません。日隅氏は、弁護士として活動しつつ、みずからも市民として、さまざまな市民参加をしてきました。5つの方法の最初は情報公開です。そしてメディアにも監視役としての期待を寄せています。国民の代表としての国会議員、選挙も大事な点として強調しています。 (★★★★★)

  • 小松 秀樹: 医療の限界 (新潮新書)

    小松 秀樹: 医療の限界 (新潮新書)
    小松さんといえば、「立ち去り型サボタージュ」という言葉で医療崩壊の実態を書かれたことが知られています。その続編といえる本です。「あとがき」では、厚生労働省に望むことをまとめ、これは「私自身の心構え」であり「全ての国民に望むこと」でもあるとしています。 (★★★★★)

  • 篠原 一: 市民参加 (1977年) (現代都市政策叢書)
    古本で買ったら、本棚に同じ1冊がありました。1978年さわや書店で購入とメモ。市民参加の原点を知ることのできる。市民参加と市民的自覚の高揚について、ルソーをして政治への参加は、「自由にめざめると同時に」「公的な市民となる」と紹介している。なるほど、参加の二面性は深いようです。 (★★★★★)
  • 日隅 一雄: 「主権者」は誰か――原発事故から考える (岩波ブックレット)

    日隅 一雄: 「主権者」は誰か――原発事故から考える (岩波ブックレット)
    主権は国民にある、憲法に規定されています。主権者たる市民として、原発時を受けて、何ができるか、何をすべきか。ブックレットの中に、日隅さんの重いが詰まっています。遺志を継ぐのも市民の役割でしょう。 (★★★★★)

  • 日隅一雄訳: 審議会革命―英国の公職任命コミッショナー制度に学ぶ

    日隅一雄訳: 審議会革命―英国の公職任命コミッショナー制度に学ぶ
    ちょっと専門的過ぎる感じもしますが、イギリスの審議会等への市民参加の仕組みを紹介した冊子です。行政を市民の手に取り戻したいという日隅さんの思いが、この冊子になりました。 (★★★★)

  • 細田 満和子: パブリックヘルス 市民が変える医療社会―アメリカ医療改革の現場から―

    細田 満和子: パブリックヘルス 市民が変える医療社会―アメリカ医療改革の現場から―
    アメリカの医療から何を学ぶのか。それは、市民が声を上げ、保健医療の制度や政策を変える、あるいは新たに作るために、政治や政策決定に関わったいることであり、それを紹介しているのがこの本です。 (★★★★★)

  • 薗部 容子: まず、ママが幸せに―産んで育てて、ニッポン・イギリス・フランス

    薗部 容子: まず、ママが幸せに―産んで育てて、ニッポン・イギリス・フランス
    妊娠、出産、子育てを通じて、日本の「おかしさ」を知ることができます。イギリス、フランスと何が違うか。思わず、笑っちゃいました。さあ、今年もイギリスへ。 (★★★★★)

  • 大本 圭野: わが町はいかにして先進自治体となったか―交響する地域自治と生活保障

    大本 圭野: わが町はいかにして先進自治体となったか―交響する地域自治と生活保障
    佐藤元美さんのブログで知りました。先進自治体というタイトルですが、中でも地域医療に多くのページがさかれています。佐久病院や藤沢病院の取り組みを、当事者の生の言葉で知ることができます。 (★★★★★)

  • 村嶋 幸代: 大槌町 保健師による全戸家庭訪問と被災地復興―東日本大震災後の健康調査から見えてきたこと―

    村嶋 幸代: 大槌町 保健師による全戸家庭訪問と被災地復興―東日本大震災後の健康調査から見えてきたこと―
    恥ずかしながら書店に並んでいるのを見て、1年前の出来事を知りました。役場の被災によって、住民のあらゆるデータが喪失される中で、全国から保健師がかけつけ、全戸訪問した記録です。大槌で何があったら、知っておくために、是非、読むべき本です。 (★★★★★)

  • 二宮厚美・福祉国家構想研究会編: 誰でも安心できる医療保障へ―皆保険50年目の岐路 (シリーズ新福祉国家構想)

    二宮厚美・福祉国家構想研究会編: 誰でも安心できる医療保障へ―皆保険50年目の岐路 (シリーズ新福祉国家構想)
    現在の医療保険制度は現物給付(保険証を持って病院に行って医療を受ける)ですが、現金給付の動きが強まっています。誰でも安心できる医療保障は、どの道なのか。民主党政権の政策も分析し、展望を示しています。 (★★★★★)

  • 石井 正: 東日本大震災 石巻災害医療の全記録 (ブルーバックス)

    石井 正: 東日本大震災 石巻災害医療の全記録 (ブルーバックス)
    日赤が一民間医療機関とは、ちょっと驚きです。医療法では公的医療機関なんですが。それにしても、1000年に1回の未曾有の大震災に際して行政の「前例」主義に驚きです。組織論としても大事なことが書かれています。&久方ぶりのブルーバックスでした。 (★★★★★)

  • 近藤 克則: 「医療クライシス」を超えて: イギリスと日本の医療・介護のゆくえ

    近藤 克則: 「医療クライシス」を超えて: イギリスと日本の医療・介護のゆくえ
    在宅医療、特に終末期ケアのあり方について、在宅死だけが理想ではない、質が高いのかという問いかけ。在宅死至上主義を超えて、という指摘に考えさせられます。被災地での看取りは、どうあるべきなんだろう。イギリスの医療の一端も知ることができます。 (★★★★★)

  • 村上 智彦: ささえる医療へ (HS/エイチエス)

    村上 智彦: ささえる医療へ (HS/エイチエス)
    やはり「死」をどうとらえるか、ですね。帯でも紹介されてる「その地域で死んでもいいなって思えたら地域医療は充実します」が、響きます。そして「おまかせ医療」からの転換。医療の中にいると、この場合の医療は、「救急医療」のようなニュアンスですが、なかなかこうした視点が、学ばずには持てないのを感じます。 (★★★★★)

  • 日本看護協会出版会編集部: ナース発東日本大震災レポート―ルポ・そのとき看護は

    日本看護協会出版会編集部: ナース発東日本大震災レポート―ルポ・そのとき看護は
     記念すべき100冊目は、東日本大震災関係でした。看護師の体験談が綴られています。病院で何があったのか、看護師は何をしたのか、多くの事例を知ることができます。 (★★★★)

  • 岡野 孝信: なかまと共に―医療労働組合運動をすすめる12章

    岡野 孝信: なかまと共に―医療労働組合運動をすすめる12章
     岡野さんの個人史を軸に、医療労働運動を身近な課題として見通すことができます。役員からエールには、書かれた方の年代もあった方が、より、身近に感じれたかもしれません。プロセンへの力強いエール。 (★★★★)

  • 井上 英夫: 患者の言い分と健康権

    井上 英夫: 患者の言い分と健康権
    ハンセン病などの医療政策の誤りは、市民参加でこそ抑制ができると訴えています。現場主義の姿勢は東日本大震災での被災地視察でも、大槌町役場の屋上への梯子を登る姿に、強く印象に残っています。 (★★★★★)

  • 古川 俊治: 患者さん参加型医療のすすめ―医療事故はみんなで防ぐ

    古川 俊治: 患者さん参加型医療のすすめ―医療事故はみんなで防ぐ
    お任せ医療では、医療事故は防げず、みずから健康になる、病気を治すという「参加型医療」を提唱しています。 (★★★★★)

  • 植山 直人: 起ちあがれ!日本の勤務医よ―日本医療再生のために

    植山 直人: 起ちあがれ!日本の勤務医よ―日本医療再生のために
    なんと東北大学大学院に社会人入学し、日野先生に学んで書かれた本です。全国の勤務医への熱いメッセージ本です。 (★★★★★)

  • ジョナサン・コーン: ルポ アメリカの医療破綻

    ジョナサン・コーン: ルポ アメリカの医療破綻
    アメリカの医療の実態を、具体的にレポートしています。ルポなんですが、ちょっと読みにくい感じがするのは、翻訳のせいかもしれません。 (★★★★)

  • 小林 美希: ルポ 職場流産――雇用崩壊後の妊娠・出産・育児

    小林 美希: ルポ 職場流産――雇用崩壊後の妊娠・出産・育児
     職場流産をキーワードに、私たちのすぐ近くにある雇用破壊の実態が迫ってきます。雇用に合わせた保育政策を、という話をする方もいますが、こうした実態を読んでから議論すべきと思います。 (★★★★★)

  • 南木 佳士: 信州に上医あり―若月俊一と佐久病院 (岩波新書)

    南木 佳士: 信州に上医あり―若月俊一と佐久病院 (岩波新書)
    一気に買った他の2冊と重なる部分があり、ちょっと意欲をそがれましたが、若月医師の生涯を知る、もちろん一端ですが、1冊です。最近のといってもすでに17年前の本で、その中で若月氏を知らないで研修医が来ていること、意識のギャップがあることが紹介されています。改めて、歴史を学ぶ大切さを教えられました。 (★★★★★)

  • 丹野 義彦: ロンドン こころの臨床ツアー

    丹野 義彦: ロンドン こころの臨床ツアー
    ロンドンに行くなら病院を見てみよう、という、ちょっと変わったガイド本です。マルクスのお墓も紹介されています。 (★★★★)

  • 小島 愛: 医療システムとコーポレート・ガバナンス

    小島 愛: 医療システムとコーポレート・ガバナンス
    イギリスNHSのトラストのコーポレート・ガバナンス、特にファンデーション・トラストの基礎的な資料を整理されています。いくつかの同様の論文をまとめたようで、内容の重複等が惜しまれます。 (★★★)

  • 渡辺 満: イギリス医療と社会サービス制度の研究

    渡辺 満: イギリス医療と社会サービス制度の研究
    1990年代のサッチャー政権からブレア政権初期までのイギリス医療制度NHSの改革についてまとめられています。それにしても、こんなに改革が続いていては、現場が大変ではないかと感じます。 (★★★)

  • 大熊 由紀子: 患者の声を医療に生かす

    大熊 由紀子: 患者の声を医療に生かす
    さまざまな患者団体、患者個人が自分たちの声を医療に生かして欲しいと、さまざまな取り組みをしています。その集会等の様子を本にしたもの。そしてこうした努力が、患者への説明等、医療を変えています。医療に関わる人はぜひ読んでおくべき一冊です。 (★★★★★)

  • 若月 俊一: 若月俊一の遺言―農村医療の原点

    若月 俊一: 若月俊一の遺言―農村医療の原点
    若月氏が岩手県医療局労働組合の学習会の講師で来県したことが書かれていた(199ページ)。すでに、このころから官僚化が露呈し始め、労働組合の運動は打破できなかった?との紹介。いえいえい、運動は引き継がれています。 (★★★★★)

  • 若月 俊一: 信州の風の色 地域農民とともに50年

    若月 俊一: 信州の風の色 地域農民とともに50年
    1994年が初版で購入したのは2010年第2版第1刷。読まれ続けている本ですが、改めて若月先生の地域医療に対する考えを知りたいと思い、読みました。農村に根ざし、しかし目は世界に向いていたことを知りました。それにしても、出会いは大切だな、とも感じました。 (★★★★★)

  • 藤田 和恵: ルポ 患者を守る人びと  ~医療崩壊のなかで

    藤田 和恵: ルポ 患者を守る人びと  ~医療崩壊のなかで
    藤田さんの本は、これで2冊目。各地を回り、医療崩壊の中でもがんばっている方々、医師、看護師等をルポしています。金川さんが、元検査技師として登場しています。 (★★★★★)

  • 伊藤恒敏: 銚子市立総合病院、衝撃の破たんドキュメント 暴かれた地域医療の実像 病院再建を模索した500日間の真実

    伊藤恒敏: 銚子市立総合病院、衝撃の破たんドキュメント 暴かれた地域医療の実像 病院再建を模索した500日間の真実
     東北大学・伊藤氏の渾身の思いが伝わる本です。銚子市立総合病院に深く関わり、外部の(と規定すると失礼かもしれませんが)人間が診た、行政、市民運動などを書かれています。「医療を護る」究極とは、何か。難しい問題を提起しています。 (★★★★★)

  • 後藤 毅人: 銚子市立総合病院休止からリコールへ マイナスからのスタート

    後藤 毅人: 銚子市立総合病院休止からリコールへ マイナスからのスタート
     銚子市立総合病院の休止に至る経過を、やや運動の内側からまとめた本です。市長選挙、有力民間病院、住民運動など、知らなかった裏側(現地では普通に知られていたであろううこと)の一端を知ることができます。 (★★★)

  • 川本 敏郎: 医師・村上智彦の闘い―夕張希望のまちづくりへ

    川本 敏郎: 医師・村上智彦の闘い―夕張希望のまちづくりへ
     村上医師の生い立ちにまで遡り、なぜ夕張で、なにを夕張で、という疑問の応えてくれる本です。医療スタッフに何を求めているのか、理想の職場づくりも、村上氏の体験からきていたようです。学生時代のバイト、奨励です。 (★★★★★)

  • 上野 直人: 最高の医療をうけるための患者学 (講談社+α新書)

    上野 直人: 最高の医療をうけるための患者学 (講談社+α新書)
    最近、患者参加という事が、イギリス流というニュアンスで発信されています。アメリカでも、特にがん治療(こういう理解でいいのかしら?)での患者参加、みずからの病気、治療を深く理解し、立ち向かう。そして医療もチームで対応することが紹介されています。うーん、なるほど。当事者に変える力あり。 (★★★★★)

  • 荒井 千暁: 職場はなぜ壊れるのか―産業医が見た人間関係の病理 (ちくま新書)

    荒井 千暁: 職場はなぜ壊れるのか―産業医が見た人間関係の病理 (ちくま新書)
     下の本をアマゾンで検索したら「おすすめ」で出てきたので購入。産業医から見た職場の異常性に言及。しかし、法律がめざす労働環境という点で、ちょっと弱い感じがしました。しかし、成果主義賃金の問題は、大事な私的です。 (★★★★)

  • 笹山尚人: 人が壊れてゆく職場 (光文社新書)

    笹山尚人: 人が壊れてゆく職場 (光文社新書)
     女性部の学習会の講師で来られたので、購入。改めて法律とは、社会の反映であることを痛感。最低限の法律さえ守られない職場実態の異常さを、他人事と言っているのは、大変な間違いです。特に医療現場は。常識を法律で問い直す1冊です。 (★★★★★)

  • : 社会的共通資本としての医療 (Social Common Capital)

    社会的共通資本としての医療 (Social Common Capital)
    医療とは、そもそも社会にとってどういうものなのか。医療は自然環境、社会的インフラとならんで、社会に必要な制度資本(総じて「社会的共通資本」)であり、市場原理で運営すべきではない、と喝破しています。 (★★★★★)

  • 和田 努: 現場が変える日本の医療〈Part2〉医療者と患者・市民の地道な歩み

    和田 努: 現場が変える日本の医療〈Part2〉医療者と患者・市民の地道な歩み
     オーソドックスな地域医療をめぐる各地の運動が紹介されています。いずれも著者が直接訪問し、インタビューしたもので、貴重な話も掲載されています。岩手も藤沢町民病院、久慈の自殺防止での岩手医大が。地域医療の入門に是非。 (★★★★★)

  • 林 大地: 見習いドクター、患者に学ぶ―ロンドン医学校の日々 (集英社新書 431I)

    林 大地: 見習いドクター、患者に学ぶ―ロンドン医学校の日々 (集英社新書 431I)
     入学した5年間の中でもカリキュラムが変更される(1年生と5年生で違う)のは、ちょっと驚きです。でも一貫しているのは「患者中心の医療」。「病気を診ずして病人を診よ」、おっとこれは日本で研修先に選んだ慈恵医大のものでした。「患者に学ぶ」一端を知ることができる本です。 (★★★★★)

  • 小林美希 著: 看護崩壊 病院から看護師が消えてゆく (アスキー新書)

    小林美希 著: 看護崩壊 病院から看護師が消えてゆく (アスキー新書)
    実際に働き、現状を告発している労働組合の活動を丁寧にレポートし、独自に現場も回った労作。お隣の秋田・米内沢病院の整理解雇もタイムリーに取り上げています。残念、岩手はなし。ツイッターもされています。2交代などの実態、導入の理由の深いところ、なるほどねーと理解できます。組合員は、まず読もう。 (★★★★★)

  • 林 直樹: 撤退の農村計画―過疎地域からはじまる戦略的再編

    林 直樹: 撤退の農村計画―過疎地域からはじまる戦略的再編
    過疎の進む集落を、将来どうすべきかを問う本です。冒頭に岩手県の紹介があります。医療はどうあるべきか。「救急医療から考える移転先」が江原医師によって執筆されています。総合病院のバックアップ体制の中での無床診療所・総合医という選択肢もあるのではないかと感じました。 (★★★)

  • 及川 和男: 命見つめ心起こし―「生命村長」深沢晟雄スタディー

    及川 和男: 命見つめ心起こし―「生命村長」深沢晟雄スタディー
     及川さんのお話を聞き、この本を購入。沢内から、深沢村長から、何を学ぶのか、及川氏も、いまだにスタディーを続けているといい、本の中でも問いかけてきます。「行脚と対話」、今も必要とされています。一読をおすすめします。 (★★★★★)

  • : 揺れるいのち―赤ちゃんポストからのメッセージ

    揺れるいのち―赤ちゃんポストからのメッセージ
     もう3年も経つのか、という感じもあります。実施したのは民間の病院です。児童相談所など公の相談体制との連携もありますが、独自に3人の相談体制を取り、職員の協力もあるようです。なぜ民間か、なぜ広がらないのか、公立病院から見て、ちょっと口惜しい感じがします。一方で、さざまなNPOの紹介もあります。岩手には関係がない、ということでなく、読むべき1冊です。 (★★★★★)

  • 渡辺 さちこ: “患者思い”の病院が、なぜつぶれるのか?

    渡辺 さちこ: “患者思い”の病院が、なぜつぶれるのか?
     DPCに関する理解を深めることができました。やはり地域連携や病院の理念を考えないと意味がない、ということです。基幹病院がのきなみDPCを取らされた県立病院は、入院期間の短縮だけが進むのではないかと危惧されます。その中でも、マネジメントに意欲的な病院長として県立中央病院が紹介されています。 (★★★★★)

  • 飯田 哲也、浜岡 政好: 公共性と市民

    飯田 哲也、浜岡 政好: 公共性と市民
     私、公、公共、公共性。難しいテーマです。京都の景観政策など、身近なところから説き起こしていて、「公共性」について考えるきっかけになる本です。 (★★★★)

  • きむら とも: 医者とラーメン屋 「本当に満足できる病院」の新常識

    きむら とも: 医者とラーメン屋 「本当に満足できる病院」の新常識
     医療をどう利用するのか。決してお客さんではないけません。でも、この本は医療がどうあるべきかを、医療をどう評価すべきかを、医師の眼から書かれた本です。書いたのは「外科医改め総合臨床医」、ちょっと総合医ものが続いています。 (★★★★★)

  • 松村 理司: 地域医療は再生する―病院総合医の可能性とその教育・研修

    松村 理司: 地域医療は再生する―病院総合医の可能性とその教育・研修
     前半はどうして「総合医か」ということ。舞鶴市民病院での医師集団退職のことも触れられています。地域病院の再生には総合医が不可欠、と医療教育、大学ではなく地域病院の現場での教育、研修の充実の熱意、そして意義を知る1冊です。岩手県での総合医検討委員会では、キャリア・パスの議論もありましたが、ここには触れられていないようです。 (★★★★★)

  • 村重 直子: さらば厚労省 それでもあなたは役人に生命を預けますか?

    村重 直子: さらば厚労省 それでもあなたは役人に生命を預けますか?
     かつて厚生省を手厳しく批判した宮本政於さん(「お役所の精神分析」など。故人)がいました。医系技官の実態の一部を知ることができ、興味深い内容です。そして、私たちも「お上」お任せでなく、学び、発信していくことが必要です。 (★★★★)

  • 伊関 友伸: まちに病院を!――住民が地域医療をつくる (岩波ブックレット)

    伊関 友伸: まちに病院を!――住民が地域医療をつくる (岩波ブックレット)
     住民運動が、どういう方向を向いて進むべきか。まだまだ岩手では、行政への要求運動をしないと住民運動ではないなのような「誤解」が一部に(一部であって欲しい)あります。病院建設と市民参加など、ブックレットですが読み応えがあります。 (★★★★★)

  • 日野 秀逸: 憲法がめざす幸せの条件―9条、25条と13条

    日野 秀逸: 憲法がめざす幸せの条件―9条、25条と13条
     ちょっと大きな視点で医療を考える本です。WHO憲章の前文で大事な点を紹介しています。第1は国民の健康に国が責任を持つこと、第2に住民参加。住民が社会保障に関する「精通した意見」を持って、「積極的に」参加することが、現代の保健活動の基本的なあり方。なるほど、やはり医療は与えられるものではなく、権利として獲得したものであり、住民参加は当然の要請ということでしょう。すてきなタイトルの本、ぜひ一読を。 (★★★★★)

  • 本田宏、他: なぜ、病院が大赤字になり、医師たちは疲れ果ててしまうのか!?―医療をつくり変える33の方法

    本田宏、他: なぜ、病院が大赤字になり、医師たちは疲れ果ててしまうのか!?―医療をつくり変える33の方法
     市民運動から、保険医協会、医師など様々な立場から自説を展開しています。共通する思いは、今の医療崩壊の現実をなんとかしなくちゃ、ということ。消費税増税論議もありますが、小さいことかもしれません。気に入ったところを読んで、あとはHPへ。 (★★★★★)

  • 伊藤 善典: ブレア政権の医療福祉改革―市場機能の活用と社会的排除への取組み (MINERVA福祉ライブラリー)

    伊藤 善典: ブレア政権の医療福祉改革―市場機能の活用と社会的排除への取組み (MINERVA福祉ライブラリー)
     ブレア政権下、2000年から2005年くらいのNHS改革について、詳しく書かれています。市民参加が法制化される中で、PCTの役員会は議長(非常勤)と5人の非常勤役員、最高経営責任者、財務担当責任者、3人の経営委員会委員の11人で構成され、市民が議長や非常勤役員として就任している、とのことです。  市民参加の具体的な仕組みを知ることのできる一冊です。 (★★★★★)

  • 林 信吾: イギリス型<豊かさ>の真実 (講談社現代新書)

    林 信吾: イギリス型<豊かさ>の真実 (講談社現代新書)
     イギリスと日本の医療保険制度を比較し、歴史も踏まえて紹介されています。イギリスの教育や日常生活などももパージ数をさかれていて、医療だけを期待すると、ちょっと当てが外されるかもしれません。NHSへの信頼、老後の生活にも大きな差があるようです。 (★★★★)

  • 川眞田 喜代子: 地域医療崩壊の危機―首都圏でも!?

    川眞田 喜代子: 地域医療崩壊の危機―首都圏でも!?
     首都圏でも医療崩壊が進んでいる、というタイトルですが、看護師不足、過酷な労働実態なども紹介され、ちょっと焦点がぼけた感じです。 (★★★)

  • 近藤 克則: 「医療費抑制の時代」を超えて―イギリスの医療・福祉改革

    近藤 克則: 「医療費抑制の時代」を超えて―イギリスの医療・福祉改革
     ブレア政権による医療、福祉政策の改革を紹介しています。ブレア政権でのNHS改革は、目標の設定、現場への権限委譲、結果・成果の評価が3つの柱である、としています。そして医療費抑制は、すでに時代遅れだ、とも。 (★★★★★)

  • 森 臨太郞: イギリスの医療は問いかける「良きバランス」へ向けた戦略

    森 臨太郞: イギリスの医療は問いかける「良きバランス」へ向けた戦略
     大学院の研究として読みました。ブレア首相(当時)による医療改革の中心は、サッチャー政権での「新自由主義」ではなく、「新しい公共事業運営」とその修正で、柱は市民参加の法制化という話が展開されています。どのような場面でも、「決定に患者・一般市民の参加」が制度化されているようです。NHSという国営の医療制度の中での改革だからこそできるきとだとは思いますが、非常に参考になります。 (★★★★★)

  • 内橋 克人、宇沢弘文: 始まっている未来 新しい経済学は可能か

    内橋 克人、宇沢弘文: 始まっている未来 新しい経済学は可能か
     財政健全化法の大本には、市場原理主義があり、それが自治体財政にも襲いかかり、自治体を財政で競わせている。「財政再建団体に指定されたら大変だ、と、その前に赤字の病院を切り捨てる」。総務省の公立病院改革ガイドラインの根本問題を解明し、「社会的共通資本しての医療」の充実をも指摘しています。両氏の真摯な対話が、一気に読ませます。 (★★★★★)

  • : 女性たちの大学院―社会人が大学院の門をくぐる時

    女性たちの大学院―社会人が大学院の門をくぐる時
     沸き立つような学問への情熱。ジェンダーへの気づきが大学院の門をたたいたり、学ぶ中で気づいたり。大学とは違う大学院の学び方、指導教官との出会いなど、一気に読み終えました。社会人での大学院入学をめざす皆さんへのエールとなる一冊です。私も四月から大学院生。彼女たちに負けない情熱で、がんばろうという気持ちになりました。 (★★★★★)

  • 総合研究開発機構: 日本の医療は変えられる

    総合研究開発機構: 日本の医療は変えられる
     複雑な医療の問題を、「経済学の視点」で整理した部分と、医療関係者へのインタビューで構成されています。より適正な医療政策のためには、意志決定プロセスを医療提供者と支払者だけで決めるのではなく、市民参加が提示されています。また、がん対策基本法では、「がん患者あるいは市民代表を意志決定の委員会に入れることを初めて義務化」したと紹介されています。読みやすい本です、一読を勧めます。 (★★★★★)

  • 江原 朗: 医師の過重労働―小児科医療の現場から

    江原 朗: 医師の過重労働―小児科医療の現場から
     医師不足、医師の過重労働、特に小児科医師をめぐるデータが多彩です。海外を含む医学論文、新聞等を縦横に使い、決して持論を読者に強要しない姿勢が、強い説得力を生んでいる感じがします。本を読んだら、著者が開設されたHPを見ることもおすすめです。さっそくメールさせていただきました。医師の集約化など議論の分かれる論考が印象的です。 (★★★★★)

  • 大津 秀一: 死ぬときに後悔しない医療 (小学館文庫)

    大津 秀一: 死ぬときに後悔しない医療 (小学館文庫)
     緩和医療について、大切な情報がいっぱいです。病院からホスピスへ、今は在宅と入院、在宅支援診療所で実践されている方の本です。黎明期のホスピスは、宗教による安寧もありましたが、今はどうなっているのでしょうか。県立病院でも磐井病院、中部病院などで運営されています。 (★★★★★)

  • 中原 英臣 岡田 奈緒子: 医療破綻

    中原 英臣 岡田 奈緒子: 医療破綻
     2人の医師の共著ですが、どうも誰のために、何を深めて書いたか分からない感じの本です。全体を網羅しているような、自分の関心、周りの状況だけなのか。どちらかといえば、政府のいいなりに納得されているような。 (★★)

  • 上野 千鶴子: 世代間連帯 (岩波新書)

    上野 千鶴子: 世代間連帯 (岩波新書)
     労働科学研究所の佐々木司さんの推薦の書です。夜勤の有害性を説き、夜勤交替制勤務改善への提言をしています。その講義の最後に紹介するのが、この本。思い切って斟酌すると、夜勤に耐性のある若い看護師が9日夜勤をし、中高年はその分夜勤を減らすことで、全体の負担軽減、ということでしょうか。 (★★★★★)

  • 紙屋克子: 紙屋克子 看護の心そして技術―課外授業 ようこそ先輩・別冊 (別冊課外授業ようこそ先輩)

    紙屋克子: 紙屋克子 看護の心そして技術―課外授業 ようこそ先輩・別冊 (別冊課外授業ようこそ先輩)
     札幌麻布脳神経外科病院での看護の取り組みを紹介したNHK[あなたの声が聞きたい」の副院長・看護部長だった紙屋さん。さらに大学で福祉を学び、今は大学教授として各地でボランチィアも含めて看護を実践しています。看護の入門書でもあり、看護を気づかせてくれる1冊でもあります。是非、お読みください。 (★★★★★)

  • 金川 佳弘他: 地域医療再生と自治体病院―「公立病院改革」を検証する

    金川 佳弘他: 地域医療再生と自治体病院―「公立病院改革」を検証する
     地方公営企業、独立行政法人、PFIなど、自治体病院に関する基本的な知識を学ぶだけでなく、住民といっしょに地域医療を守る運動を、わかりやすく解説し、ビジョンのある運動を呼びかけています。金川さんの1日も早い回復を願っています。PS 114ページの補足 いわてリハは2006年度、100ベッド、代行制です。また療育センターは肢体不自由児施設であり、病院ではありません。 (★★★★★)

  • 中川 雄一郎: 地域医療再生の力

    中川 雄一郎: 地域医療再生の力
     医療生協や厚生連から見た地域医療に取り組む自治体病院や、自らの地域医療への取り組み、問題点を紹介しています。それにしても、私も1度見学しましたが、佐久総合病院・若月先生は、地域医療を語る上で、大事なことを再認識しまいた。また、労働組合を真正面に捉えているのも特徴です。文化的土台の上に、色平医師の存在がある、との記述も。 (★★★★★)

  • 佐藤 徹、高橋秀行、増原直樹、森賢三: 新説市民参加―その理論と実際

    佐藤 徹、高橋秀行、増原直樹、森賢三: 新説市民参加―その理論と実際
     市民参加という言葉はよく聞かれるようになりましたが、何をもって、どこから「参加」なのか。各地の取り組みも紹介しながら、市民参加のあり方を、分かりやすく論じています。ちょっと難しいところもありますが、「住民参加と革新自治体」など、歴史的に面白く感じるところもありました。 (★★★★★)

  • 武内 和久: 公平・無料・国営を貫く英国の医療改革 (集英社新書)

    武内 和久: 公平・無料・国営を貫く英国の医療改革 (集英社新書)
    ブレア政権によるNHS改革の足取りをたどる形で、日本の医療改革の方向を探る、という本です。著者の1人は厚生労働省の幹部であり、どうも日本の医療改革への提言に真実味が感じられないのは、私一人ではないかと思います。とりあえず、イギリスの医療制度を知るための良書です。 (★★★★)

  • 伊関 友伸: 地域医療 ~再生への処方箋~

    伊関 友伸: 地域医療 ~再生への処方箋~
    伊関さん、2冊目の地域医療に関する著作です。タイトルには入っていませんが、地域医療を支えている自治体病院への処方箋です。沖縄県職労で講演したことも書かれています。注目すべきは、自治体病院の経営評価(案)です。また、過大な赤字喧伝に警鐘を鳴らしています。経営評価に、労働組合の有無がないのが残念。この1年の動きを知る良書です。 (★★★★★)

  • 仁科 桜子: 病院はもうご臨終です (ソフトバンク新書)

    仁科 桜子: 病院はもうご臨終です (ソフトバンク新書)
    医師の退職。地域医療崩壊の始まりです。その医師が、医師という職業選択から就職、その後の働き方が書かれています。病院、医師を知るための1冊です。タイトルは、ちょっとケバケバしいですね。 (★★★)

  • 永田 宏: 命の値段が高すぎる!―医療の貧困 (ちくま新書)

    永田 宏: 命の値段が高すぎる!―医療の貧困 (ちくま新書)
     小泉医療改革の象徴でもある、後期高齢者医療制度。このあり方が、民主党政権の発足の中で揺れています。野党時代に即時廃止で共産党、社民党などと一致していました。政権を取って、なぜ即時廃止ができないのか、その理由をこの本で知ることになりました。「後期高齢者医療制度を廃止して元に戻す」ことを主張していいる政党も、関心のある方も、一読を。 (★★★★★)

  • 勝又 健一: 医療崩壊の真実 (アスキー新書)

    勝又 健一: 医療崩壊の真実 (アスキー新書)
     医師専門の人材紹介をしている方の見た、医療崩壊の実態と対策が、分かりやすく書かれています。きっと、どういう医師が必要ですか、という問に、まともに答えられなかった病院の多くが、自治体病院だったのではないかと思われます。  医師のと関係を、住民から作っていくためにも、呼んでおきたい本です。 (★★★★★)

  • 増田 進: 森の診療所の終の医療

    増田 進: 森の診療所の終の医療
     沢内村への愛情を感じます。沢内村でめざした地域医療、そして振り返って、今、必要な地域医療の1つの考えを示しています。家屋の改善、スポーツ大会などなど、医療と福祉、保健、村民のために村の行政と一体となった活動は、「医療」「医師」という範疇ではくくれない感じです。自称「独り総合病院」、「沢内病院に36年いて感じたのは、地域で発生する疾病や外傷のうち、どうしても専門知識が必要だという診療は1%もないのではないかということだ。99%は普通の医者ができる。それが実感だ。」 (★★★★★)

  • 里見 清一: 偽善の医療 (新潮新書)

    里見 清一: 偽善の医療 (新潮新書)
     いやー、痛快です。歯に衣着せぬ、とはこういうことをいうのかと感心します。冒頭の「患者さま」問題も、言葉でなく、医療の基本にかかわる問題として、解りやすく喝破されています。医療問題の別の一面を知ることができる良書です。 (★★★★★)

  • 南 俊秀: モンスターペイシェント―崩壊する医療現場 (角川SSC新書)

    南 俊秀: モンスターペイシェント―崩壊する医療現場 (角川SSC新書)
     救急現場の生々しい医師による「モンスターペイシェント」の事例からページは進みます。しかし、日本医療に難癖をつける巨大なモンスターの存在まで分かりやすく示します。国内でも医療崩壊を推進した勢力をズバリ指摘。医療を考える良書です、ぜひ一読を。 (★★★★)

  • 津田 光夫他: 10年後、あなたは病気になると家を失う―国民皆保険崩壊の真実

    津田 光夫他: 10年後、あなたは病気になると家を失う―国民皆保険崩壊の真実
     日本経済新聞社の発行ということで、ちょっと身構えて読み始めました。しかし、「5割以上の医師が職場を辞めたい-日本医療労働組合連合会の調査」なる見出しを発見。改めて著者の経歴を巻末から拾い読むと、4人の方が、それぞれ保険医協会の役員をされていることを知り、一気に読み進めました、  アメリカの後追いの医療政策で日本がどうなるのか。タイトルにそれが表されています。映画シッコの世界ですね。医療制度を知ることが出来る良書です。ぜひ買って読んでください。 (★★★★★)

  • 大阪大学医学部 医療経済研究チーム: 医療の裏側でいま何がおきているのか (ヴィレッジブックス新書)

    大阪大学医学部 医療経済研究チーム: 医療の裏側でいま何がおきているのか (ヴィレッジブックス新書)
     「複雑な問題を分かりやすく解説、日本医療の未来を考える」という宣伝文句に引かれて購入しましたが「問題解決のための出口が見えてこない」まま。  公開講座での講義内容をまとめた本であることを知りましたが、結局国(厚生官僚)の言い分が無批判に掲載され、出口は自分で考えろということかもしれません。 (★)

  • 尾林 芳匡: PFI神話の崩壊

    尾林 芳匡: PFI神話の崩壊
     近江八幡市立病院、高知医療センター等のPFI破綻の問題点を分かりやすく解説しています。イギリスの制度をまねたと言われていますが、どうもやってはいけない、公がやるべきことまで、いつのまにか「官から民へ」「民でできるこは民で」と流されて、日本の問題になっているようです。  東京で進められている都立病院のPFIは、今からでもしっかり検証すべきだと思います。 (★★★)

  • 田川 大介: 医療崩壊を超えて―地域の挑戦を追う

    田川 大介: 医療崩壊を超えて―地域の挑戦を追う
     九州での医療実態を紹介しています。新聞記者の取材が基になっているので、地域の声、患者の声、家族の生の声が、淡々と紹介されいるのが印象的です。最初は、あまりに淡々として、医療崩壊の実態に迫っていないのでは、と思い読み進めましたが、一人ひとりに、焦点を当てて見えてくるものがありました。あとがきは「見えないものを見る」でした。 (★★★★★)

  • 小川 道雄: 医療崩壊か再生か―問われる国民の選択

    小川 道雄: 医療崩壊か再生か―問われる国民の選択
     医師不足問題を分かりやすく紹介しています。もともとは、著者が医療問題の講演を頼まれ、意外に実態が知られていないことに逆に驚き、それをまとめたものです。医療問題、医師不足問題の入門書として適しています。  まさに総選挙で、国民の選択が重要となっています。 (★★★★)

  • 河北新報社編集局: 小児科砂漠

    河北新報社編集局: 小児科砂漠
     東北地方の小児科医療の実態を、全国の状況、海外の取材も含めて紹介しています。救急医療だけでなく、院内学級、健診などにも触れ、地域の苦悩、親の不安、深刻な医師不足の実態を明らかにしています。書かれたのは2003年。事態は、さらに深刻になっています。  当時読んだ本ですが、小児医療の広がりを知る一冊です。 (★★★★)

  • 自治医科大学: 地域医療テキスト

    自治医科大学: 地域医療テキスト
     地域医療をどういう姿にしようかと考えるときに、非常に参考になる1冊です。過疎地で、高齢化、医療と福祉をどうするか。地域とはなにか、病院・診療所の基準、運営など有益な情報も沢山書かれています。最後の小説は読まされました。 (★★★★★)

  • 神咲 命: 産科医療・崩壊

    神咲 命: 産科医療・崩壊
     現場の産科医が、現実に起きていることを元に小説にしたものです。女性産科医の視線で、自らの家族のこと、患者、病院のことなどを、携帯小説風に書かれています。医師が医師をやめない希望とは。是非、お読み下さい。 (★★★)

  • 平井愛山: 医療再生はこの病院・地域に学べ! (新書y)

    平井愛山: 医療再生はこの病院・地域に学べ! (新書y)
     夕張希望の杜の村上先生や、わかしおネットワークの平井先生が執筆。県立遠野病院の貴田岡先生も、地域での市との連携について書かれています。  地元新聞での連載で紹介された北海道江別市の総合医も。  地域医療の最前線で頑張っている様子が知れて、元気がもらえます。あきらめでなく、学んで自分たちの地域も医療再生を、そんな元気がでる一冊です。 (★★★★★)

  • HSP活動報告委員会: 医療を動かす―HSP(東京大学医療政策人材養成講座)の活動記録

    HSP活動報告委員会: 医療を動かす―HSP(東京大学医療政策人材養成講座)の活動記録
     一つ前の医療政策入門のさらに入門編。「医療改革のリーダーの養成により、社会改革の触媒」になる人材養成を掲げて、東大が開設した講座を紹介しています。そして、この養成講座で育ったリーダーだけが医療変革の担うのではなく、「『医療を動かす』のは、あなたなのです」という感じ、いいですね。どうぞ、お読み下さい。 (★★★★★)

  • 東大医療政策人材養成講座編: 「医療政策」入門―医療を動かすための13講

    東大医療政策人材養成講座編: 「医療政策」入門―医療を動かすための13講
     各地でHSP、東大での研修を終えた方々の発言を聞く機会が増え、注目していました。今回、その成果を集めた本が出版されました。まずは、読みやすいことに注目。でも、これまでの活躍のポイントは、いろいろな立場の方々のつながりが広がり、そのことが新たな運動や提言につながっていることに注目でしょう。  地域住民が医療政策に参加する方向など、示唆に富んでいます。  東京かー、ちょっと遠いけど魅力的です。 (★★★★)

  • 足立 君江: カンボジア はたらく子どもたち―足立君江写真集

    足立 君江: カンボジア はたらく子どもたち―足立君江写真集
     アンコールワットの撮影から、子どもたちの笑顔に魅せられ、この写真集になったそうです。  カンボジアの子どもたちの目の輝き、そして裸足の足下から、生活の厳しさが伝わります。100ページ、学校から帰る子どもたちにも裸足の子どもが。 (★★★)

  • 葉田 甲太: 僕たちは世界を変えることができない。

    葉田 甲太: 僕たちは世界を変えることができない。
     カンボジアには、アンコール小児病院だけでなく、日本人が作った学校(学校の名前が日本人名になっている)がありました。この本は、そんな学校を作った医学生の話です。「世界を変えることができな」けど、若い仲間が集まり、社会に働きかけると、学校を作ることができました。きっと著者も仲間も、回りの社会も変わり、「世界を変える」一歩になったのではないかと思います。 (★★★)

  • 本田 由紀: 「生きづらさ」の臨界―“溜め”のある社会へ

    本田 由紀: 「生きづらさ」の臨界―“溜め”のある社会へ
     労働運動の道徳的権威(宗教を含め)があるから、アメリカ、ヨーロッパの労働組合運動は、組織率が低くてもスト・集会・デモに多くの未組織労働者、市民が参加する、と考えていました。しかし、本書ではアメリカの社会運動、労働者の組織化では「コミュニティを組織化する」ということが意識されているということが話されています。「組織化」のイメージの拡大、現在の運動にも必要な視点だと考えさせられる1冊です。 (★★★★)

  • 佐々木 俊尚: ブログ論壇の誕生 (文春新書 (657))

    佐々木 俊尚: ブログ論壇の誕生 (文春新書 (657))
     ブログで何を表現、主張すべきかと思っていたところに、手にした1冊です。日頃のブログ記事に反省しきり。ブログが炎上するネタが書いているかと期待していたのですが、やはり、その記事にどう感じたか、論評、批評がないとダメですね。それー、蟹工船のように、CGJのように。 (★★★)

  • 上杉 隆: ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書 う 2-1)

    上杉 隆: ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書 う 2-1)
     官邸崩壊など、なぜか崩壊シリーズを執筆。記者クラブの批判などを鋭く書いています。世界から見た日本のおかしさ。それは、医労だけではなかったということ。ネットで新聞を巡回していて、発表・配信を流すだけなら、別に必要を感じないと感じたことに応えてくれる1冊でした。 (★★★★)

  • 宮本 憲一: 公共政策のすすめ―現代的公共性とは何か

    宮本 憲一: 公共政策のすすめ―現代的公共性とは何か
     10年前に書かれた本ですが、10年が経過し、この本の指摘を私たちが実践する時代になったのではないかと感慨深いものがあります。日本型社会保障では佐久総合病院の取り組みも紹介されています。 (★★★★)

  • 米山 公啓: 医者が病院から逃げ出すとき (ちくま文庫 よ 14-2)

    米山 公啓: 医者が病院から逃げ出すとき (ちくま文庫 よ 14-2)
     米山さんの著著、2冊目を読みました。医療の改革が叫ばれる一方で「医療費の抑制のために、医者やナースにはますます厳しい労働環境になっている」との現状認識から、しがらみを捨ててしまった医師であり作家である著者が、さまざまな提言をしています。 (★★★★)

  • 鈴木 敦秋: 小児救急 「悲しみの家族たち」 の物語

    鈴木 敦秋: 小児救急 「悲しみの家族たち」 の物語
     激務で過労自死した小児科医の中原さんの裁判、病院側の責任を認めないとの判決が伝えられています。その中原医師と家族の苦悩を伝える良書です。医師と利用する患者のみなさんがどういう連帯をしていけるか、背景となっている問題を告発しています。大人として「子どもたちの未来を」どう守っていくのかが問われます。 (★★★★)

  • 岡井 崇: 壊れゆく医師たち (岩波ブックレット NO. 718)

    岡井 崇: 壊れゆく医師たち (岩波ブックレット NO. 718)
     医師の過労死が問題になっています。特に、なり手が少なくなっている産婦人科、小児科です。過労自殺するような医療現場の実態を簡潔に分かりやすく伝える本です。 (★★)

  • 武井 麻子: ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか―感情労働の時代

    武井 麻子: ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか―感情労働の時代
     患者に心を寄せて、と言われる看護師たち。しかし、実際は人の生き死にに直面し、それでは身が、心が持ちません。「感情労働」は心を売る仕事という言葉にドキリとさせられます。現場で疲れた看護師に読んで欲しい1冊です。 (★★★)

  • 鈴木 厚: 日本の医療に未来はあるか―間違いだらけの医療制度改革 (ちくま新書)

    鈴木 厚: 日本の医療に未来はあるか―間違いだらけの医療制度改革 (ちくま新書)
     医療の市場原理の導入は「患者の利益が目的ではなく企業の利益が目的」と指摘し、市場原理の元では低所得者や老人が医療からはじき出されると危惧しています。医療危機突破集会での東大医師会などのデモ行進など貴重な資料も掲載されています。 (★★★★)

  • 鈴木 厚: 日本の医療を問いなおす―医師からの提言 (ちくま新書)

    鈴木 厚: 日本の医療を問いなおす―医師からの提言 (ちくま新書)
     医療改革が進められつつあった1998年に書かれた本です。医師、看護師は苛酷な労働環境で重労働を強いられ、一方で製薬業界は大好況。ゆがんだ医療行政を徹底批判しています。 (★★★)

  • 近藤 喜代太郎: 医療が悲鳴をあげている―あなたの命はどうなるか (think book)

    近藤 喜代太郎: 医療が悲鳴をあげている―あなたの命はどうなるか (think book)
     現役を退いた筆者が、地域医療崩壊を座視できず書いた本です。医師、看護師が病院を去り、医療の安全と安心への誤解、裁判なども紹介されています。 (★★★)

  • 関岡 英之・和田秀樹: 「改革」にダマされるな! 私たちの医療、安全、教育はこうなる

    関岡 英之・和田秀樹: 「改革」にダマされるな! 私たちの医療、安全、教育はこうなる
     2人の対談で小泉改革の問題点を、ずばっと解明。アメリカの要求、財界の要求が背景にあり、医療の規制緩和、改革が行われた状況が分かりやすく紹介されています。 (★★★★)

  • 日野秀逸編著: 地域医療最前線―住民のいのちを守る政策と運動

    日野秀逸編著: 地域医療最前線―住民のいのちを守る政策と運動
     熊坂・宮古市市長が推薦の帯。釜石、青森、愛媛、京都など、全国各地の運動が、当事者の手によって書かれ紹介されています。患者・住民・医療従事者・自治体職員の運動で住み続けられる地域をと日野先生がまとめています。 (★★★★★)

  • 大原 毅: 元東大病院分院長が見たこの国の医療のかたち

    大原 毅: 元東大病院分院長が見たこの国の医療のかたち
     日本の医療の現実を憂い、あるべき医療のかたちを探るために書かれた本です。儲け第1主義を批判し、成果主義賃金についても「これはあくまで金儲への思想です。この制度を導入した商社が崩壊するという現象も起きています」とピシャリ。 (★★★★)

  • 田辺 功: ドキュメント医療危機

    田辺 功: ドキュメント医療危機
     朝日新聞の編集委員である田辺さんが、多くの方々のインタビューを介して、日本の医療危機の実態を鋭くえぐり出しています。非常に読みやすく、入門書に最適な1冊です。 (★★★★★)

  • 高岡 善人: 病院が消える―苦悩する医者の告白
     1993年に発行されたこの本は、さまざまな問題意識を広げた大切な本です。もう15年まえから今の日本の医療に現場の医師が苦悩し、低医療費政策に問題の本質を見ていたことが分かります。少し冒険的な賭だが断りながら、「日本医師会は政党献金の廃止を」との提言。先見性はさすがです。 (★★★)
  • 伊関 友伸: まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生

    伊関 友伸: まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生
     まちの病院、自治体病院がなくなる危機がせまっている、という伊関さんがその再生を願って出した本です。「はたして自治体病院は必要か」という本質にせまるところでは、「自治体病院は、民間の医療と併せて、地域において医療の質の維持を図ることが存続する理由であると考える」と書かれています。自治体病院職員がまず読むべき本です。 (★★★★★)

  • 斎藤 芳雄: 死に場所づくり―地域医療・地域福祉のめざすもの
     地域でめざす医療の目的は、ひょっとして「死に場所づくり」ではないかと思います。安心して生活でき地域、そして「住民の死をも保障しなければならない」という言葉に、ハッとさせられます。少し古い本ですが、1人の医師の実践と住民の力に、今の可能性を見る1冊です。 (★★★★)
  • 色平 哲郎: 命に値段がつく日―所得格差医療 (中公新書ラクレ)

    色平 哲郎: 命に値段がつく日―所得格差医療 (中公新書ラクレ)
     臨床研修制度が始まり、そのことが医師不足を加速したとも言われます。このことをもって臨床研修制度への批判もあるようですが、しかし、臨床研修・現場での医療経験が、医師を変え、病院を変えていることがこの本から知ることが出来ます。「病気ではなく、人を診る医師を育てる」という佐久総合病院に臨床研修希望者が集まることに、希望を見ることができると感じました。地域医療を考えることのできる1冊です。 (★★★★)

  • 色平 哲郎: 大往生の条件 (角川oneテーマ21)

    色平 哲郎: 大往生の条件 (角川oneテーマ21)
     畳の上で死ぬことは、都会と田舎では、ずいぶんと受け止め方が違います。しかし、人間としてのケアはどういうことかを、村の診療所から考えさせられます。豊かさとは何かを考えさせられる1冊です。 (★★★★)

  • 鎌田 實: なげださない

    鎌田 實: なげださない
     「がんばらない」という本が有名になり、岩手県の「がんばらない宣言」にもつながりました。短い言葉は、印象に残りますが、しかし鎌田さんが言いたかったこととずれてきた感じがします。「がんばらない」に続いて、いくつか出された中の1冊。なげださない大切なことに、「平和」も。できないことはいっぱいあるけど、「がんばらないで、あきらめないで、なげださないで、生きていこうと思う」。うん、私も。 (★★)

  • 米山 公啓: 医学は科学ではない (ちくま新書)

    米山 公啓: 医学は科学ではない (ちくま新書)
     EBM(実証に基づく医療)がもてはやされています。科学が発達すれば、直らない病はなくなる、と信じてきましたが、どうもそうでもないようです。端的な例は、「同じ患者はいない」ということ。癌であっても、その進行状況は千差万別。インフォームドコンセント、結局は自ら判断していくこと、病気にならない予防も含めて考えて行かなくてはだめなようです。科学万能のような世の中だからそこ、一読する価値がある1冊です。 (★★★)

  • 村上 智彦: 村上スキーム 地域医療再生の方程式

    村上 智彦: 村上スキーム 地域医療再生の方程式
     財政破綻した夕張市で、地域医療の再生に取り組む村上医師の考え、奮闘ぶりを伝える本です。しかし、タイトルは村上スキームで、またニュース等でも、なにか彼個人がスーパーマンで、あるいはすばらしい考えで診療所を運営していると思っていましたが、この本で、すばらしいスタッフ、同志(といっていいような感じ)がいてこその取り組みであることを知りました。改めてチーム医療の大切さ、そのチームには住民も含まれている、そのことを考えさせる1冊です。 (★★★★★)

  • 平井 愛山: 地域医療を守れ―「わかしおネットワーク」からの提案

    平井 愛山: 地域医療を守れ―「わかしおネットワーク」からの提案
     銚子市民病院の閉鎖が大きな話題になっています。医療崩壊の原因の1つが、医師の退職。同じ千葉県で院長が先頭にたって医師確保に奮闘、地域医療の崩壊をくい止めています。そのカギは、「地域ぐるみの医師養成」で、地域の方々と、患者の方々と力を合わせて、これは言うは易く、大変な作業であることは、この本でも知ることとなります。でも、地域の中でがんばれば、展望がある、そんな力を与えてくれる1冊です。 (★★★★★)

  • 中村 哲: 医者、用水路を拓く―アフガンの大地から世界の虚構に挑む

    中村 哲: 医者、用水路を拓く―アフガンの大地から世界の虚構に挑む
     医療労働者が何をすべきかを考えさせられる本です。なによりもそこに済んでいる方々が健康であること、それは病院を訪れる人がいないことかもしれません。井戸を掘り、用水路を拓く。病院に来る患者だけを診て、よい医療、よい看護を、という自治体職員は是非読むべき本です。そして、中村医師から学ぶべきだと思います。 (★★★★★)

  • 編集・東北大学地域医療システム学(宮城県)寄附講座: 医師不足と地域医療の崩壊 Vol.2―東北大学地域医療シンポジウム講演録 (2)

    編集・東北大学地域医療システム学(宮城県)寄附講座: 医師不足と地域医療の崩壊 Vol.2―東北大学地域医療シンポジウム講演録 (2)
     これが2冊目の編著となります。東北に限定せず、広く全国の状況を調べ、報告を聞き、まとめられています。  病院をくっつければ医師も沢山になる、ということが、すんなりいかなかった釜石の例なども率直に書かれています(89ページなど)。  また、最近厚生労働省や総務省が口にする、「マグネット・ホスピタル」の提唱も、この中から生まれた、とのこと。  全国の状況を知り、今後の見通しを明るくする本だと思います。 (★★★★★)

  • 本田 宏 編・著 : 医療崩壊はこうすれば防げる! (新書y 197)

    本田 宏 編・著 : 医療崩壊はこうすれば防げる! (新書y 197)
     前岩手県立中央病院長の樋口さんも執筆。樋口前院長は、福島県生まれの自分がどうして岩手の医療に関わったかということで、県立病院の創業の精神 県下にあまねく医療のきんてんを、という言葉に触れたことを紹介しています。  しかし、今、その創業の精神が、各県立病院にではなく、医療局という組織の存続に向いていることに、危機感を感じます。 (★★★★★)

 ガイドライン関連

2017年10月17日 (火)

市立病院の国立病院の統合が進行中

 地域医療構想と並行して、新たな公立病院改革ガイドラインも提示されています。自治体病院等の再編が懸念されていましたが、なんと隣の青森県で、動きがありました。市立病院と国立病院の統合です。

県が弘前の2病院統合を提案 両病院、前向き姿勢 /青森県

2016.10.08 朝日新聞

 県は7日、弘前市内での県地域医療構想調整会議で、弘前地域に新たな中核病院をつくるため、弘前市立病院(250床)と国立病院機構弘前病院(342床)を統合することを提案した。両病院は前向きな姿勢を示し、関係者間で協議を進めるとしている。

 県は3月にまとめた県地域医療構想で、「団塊の世代」全員が75歳以上となる2025年のあるべき県の医療提供体制の姿を示した。弘前地域については、200~300床の中小規模の病院が併存して病床利用率が低迷していることや、2次救急医療体制を再構築する必要性を指摘。自治体病院の機能分化・連携を推進し、中核病院を整備する必要性を示していた。

 今回の両病院の統合提案は、これを具体化するためのもの。両病院は約750メートルの距離にあり、12~14年度の平均病床稼働率は市立病院が71・3%、弘前病院が77・7%だった。

 県の提案では、両病院の統合で医師の集約化・増強が図られ、急性期医療や専門医療への対応力が向上するという。また、救命救急センターの整備で救急医療体制を確保・充実できる。周辺の黒石病院(黒石市)や大鰐病院(大鰐町)、板柳中央病院(板柳町)については、中核病院と連携し、回復期や慢性期の機能を担うようにする。

 統合を提案された市立病院の東野博院長は「地域の救急は本当に危機的状況。中核病院がきちんと救急を診られるようになれば市にとって非常にいい」と話した。また、弘前病院の藤哲統括病院長は会議後「限られた人材、力を効率的に使うには中途半端な病院が二つあってはうまくいかない。統合に異論はない」と前向きな姿勢を示した。弘前市医師会の今村憲市会長は「地域の実情から中核病院には特に救急に期待したい」と話した。

 県健康福祉部の一戸和成部長は「病院をつくることが目的ではない。救急など中核病院として魅力ある医療を提供し、地域住民の命を守るため両病院には前向きに検討してもらいたい」と話した。今後、県と弘前市、弘前大学、国立病院機構の4者を中心に統合に向け協議を進めていくという。

 両病院の統合は05年にも県が提案し、07年に白紙撤回された経緯がある。国立病院機構と市という運営主体が異なる病院同士の統合は、職員の身分や待遇をどうするかなどの問題があることから、当時は具体的な議論もされないまま白紙撤回に至ったという。(佐藤孝之、姫野直行)

2017年10月13日 (金)

こちらは「三尾会」への底流

 「新たな地域社会の創造」するとして、地域連携推進法人の準備が進められていました。特徴は医学部を持つ病院の参加と、参加法人数の多さかと思います。
 地域での情報共有、人材養成などがメリットして想定されています。

中日新聞
2016年12月10日 朝刊

 
高齢者地域ケアで愛知14法人連携

 藤田保健衛生大を運営する藤田学園(愛知県豊明市)など愛知県東部十一市町村の少なくとも十四法人が、来年四月施行の改正医療法に基づき、全国最大規模の「地域医療連携推進法人」を設立することが分かった。医療や介護など異なる分野の法人が一つになり、高齢化進展に対応した新たな地域社会の創造に取り組む。

 新法人は「尾三会(びさんかい)」(仮称)。改正医療法施行日の来年四月二日の設立認可を目指す。現在、名古屋市をはじめ豊田市、岡崎市など十一市町村の病院や老人保健施設、診療所が参加する見込み。

 国は高齢者が住み慣れた場所で暮らしていける「地域包括ケアシステム」構築を各自治体に求めており、高齢化問題に関わる事業者の一体化を図る「地域医療連携推進法人」は中核としての役割が期待されている。参加する各法人には医療従事者や病床の融通などが可能となり、経営が効率化できるメリットがある。

 全国で設立の動きがあるが、藤田学園によると、医学部を持つ大学法人が参加するケースは珍しいという。参加法人数も最大規模となる見通し。認可された場合、医薬品の共同購入や、情報システムの共同利用なども進める。教育機能がある大学法人が加わることで医療スタッフの技能向上も図れる。地域住民のニーズを踏まえた幅広いサービスが可能となり、軌道に乗れば、他の地域の参考事例として注目されそうだ。

 新法人設立に向け十日、参加予定の法人関係者や、厚生労働省の担当者らが藤田保健衛生大病院に集まり、今後の取り組みなどを確認する予定。学園の担当者は「地域住民の安心につながる未来型の取り組みになる」と話している。

 <地域医療連携推進法人> 急速な高齢化で医療と介護サービスの需要が高まるため、一定地域の複数事業者が同一法人内で連携を密にし、住民に医療と介護の切れ目のないサービスを提供できるように機能分担、業務協力しやすくする制度。昨年9月の医療法改正で来年4月から設立できる。参加できるのは医療法人など非営利法人。都道府県が決める地域医療構想に沿うことが必要で、知事が許可する。

地域医療連携推進法人への底流

 地域医療連携推進法人の記事を検索していたところ、この山形の動きを見つけ、さらに過去に遡ったところ、以下の記事にたどり着きました。というか、昨年チェックしていましたが、ちょっとブログの更新が停滞していました。

 酒田市でも地域医療連携推進法人が準備されていますが、こちらは自治体病院と民間病院の棲み分けのパターンの底流です。

米沢2病院
市立と三友堂、建て替え視野に連携 経営難で再編も /山形

毎日新聞2016年12月17日 地方版
山形県

 米沢市立病院(同市相生町、322床)と民間の三友堂病院(同市中央、190床)が、双方の建て替えを見据えた連携で合意したことが16日、分かった。ともに医師不足と経営難に加えて、建物の老朽化に伴う建て替えの必要性に迫られており、病院再編や地域医療連携推進法人の設立、診療科の役割分担などが選択肢という。検討委員会を来月に設置し、初会合を開く。来年中に建て替えの結論を出したい考え。

 先月7日に中川勝市長と三友堂病院の仁科盛之理事長らが検討委の設置で合意。中川市長は「2016年度中に民間病院との連携の方向性を示したい」と発言していた。

 検討委のメンバーは、中川市長や仁科理事長の他、米沢医師会長や山形大学医学部教授、県地域医療対策課長ら。将来的な地域医療の確保を課題とし、人口減少を見据えて県が9月に策定した「県地域医療構想」を踏まえ、市内の救急医療体制の維持や病床数再編なども話し合う。

 市立病院は1958年に発足。35の診療科を持ち、外来診療棟は65年に完成。三友堂病院は1886年に三友舎として開設。19の診療科を持つ。リハビリセンターや看護専門学校なども運営している。【佐藤良一】

2016年11月 4日 (金)

日本医師会が各県の地域医療構想をチェック

 厚労省のガイドライン検討会では、日本医師会の中川副会長が数字の一人歩き、強制ではないなどと会議の都度発言し、それが含まれたガイドラインとなっています。しかし、これが各歩道府県で具体化された場合、この部録でも市民参加の点での凸凹、ガイドラインに反した運営がされていることを指摘してきましたが、その中身についても、さまざまな問題が明らかになっています。
 もちろん中心は、今回の地域医療構想での「数字」の意味です。

8月25日付け 病院新聞から

各県の地域医療構想を調査
日本医師会が分析報告発表
目的を明記(病床削減ではない)36%
住民への分かりやすい説明を

 日本医師会(横倉義武会長)は8月24日、各都道府県の地域医療構想に関する調査・分析結果を発表した。構想もしくは構想案・素案を既に策定済みの33都府県における記述内容を点検したもの。それによると、地域医療構想策定の目的・意味合いとして「病床削減」のためではないと明記されていたのは12県(36%)、地域医療構想における病床の必要量と病床機能報告制度による病床数は単純には比較できないと詳しく記述されていたのは9県(27%)にとどまることなどが明らかとなり、行政として地域住民には正しく、分かりやすく説明していく必要がある。

在宅医療等の記述 多くは踏み込めず

 今回の調査1分析は、地域医療構想について正しい理解を促進するため、8月23日時点において各都道府県のホームページで公開されている情報に基づき日医総研が実施。構想の策定状況は、策定済み19、案または素案を策定済み14、骨子案または途中経過公表中6 (残り8県は情報が確認できていない)。このうち構想策定済みと案・素案策定済みの33都府県の公開情報を分析した。

 横倉会長は会見で「日医の地域医療構想に対する基本スタンスは、病床構想策定中の県も相当数あるため、今回の調査・分析報告を参考にしてもらいたいとした。

 調査報告によると、33都府県の地域医療構想のうち、構想の意味合いとして「病床削減」のためではないとの具体的な記述があるものは12(36%)にとどまり、残り21(64%)では明確な記述がなかった。削減ではないと明記されていたのは、岩手、秋田、茨城、栃木、群馬、福井、山梨、兵庫、山ロ、香川、高知、大分の12県(香川県の例は別掲参照)。岐阜県や鳥取県では、削減との表現はなかったが、「参考値」と記述していた。

 また、地域医療構想 (病床の必要量)と病床機能報告制度(病床数)との関係をどう捉えているかの視点から、両者は単純に比較できないとの記述があったものは21 (64%)にとどまり、残り4割弱は触れていない。両者の関係や単純には比較できないことを特に詳しく記述しているのは、岩手、宮城、茨城、埼玉、千葉、神奈川、福井、山梨、香川の9県。茨城県の場合は「地域医療構想における必要病床数は、政策的な在宅医療等への移行を前提とした推計」などと留意点を列挙、宮城県の場合、病床機能報告は「参考値にとどめる」と記述された。

 調査報告は、在宅医療等について「多くのところは具体的な記述に踏み込めていなかった」と指摘。その背景には、地域包括ケアシステムの構築プロセスとどう整合性をとったらよいか分からないこと。民間事業者の参入する介護サービスの将来の整備状況(参入、需要の掘り起こし、撤退)の見通しが立てにくいことがあり、在宅医療等は介護も含めて地域包括ケアシステムと一緒に協謡する場が必要だとした。

 さらに「地域医療郷想は医療提供体制再郷築のスタートラインである。これから構想区域の調整会議で本格的な議論が始まっていく」などとして、必要に応じて追記や削除、修正を行い、より実効性あるものへの発展をめざすべきだとした。

2016年6月29日 (水)

医療計画の見直し等に関する検討会がスタート

 2016年5月20日に開催された、第一回医療計画の見直し等に関する検討会での山口育子委員の発言です。
 すでに議事録が公表され、第2回検討会は6月15日に開催されています。
(以下、公開されている議事録から)

○ 遠藤座長 ありがとうございました。

 それでは、山口構成員、お待たせしました。

○ 山口構成員 資料3の課題のところですけれども、先ほど木下補佐のお話の中で、1.の(3)のPDCAサイクルの御説明のところで住民への情報提供ということに少し触れてくださったかと思いますが、今回、2018年から6年間の医療計画となりますと、まさしく2025年直前までの6年間となって、とてもここの期間は大事な期間になると思います。

 実際に、この医療計画のところに、例えば住民への情報提供推進等ということが書いてあるのですけれども、5疾病・5事業だけにかかわらず地域医療構想も含めた住民への情報提供のあり方が必要であるということをずっと申し上げてきたのですが、いまだに住民の理解に至っていないと言えると思います。

 それで、この6年間を考えますと、住民がその地域の医療の状況について理解を深めていかないといけない時期はほかにないほど、一番高まっているときではないかと思います。それを考えますと、この課題の中に住民への情報提供の仕方とか情報提供の方法の見直しの必要性をぜひ盛り込んでいただきたいなと思います。

 特に医療計画については、たしか2006年に、作成段階で医療を受ける立場の者を入れることが明記されたと思います。メンバーに医療を受ける立場の人が確かに入ってはいても、どういう立場の人がどれぐらいの人数参加していて、どれぐらい意見を取り入れているかの検証が実際にはなされていないのではないかと思いますので、そういったことも検討が必要だと思います それから、地域医療構想も策定前から住民の声を聞く必要があるとガイドラインに明記していただいたにもかかわらず、実態調査によりますと、半分の県ではパブリックコメントにとどまっているようです。そういったところも、やはり住民を巻き込んで、住民の理解を得ながら進めていく必要性を考えますと、この課題の部分に少しそのあたりを重点的にきちんとやらなければいけないと明記することを取り入れていただきたいとお願いいたします。

(第2回検討委員会での論点整理をした「現行の医療計画における課題等について」(資料2)から)

○ 平成 26 年の医療法改正及び地域医療構想の策定状況等を踏まえた現行の医療計 画における課題等については以下の通り。

(中略)

(4)その他 (論点例)
・患者や住民、保険者の視点に立った医療計画のあり方についての検討が必要で はないか

2016年3月23日 (水)

市民病院が市財政を圧迫

 医師不足で病院が赤字、市からの補填で志野財政も悪化。さて、対応はどうなるのか。赤字の原因をそっちのけで、病院縮小、指定管理では、市の姿勢が問われるのではないかと思います。岩手のような、地域枠での医師養成などはどうなっているんでしょうか。さらに、これが新しい公立病院改革に、どう絡んでいくのか。「痛みの伴う改革」って?

3月11日付け 中国新聞

[フロントライン備後] 赤字穴埋めが市財政圧迫 尾道市民病院 厳しさ増す経営 医師不足・患者減…見えぬ打開策
赤字穴埋め 市財政圧迫
尾道市民病院 厳しさ増す経営
医師不足・患者減 見えぬ打開策

 尾道市民病院(同市新高山)の経営が厳しさを増している。市は2月に可決した2015年度一般会計補正予算で、病院会計の不足分を穴埋めする負担金4億円を追加支出。16年度一般会計当初予算案では、負担金は11億円超に上る。医師確保や患者数の減少などの課題に、解決の糸口を見いだせていない。(村島健輔、新山京子)

 「厳しい厳しいだけじゃ前には進まない」。16年度の予算案を審議する10日の市議会予算特別委員会。医師確保の困難さを説明する市側に対し、市議から声が上がった。

 市によると14年度の市民病院の実質的収支は、約1億8400万円の赤字。15年度は入院収益が当初見込みを約4億6千万円下回る見込みとなり、一般会計補正予算で負担金4億円を繰り出した。市民病院の中司善章事務部長は「緊急避難的な措置として追加の負担金をお願いした」と説明する。

 この結果、当初予算への計上分も含め、15年度の負担金は約11億円に上る。16年度当初予算案には11億7500万円を計上した。市財政を圧迫する状態が続く。

入院 想定下回る

 市は収支悪化の理由について「医師不足の影響で入院患者が減少した」とする。14年度末時点で45人いた常勤医師は現時点で42人。市は15年度の入院患者数を、当初の想定を6519人下回る8万3151人と見込む。

 入院患者数は13年度から減少傾向にあり、15年度は12月までの1日平均が221人と、12年度の86%まで落ち込んだ。松谷勝也庶務課長は「医師が減ったため手術件数も減り、入院患者数に影響している」と説明する。

 市民病院の許可病床数は330だが40床は「休床」としており、実際に使えるのは290床。病院事業への交付税額は、15年度から許可数でなく稼働数に基づいて算定される。16年度から3年間は緩和措置が適用されるものの、減額になる方向だ。

「痛み伴う改革」

 早急な対策が求められる中、市は16年度中に公立病院改革プランを策定する予定。15年9月には担当参事を配置した。しかし、病院の機能や病床数は、15年度中に策定予定の県の地域医療構想が基本となる。県の構想に沿った改革プランを策定する必要もあり、スピード感のある対応ができるかどうかは不透明だ。

 予算特別委で片岡幹男病院事業管理者は「痛みを伴うような改革も必要だと思っている」と決意を述べた。市財政への影響を拡大させないためにも、実効性のある対策が求められる。

2016年3月18日 (金)

医療審議会で「地域医療構想」決定、具体化へ

 これまで傍聴、要請、懇談をしてきた岩手県の「地域医療構想」が、医療審議会が最終決定し、県に答申しました。全国的な進行状況は、まだ計画最低が過半数に届かない状況のようですが、聞こえてきている範囲では、「協議の場」の前倒し、2次医療圏ではなく構想区域の設定、独自の必要病床の計算というところでしょうか。早く、全国の実態調査結果が待たれます。

3月17日付け 岩手日報から

病床機能転換促進へ
県医療審議会答申
16年度具体協議

 県医療審議会(会長・石川育成県医師会長)は16日、将来のあるべき医療提供体制の方向性を示す地域医療構想の最終案を了承し、県に答申した。高齢化社会を踏まえ、リハビリや在宅復帰など不足する病床機能への転換を促す。2016年度から構想区域ごとに「協議の場」を設け、地域医療や在宅医療の体制整備など具体の協議に入る。

 同審議会は盛岡市内で開かれ、医師や有識者ら委員19人が出席した。最終案は団塊の世代が75歳以上となる25年には、療養が必要な慢性期や急性期の病床など約3千床(14年比)が過剰になると試算。リハビリや在宅復帰を担う回復期病床への転換を図る必要性を指摘した。

 パブリックコメント(意見公募)で病床削減を懸念する声があることに対し、県医療政策室の鈴木優医療政策担当課長は「病床を強制的に削減するためのものではない」と説明。

 在宅医療への移行については「地域の実情を踏まえる必要がある」とし、各2次保健医療圏に設ける協議の場で10年後を見据え議論を深める方針を示した。

 病床の機能区分を把握するため病院に毎年報告を求める病床機能報告も基準が不明確で「実態を反映できていない」との指摘があり、さらに実態把握に努めた上で協議に生かしていく予定だ。

 県保健福祉部の佐々木信部長は「答申を尊重して構想を策定する。地域医療の質を高めるとともに、各地域で必要な医療を受けられる体制づくりを目指す」と述べた。

2015年12月29日 (火)

地域医療構想は、住民参加で議論をと知事が指示

 市民参加へ、知事が具体的に指示していることが分かりました。ここで紹介した、岩手日報論壇の掲載が10月7日、そして9月県議会が10月2日から開会、一般質問が13日から。そして、この指示メールが22日という流れを考えると、日報論壇が県の方向に影響を与えた、ということでしょう。

「公文書(メール印刷物)」をダウンロード

2015年12月25日 (金)

地域医療計画に合わせた看護師需給計画へ

 様々な計画が、法律の施行と同時にスターとしていますが、2025年に向けた地域医療構想を1つの軸に、さまざまな政策、計画が「統合」されつつあります。看護師の需給計画も、地域医療構想を前提に、再検討のようで、感じとしては養成の縮減か??、それとも在宅医療を見据えた増員か?。
 

12月20日付け しんぶん赤旗から

看護師需給計画見通し策定せず
国の責任投げ捨て

 厚労省は18日、看護職員需給見通しに関する検討会を1年ぶりに開き、今後の看護職員の需給見通しは、新たに設けた「医療従事者の需給に関する検討会」の下に設ける看護職員需給分科会で議論していくことを決めました。この結果、2016、17両年の看護職員需給見通しが策定されないことになり、委員から「国の見通しに基づき計画を策定していた県は困るのではないか」、「国としての検証ができなくなる。やめる必要はないのではないか」などの意見が相次ぎました。

 同需給見通しは、都道府県の医療計画などの策定に用いられ、看護職員の確保対策を実施する上で欠かせないものです。

 病床や医療機関の再編・削減計画である 「地域医療構想」を各都道府県が策定中で、厚労省は、これを踏まえた見通しとする必要があるとして、当面、16、17の2ヵ年の見通しを出す予定で卜た。

 同省は2ヵ年の需訟見通しを見送っても引き続き確保対策に取り組んでいくと説明しました。

 これまでの見通しで.は、高齢化のピークとされる2025年に196万~206万人が必要ですが、達成できる見通しはたっていません。そのため厚労省は、「地域医療構想」にもとづいて病床などを削減した上で需給見通し計画を立てることを狙っています。

2015年12月 9日 (水)

小さな医療圏では、97床で42%もの減に

 各地で地域医療構想の地域での協議も進行しています。将来を展望して、構想を練るのは大事な事ですが、地域の不安の解消こおそ大事な視点で、ベッド削減ありきでは、どうもいただけません。
2015.12.05 山梨日日新聞 

病床42%減少に懸念 峡南区域「体制の維持困難」

 地域医療の将来像を示す「地域医療構想」策定に向け、峡南構想区域の医療関係者らの意見を聞く県の調整会議が3日、開かれた。県は人口減少に伴い、2025年に同区域の病院ベッド(病床)数を現状より97床(42・8%)少なくする目標値を提示。出席者は「病床を削減したら地域の医療提供体制は維持できない」などと懸念を示した。

 会議は富士川町の南巨摩合同庁舎で開き、同区域の公立病院の関係者らが出席した。県担当者は、高齢化率が高まる一方、人口減少で高齢者の総数が減少することから、同区域の入院患者が現時点から大幅に減少していくという推計を示した。

 出席者からは「医師や在宅診療所などが不足した状況で算出したデータを見て、将来さらに必要なくなると推測するのは疑問。地域の実情に合わせて進めるべきだ」「病床数を減らせば、人口減少に拍車が掛かる。人口を維持するためにも医師の確保に力を入れて医療の提供体制を維持したい」などの意見があった。

 これに対し、県担当者は「構想は、医療ニーズの変化に沿った提供体制をつくろうという、将来の目指すべき姿。策定後も人口変動に応じて見直しをしていかなければならない」などと説明した。
〈古守彩〉

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