ガイドライン関連

2009年6月20日 (土)

小児救急センターの設置はどこに責任が

 小児救急の二四時間体制整備に中間提言がまとめられたようです。しかし、全国で二〇施設では、ちょっと不安ではないでしょうか。どういう地域での完結をめざのか、今後の進展に注目です。

小児救命救急センター整備を提言 厚労省検討会

共同通信 2009年6月6日(土)08:07

 重症の小児患者に対する救急医療の在り方を協議する厚生労働省の有識者検討会は6日までに、心肺停止など緊急性が極めて高い「超急性期」の小児を、診療科を問わずに24時間受け入れる「小児救命救急センター(仮称)」の整備を盛り込んだ中間提言をまとめた。検討会によると、日本は1~4歳の死亡率が先進国の中で高く、専門家は以前から「乳幼児の救命態勢が不十分なことが原因」と指摘している。

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2009年3月 2日 (月)

総合水沢病院も特例債が許可 岩手

 2月26日付け病院新聞では、公立病院特例債について詳細を報じています。総合水沢病院もしっかり許可されていましたが、今後の運営形態の方向性は「独法、指定管理者、譲渡、診療所、医療機関以外」などとし、老健への転換までも含めた方向が示されています。

 以下、病院新聞から

Tokureisai

総務省 52団体に公立病院特例債発行

 医師不足等による不良債務の解消を支援

 総務省は十八日、増加する公立病院の不良債務解消を支援するための公立病院特例債の発行予定団体を発表した。特例債発行が許可されたのは-県、二指定都市、四十九市町(-部事務組合含む)の計五十二団体で、総額は約五百七十二億五千万円。公立病院改革の-環で、改革プランの策定により単年度収支の均衡が見込まれる団体等が対象。特例債発行予定五十二団体の本年-月末現在の公立病院改革プラン(経営効率化、再編・ネットワiク化、経営形態見直しに関する目標年度を設定した計画)の主な内容も公表された。

 深刻な医師不足、経営難に直面する公立病院についでは、その再生に向け、国のガイドラインに基づく改革プランの策定が各地方公共団体で進み、二十年度中に全病院の策定が終了する。経営効率化に関する実施計画部分は三年程度、再編・ネットワーク化と経営形態見直しの実施計画部分は五年程度の期間が目安。

 公立病院特例債の発行(二十年度の発行に限る)は改革を後押しするため、十五年度以降の医師不足の深刻化等で新たに発生した不良債務等を長期債務に振り替え、その計画的解消を図ることにしたもの。十九年度決算で不良債務比率が一〇%以上、改革プランの策定により単年度収支の均衡を図ることが見込まれ、十五年度以降医師不足等により不良債務が著しく増加している団体が対象。特例債の償還期間は七年以内、利払額は特別交付税措置の対象となる。

 公立病院特例債の発行予定団体・発行予定額は別表のとおりで、沖縄県(六県立病院)、名古屋市(五市立病院)およぴ神戸市(二市立病院。地方独立行政法人に移行)の二指定都市、四十八市町、-部事務組合-の計五+二団体。地域的には北海道の十二市町、青森県の八市町、大阪府の五市などが多い。

 これら団体の公立病院改革プランを見ると、再編・ネットワークの方向性や経営形態見直しに関しては、名古屋市の五市立病院の再編、函館市の三市立病院の再編、宮城県登米市の市立四病院・一診療所の再編(既に二病院が診療所化)などの動きがある。

52団体の病院改革プランの状況

 公立病院特例債の発行予定五十二団体の本年一月末時点の改革プランのうち、①病院名②再編・ネットワーク化の結論の取りまとめ時期③経営形態見直し(現形態の検証含む)に関する結論のとりまとめ時期およぴ見直しの方向性-は次のとおり。なお、『全適』は公営企業法全部適用の略、『独法』は地方独立行政法人の略、 『指定管理者』は指定管理者制度の略、『譲渡』は民間譲渡の略、 『診療所』は診療所化の略、『医療機関以外』は老健施設など医療機関以外の事業形態への移行の略。

〔沖縄県〕
①北部病院、中部病院、南部医療センター・こども医療センター、宮古病院、八重山病院、精和病院②二十三年度③二十四年度(現在は全適)=独法、指定管理者(精和病院)。

〔名古屋市〕
①東部医療センター、東市民病院、東部医療センター、守山市民病院、西部医療センター、城北病院、西部医療センター城西病院、緑市民病院②二十二年度(五百床規模の病院と百床規模の病院に再編)③二十二年度(現在は全適)=独法、指定管理者。

〔神戸市〕
①市立医療センター中央市民病院、市立医療センター西市民病院②二十一年三月③十九年六月=独法(決定済み)。

〔函館市〕
①市立函館病院、市立函館恵山病院、市立函館南茅部病院②二十二年度末⑧二十二年度末(現在は全適)=独法、指定管理者、診療所(恵山病院、南茅部病院)、医療機関以外(恵山病院、南茅部病院)。

〔小樽市〕
①市立小樽病院、市立小樽第二病院②二十一年度申③二十年十二月=全適(決定済み)。

〔留萌市〕
①留萌市立病院②二十四年度末③二十四年度(現在は全適)=独法、指定管理者。

〔苫小牧市〕
①苫小牧市立病院②二十一年三月③二十二年三月=全適。

〔美唄市〕
①市立美唄病院②二十五年度③二十五年度=全適、独法、指定管理者、譲渡。

〔江別市〕
①江別市立病院②二十四年度③二十四年度=全適。

〔赤平市〕
①市立赤平総合病院②二十五年度③二十五年度=全適。

〔士別市〕
①士別市立病院②二十四年度⑧二十四年度=全適。

〔根室市〕
①市立根室病院②二十四年度③二十四年度=全適。

〔松前町〕
①松前町立松前病院②二十三年度末③二十年九月=全適(決定済み)。

〔森町〕
①森町国民健康保険病院②二十四年度③二十四年=指定管理者。

〔白老町〕
①白老町立国民健康保険病院②二十一年三月③二十五年度=医療機関以外。

〔弘前市〕
①弘前市立病院②二十一年十二月③二十三年度=全適。

〔八戸市〕
①八戸市立市民病院②二十二年三月③二十三年度(現在は全適)=独法、指定管理者。

〔黒石市〕
①黒石帝国民健康保険黒石病院②二十一年十二月③二十年度=全適(決定済み)。

〔十和田市〕
①十和田市立中央病院②十九年三月③二十二年四月=全適。

〔鯵ヶ沢町〕
①鯵ヶ沢町立中央病院②二十一年度⑧二十一年度=全適。

〔大鰐町〕
①町立大鰐病院②二十一年十二月③二十一年九月=全適。

〔板柳町〕
①國民健康保険板柳中央病院②二十一年十二月③二十一年十二月=全適。

〔三戸町〕
①三戸町国民健康保険三戸中央病院②二十二年三月③二十三年三月=全適。

〔奥州市〕
①奥州市総合水沢病院②二十一年二月③二十三年度(現在は全適)=独法、指定管理者、譲渡、診療所、医療機関以外。

〔塩轟市〕
①塩竃市立病院②二十-年三月③二十二年四月=全適。

〔登米市〕
①登米市立佐沼病院、登米市立米谷病院(上沼診療所含む)、登米市立豊里病院(血山診療所含む)、登米市立登米診療所②二十二年度(診療所化は二十年十二月、現在は全摘)=独法、指定管理者、譲渡、診療所(決定済み。米谷病院、よねやま病院)

〔男鹿市〕
①男鹿みなと市民病院②二十三年度③21年度=全摘、指定管理者

〔高畠市〕
①公立高畠病院②二十一年三月③二十一年三月=全摘。

〔北茨城市〕
①北茨城市立総合病院②二十二年度③二十年度中=全摘。

〔三浦市〕
①三浦市立病院②二十一年三月③二十一年三月=全摘。

〔佐渡市〕
①佐渡市立両津病院、佐渡市立相川病院②二十三年九月③二十四年四月=全適、独法、指定管理者、譲渡。

〔穴水町〕
①公立穴水総合病院②二十二年度③二十三年度=指定管理者。

〔伊南行政組合〕
①昭和伊南総合病院②二十五年度③二十一年二月=全適。

〔常滑市〕
①常滑市民病院②二十二年三月⑧二十二年三月=全適、独法。

〔名張市〕
①名張市立病院②二十三年度③二十三年度=全適、独法。

〔京丹後市〕
①市立弥栄病院、市立久美浜病院②二十五年度③概ね二年を経過した時点で目標の達成状況により判断する=全適、独法、指定管理者。

〔泉大津市〕
①泉大津市立病院②二十一年度末(和泉市立病院と産科婦人科の連携ネットワーク)③二十二年度末=全適、独法。

〔泉佐野市〕
①市立泉佐野病院②二十.二年度③二十年度末(現在は全摘)=独法、指定管理者。

〔和泉市〕
①和泉市立病院②二十一年度末(泉大津市立病院と産科婦人科の連携ネットワーク)⑧二十二年度末(現在は全適)=独法、指定管理者。

〔柏原市〕
①市立柏原病院②二十一年度末③二十一年度=全適。

〔阪南市〕
①阪南市立病院②二十一年度末③二十一年度末=全適、独法、指定管理者、譲渡。

〔高砂市〕
①高砂市民病院②二十三年度③二十四年度(現在は全適)=独法、指定管理者。

〔香美町〕
①公立香住病院②十九年二月③二十四年度=全適独法、指定管理者、譲渡、診療所、医療機関以外。

〔橋本市〕
①橋本市民病院②二十三年度③二十三年度(現在は全適)=独法。

〔智頭町〕
①国民健康保険智頭病院②二十二年三月③二十三年度(現在は全適)=診療所、医療機関以外。

〔山陽小野田市〕
(ア)①山陽小野田市民病院②二十四年度③二十四年度(現在は全適)=独法、指定管理者。
(イ)①山陽市民病院②二十年度③二十度=譲渡(決定済み)。

〔徳島市〕
①徳島市民病院②二十一年度③二十三年度(現在は全適)=独法、指定管理者。

〔大月町〕
①大月町田民健康保険大月病院②二十一年度③二十一~二十三年度(毎年度)=全適。

〔川崎町〕
①川崎町立病院②二十二年三月③二十一年二月=全適、独法、指定管理者、譲渡、診療所。

〔大村市〕
①市立大村市民病院②二十五年度③二十三年度=指定管理者(二十年度実施済み)。

〔松浦市〕
①国民健康保険松浦市民病院②二十五年度③二十年十二月=診療所(決定済み)。

〔荒尾市〕
①荒尾市民病院②二十三年度③二十年九月=全適(決定済み)。

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2009年2月26日 (木)

公立病院特例債が決定

 2月18日付け共同通信配信で、公立病院特例債の発行が決まったと伝えています。申請は「25道府県の計56自治体」で発行が認められたのは52団体ということは、どこかが発行を認められなかったような感じ。さて、水沢総合病院は?

 以下、共同通信から

08年度、52団体が特例債発行  公立病院支援に570億円

 総務省は18日、経営悪化した公立病院の財政支援に充てるため2008年度に限り発行を認める公立病院特例債について、25道府県の51自治体と一部事務組合の計52団体による総額573億円分の発行に同意した。返済期間は約7年。

 特例債は、資金繰りの悪化で病院事業の不良債務比率が一定水準を超えた自治体が発行。返済額を分散させるとともに利息分に特別交付税を充て、財政負担を軽くする狙いがある。

 都道府県と政令指定都市では、6つの県立病院を抱える沖縄が30億円、5つの市立病院を持つ名古屋が34億円、2つの市立病院がある神戸が17億円を発行。それ以外の自治体で発行額が多いのは、北海道函館市29億円、大阪府泉佐野市25億円など。

 政令市以外の市町の都道府県別発行額では、北海道が計136億円と最多で、多額の病院赤字を抱える赤平市を含む12市町が発行。次いで大阪が5市で計90億円、青森が十和田市など8市町で計56億円など。

 長野県では、駒ケ根市など1市1町2村でつくる一部事務組合「伊南行政組合」が6億円を発行する。

2009/02/18 17:31 【共同通信】

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2009年2月17日 (火)

臨床研修医の地域定着49% 

 2004年度から臨床研修制度が始じまり、見直し論議が盛んになっています。地元医学部、臨床研修で、学生・医師の地元定着がどうなっているかの調査結果が文部科学省から発表され、各紙で報じられています。

 ちなみに、岩手は45~50%(03年度)から40~45%(08年度)と低下しています。(表は岩手日報から)

 以下、2月7日付け中国新聞web版から

医学生、卒後は半数流出 研修医の地域定着率

Teityaku  医学部卒業生のうち出身大学がある都道府県に残って研修医となったのは49・1%と、二人に一人は他地域へ流出している実態が七日、文部科学省の二〇〇八年度の定着状況調査で分かった。今回の調査に合わせて調べた〇三年度は57・8%で8・7ポイント低下していた。

 こうしたデータを同省が分析したのは初めて。三十三都道府県で定着率が〇三年度より低下したが、特に北陸や山陰、九州などの十二県は20―35%と地元確保が難しくなっている状況が判明、地方の医師不足や地域偏在を示した。背景には豊富な臨床例が経験でき、条件の良い都市部などに地方の人材が集まっていることがあるとみられる。

 調査は昨年九月に実施。過去のデータがない東京や大阪の計三校と出身地に戻ることが条件の入学枠がある自治医大を除く、国公私立医科系七十五校について、卒業直後の動向を調べた。

 都道府県別(データは5%刻みで分析)で〇八年度の定着率が最も低かったのは島根と宮崎の20―25%。25―35%は青森、富山、福井、鳥取、大分、宮城、高知、長崎など。

 高かったのは65―70%の北海道と大阪で、60―65%の神奈川、愛知、奈良、熊本などが続いた。

 〇三年度との比較で低下幅が大きかったのは千葉、鳥取、島根、山口で25ポイント減だった。上昇したのは秋田、栃木、長野、沖縄など七県でうち和歌山は15ポイント上昇し、60―65%となった。

 地域医療を担う人材確保のため大学側も約三十校で地元高校生らを対象に地域入学枠を設けているが、文科省は「このまま低下が続けば、医師不足に悩む地方はさらに深刻な事態となってしまう」としている。

 医師の不足や偏在をめぐり、政府は医学部定員増のほか、二〇一〇年度以降に医療機関の募集枠制限などで特定の地域に人材が集中しないよう、臨床研修制度を改める方針を固めている。

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2009年2月 8日 (日)

同じ財政措置を伝えてもこんなに違う

1月30日付け岩手日報でも、自治体病院等への財政支援策を報じています。病院新聞の記事も紹介しましたが、わかりやすさ、でずいぶん違うものです。誰を対象に情報を提供するか、という違いでしょうか。

 以下、岩手日報から

自治体病院事業医ヘの交付税
不採算地区要件は緩和

 公立病院の七割以上が赤字の状況を受け総務省は二十九日、病院を抱える地方自治体に対する二〇○九年度地方交付税の財政支援の概要を決めた。医師不足が深刻な産科や小児科には、ベッド一床当たりの特別交付税を四割以上増やすことで医師の確保や待遇改善を図り、過疎地など不採算地区の病院に対する支援も広げる。

 これにより自治体の病院事業ヘの交付税は、〇八年度の二手九百三十億円から約七百億円上積みされる。総務省は一般財源である交付税を増やすことで、財政状況が厳しい自治体でも公立病院への支援が拡充できるとしている。

Siryou  財政支援では、緊急的な財政需要に充てる特別交付税の配分額について、周産期医療は一床当たり二百四十四万円から三百五十五万円、小児医療は九十六万円から百三十五万円にそれぞれ増額する。

 不採算地区の病院は「同じ市町村内に民間も含めて病院が1つしかない」などとしている支援用件を緩和。一床当たり六十八万円を配分している特別交付税を①最も近い別の病院まで十五キロ以上離れて②その他の地域で人口密度が一平方キロ当たり四千人未満は八十万円-に引き上げる。

 これを受け不採算地区の対象病院数は、二百三十三から約三百二十に増える見通し。

 併せて{すべての公立病院に一床当たり四十八万円を配分している普通交付税を五十九万円に約二割増額。救急病院には、普通交付税として全国ベースで約三百億円を見積もり、配分額の算定基準は今後詰める。

 全国九百五十三カ所の公立病院のうち、〇七年度は六百八十八病院が赤字。勤務条件が過酷な産科、小児科、救急医療などでは医師不足が深刻化し、一部自治体は医師の給与引き上げなどの措置を講じる一方、国に財政支援を求めていた。

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2009年2月 7日 (土)

公立病院への財政支援措置で説明会

 1月22日付け病院新聞では、公立病院への財政支援策の考え方についての説明会の状況を報じています。総務省の公立病院に関する財政措置のあり方等検討会での検討を踏まえたもので、このブログでも動きを伝えてきました

 以下、病院新聞から

公立病院 財政支援措置説明
総務省 公営企業管理者会議

 総務省は二十一日、全国都道府県・指定都市公営企業管理者会議を開催した。地方公営企業のうち病院事業については自治財政局の濱田省司・地域企業経営企画室長か説明に当り、..二十年度中に策定を求めている公立病院改革プランと二十一年度地方交付税措置の大幅拡充(約七百億円増)についてポイントと留意点を示した。

 地方交付税措置の改正案(後掲参照)では単価の大まかな数字を目安として示した。また、一般会計からの綴り出しルールをより明確化させた三パターンの事例も提示した。改革プランについては、「三月までの状況を改めて調査し公表したい」とした。

 公立病院に対する財政措置拡充では、夫妻山地区病院の用件緩和と単価増、救急告示病院の普通交付税措置への移行、周産期病床、小児病床の単価増、公的病院等ヘの財政措置の準用拡大等が図られる。

《病院事業に係る地方交付税措置の主な改正案(平成二十一年度)》

1,普通交付税(都道府県分および市町村分共通)

 ▽病床割単価(許可病床一床当たり)=四十八万二千円から五十九万円程度(総額で三百億円程度増)▽救急告示病院分(特別交付税から普通交付税に移行。新規)=検討中(総額二百億円から三百億円程度)。

2,特別交付税(市町村分)

 ▽不採算地区病院(許可病床一床当たり=六十八万円から第一種百二十万円程度、第ニ種八.十万円程度
 ▽周産期医療病床=二百四十三万八千円から三百五十五万円程度
 ▽小児医療病床=九十五万八千円から百三十五万円程度
 ▽小児救急医療提供病院(一病院当たり)=五百四十六万円から八百九十万円程度
 ▽救命救急センター等=検討中(救急施設全体として普通交付税移行分含め措置総額概ね五割増)。

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2009年2月 5日 (木)

「社会医療法人」26団体を認定

 1月22日付け病院新聞では、社会医療法人の認定状況を報じています。この新しい医療法人は、「自治体病院の受け皿」となれる、という触れ込みです。県内でも奥州市の医療法人が申請していますが、まだ認定されていないようです。

 以下、病院新聞から

 「社会医療法人」26に
 厚労省が各県の認定集計

 平成十八年医療法改正で制度が創設され、昨年四月から各都道府県で認定の始まった「社会医療法人」の認定数が予定を含め全国で二十六となったことが厚生労働省の集計(二十年十二月十八日現在)で明らかとなった。社会医療法人は公益性を高め、自治体病院の受け皿とされているもの。医療本体の収益に対しての法人税が非課税であり、二十一年度税制改正ではさらなる優遇措糧として救急医療等確保事業を行う病院・診療所に係る固定資産税、都市計画税、不動産取得税の非課税措置が加わることになった。認定状況(法人名、施設の名称等)は次のとおり。

 社会医療法人の認定状況

平成二十年7月から十二月認定
1,医療法人社団カレスサッポロ(北光記念病院。北海道札幌市中央区。7月10日)
2,医療法人誠光会(草津総合病院。滋賀県草津市。9月1日)
3,医療法人厚生会(木沢記念病院。岐阜県美濃加茂市。10月1日)
4,医療法人蘇西厚生会(松波総合病院。岐阜県羽島郡笠松町。10月1日)
5,特定・特別医療法人明和会医療福祉センター(渡辺病院。鳥取県鳥取市。10月1日)
6,医療法人仁厚会(医療福祉センター倉吉病院。鳥取県倉吉市。10月1日)
7,医療法人財団大樹会(総合病院回生病院。香川県坂出市。十月一日)
8,医療法人財団天心堂(ヘつぎ病院。大分県大分市。十月八日)
9,医療法人財団董仙会(恵寿総合病院。石川県七尾市。十一月一)
10,医療法人大成会(福岡記念病院。福岡県福岡市早良区。十一月一日)
11,特定・特別医療法人函館渡辺病院(函館渡辺病院。北海道函館市。十一月一日)
12,特別医療法人福島厚生会(福島第一病院。福島県福島市。十一月一日)
13,医療法人昌林会(安来第一病院。島根県安来市。十一月二十六日)
14,特定・特別医療法人慈泉会(相澤病院。長野県松本市。十二月一日)
15,医療法人社団更生会(村上記念病院。愛媛県西条市。十二月一目)
16,博進会(南部樹院。青森県三戸郡南部町。十二月一日)

 平成二十一年一月一予定

17,医療法人杜団至誠会(至誠会木村病院。福岡県福岡市博多区〕
18,医療法人石州会(六日市病院。島根県鹿足郡吉賀町)
19,医療法人社団清和会(西川病院。島根県浜田市)
20,医療法人愛仁会(千船病院、高槻病院。大阪府大阪市西淀川区)
21,医療法人協和会(加納総合病院、北大阪病院。大阪府大阪市北区)
22,医療法人{具美会(中野こども病院。大阪府大阪市旭区)
23,医療法人生長会(府中病院、ベルランド病院。大阪府和泉市)
24,医療法人栄公会(佐野記念病院。大阪府泉佐野市)
25,医療法人きっこう会(総合病院多根病院。大阪府大阪市西区)
25,医療法人ペガサス(馬場記念病院。大阪府堺市市)

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2009年1月20日 (火)

総務省が公立病院等への財政措置を具体化

 病院新聞1月15日号では、総務省での公立病院等への財政支援策についての報道があります。

 以下、病院新聞から

総務省 公立病院への財政支援強化
過疎地・産科・救急等 地方交付税措置700億円増

 鳩山邦夫総務相は十二月二十六日に開かれた政府の地域医療の機能強化に関する関係閣僚会議の初会合に「公立病院に関する財政措置の改正要綱」を提出した。総務省の公立病院に関する財政措置のあり方等検討会(座長=持田信樹・東京大学大学院経済学研究科教授)の報告書を踏まえ、深刻な医師不足と経営悪化に直面する公立病院の財政支援強化のため‐二十-年度以降、地方交付税による措置総額を七百億円程度増額することを盛り込んだもの。具体的には、不採算地区病院の運営費に対する特別交付税措置の適用要件(規模要件・地域要件)を緩和、百五十床未満までの病院、国勢調査の「人口集中地区」以外の区域にある病院まで支援対象に加え、措置額は百床までは手厚く、百床超の病院には逓減方式を入れるなど算定方法を改める。また、産科、小児科、救急医療等に対する財政措置の拡充を図るほか、公立病院と同等の医療機能を担う他の地域の病院に対する財政措置の準用拡大を図る。財政措置の改正要綱の内容は次のとおり。

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2008年12月16日 (火)

医師に地方勤務義務化をと全自病協邊見会長

 12月12日岩手日報では、全自病協の勤務医不足改善策を報じています。これまで前会長の小山田さんも主張していた一定期間地方勤務を義務付けるというもの。様々な反発、同意などが表明されています。

 以下、岩手日報から

医師に地方勤務義務付けを
自治体病院協議会会長 偏在の改善ヘ訴え

 全国自治体病院協厳会の辺見公雄会長は十一日記者会見し、診療科や地域による医師の偏在を改善するため、大学の医学部卒業生の半数程度に一定期間の地方勤務を義務付けるなど実効性のある医師確保策が必要との考えを示した。協議会は既に自民党にこの考えを要望している。
 会見で辺見会長は「(医師不足で)住民の基本的生存権が奪われている」と強調した。さらに「「医師の総数を増やしても銀座で形成外科を開業したのでは意味がないと指摘、地方の病院を中心に小児科や産婦人科などの医師が不足している状況を改善するには、強制カのある対策がと訴えた。
 また、公立病院が購入する医薬品などのコストを削減するため、複数の自治体が共同購入できるように、国に規制綬和を求めることも明らかにした。

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2008年11月28日 (金)

新たに財政によるベッド削減を加速

 11月25日付け岩手日報web版では、総務省の新たな財政締め付け方策が決定されたと報じています。途中の中間報告では、地方の公立病院を県立に統合するなどの目新しい施策も検討されていた気がします。病床利用率で交付税を査定されたら、今の医師不足の困難な中で、一気に病床削減が進められ可能性があります。

 以下、岩手日報web版から

2008年11月25日公立病院への財政支援充実求める総務省の検討会

 公立病院を抱える自治体への支援策を話し合う総務省の有識者検討会は25日、過疎地の病院や医師不足が深刻な産科、小児科、救急医療などに対し、地方交付税による財政支援の充実を求める報告書をまとめた。

 一方で経営効率化を促す観点から、病床利用率が低い病院に対する交付税を早ければ2011年度から削減する方向で検討するよう提言した。

 総務省は報告書を受け、交付税の増額分について来年度予算編成に反映させる方向で財務省などと折衝する。

 報告書は、公立病院が過疎地の地域医療の拠点となっており、産科や小児科などの不採算部門も担うことから、診療報酬以外に国による財政支援が必要と指摘した。

 現行で、周産期医療に1床当たり244万円、小児医療に96万円などとしている交付税の増額を求めたほか、過疎地の病院に対する支援要件の緩和や、日赤などが運営する公的病院への交付税適用も求めた。

 病床利用率を交付税の算定に反映させる措置については、一部委員から「利用率低下は近年の医師不足が原因なのに交付税を急に減らすのは酷だ」との慎重意見が出たため、来年度以降の病院経営の実態を見ながら11年度をめどに導入を検討するとした。

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2008年11月20日 (木)

地域医療再生フォーラム2008が開催

 全自病協など10団体の主催による自治体病院全国大会=地域医療再生フォーラム=に参加しました。前回は自費参加でしたが、今回はようやく出張に。しかし、翌日の行事の関係で、途中で帰盛。

 邊見全自病協会長が閉会あいさつを行いました。

 セーフティーネットの最たる者は、医療と教育だ。そして医療の中心は自治体病院だ。しかし、その自治体病院が今一番の危機に立たされている。ある市立病院の幹部は、市立病院は10年前に悪い病院が淘汰された、今は自治体病院がそれに直面していると話している。朝の議員連盟への要請では、会長として医師として、追加発言をした。10年ほど前の国立病院改革プランの時とは違い、今は医師不足が深刻だ。医師1人が月に1億か081118121042_2ら1億5千万収益を上げる。その医師が次々と退職する中で改革が求められている。しかし、我々は改革プランで頑張らなくてはいけない。
 なるほど、総務省交渉での指摘のとおりですね。どうしてガイドラインには問題がある、経営優先ではなく、地域医療を守ろうとならないのか。

 釜石での講演に来ていた志木市の方の顔を見かけましたが、閉会で立ち上がる人が多く見失い残念。

  全自病協、開設者協議会など10団体の要望書のガイドライン関係は以下のとおり。

「4.公立病院改革ガイドラインについて

1) 先般、総務省より公立病院改革ガイドラインに沿った改革プランの策定が要請され、自治体病院には経営の効率化と再編・ネットワーク化、経営形態の見直し等が求めれている。この改革を進めるにあたっては、医師にとってやりがいがあり、住民にとって安心できる勤務環境・医療提供体制の整備を進めることができるよう国は必要な財政的支援を行うこと。

2) 特に、再編・ネットワーク化については、一定の財政措置が講じられているところであるが、基幹施設及びその他施設への出資・負担や既存施設の除去など財政負担が多大であり、合併特例債並みに交付税措置の割合を引き上げることなど、一層の充実を図ること」

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2008年11月17日 (月)

自治労連、日本医労連が総務省と交渉

 11月13日は、 「なくせ貧困!守れ雇用!生活危機突破中央行動」が全労連、農民連など多くの団体が参加して、日比谷野音を埋め尽くして開催されました。この集会を伝えるマスコミは・・・あれ、ヒットしない。各種団体が大いに取り上げていることと比べると、なんという明暗。乱読のススメで紹介したブログとは何か、その可能性について、既存のマスコミの限界など、いろいろと考えさせられます。

 総務省交渉を1時から自治労連が、1時30分から医労連が行いました。ほぼ同じ要請項目で、ほぼ同じく30分。ここ数回は同じ係長が対応。前回の交渉では、ガイドラインに反対しているのは、医労連など組合だけだ、などとしていることから、このブログでも紹介した全自病協の邊見新会長の発言や、 全自病協の地方会議で出された異論、反論を紹介し、見解と迫りました。そういう発言等の事実は認め、当人もその地方会議の説明に回ったことは認めましたが、異論、反論はあっても最終的には、その方向でプランを作ることを了承された、と回答。たしかに、データとしては、9月末の調査で9割を超える病院で改革プラン作成の準備が進められていることもあります。

 その第2回目の計画作成状況の調査結果に関して、都道府県の再編・ネットワークの指針がようやく半数を超える程度であり、このままでは各病院が一方的に廃院、再編を計画した場合、県内の総合的視点がなければ、医療空白地域さえ生みかねない状況です。担当者は(係長が国会用務で中座)、たしかに問題です、と素直に認めていました。

 今後の課題は、同じ項目で自治労連、医労連がいっしょに交渉することの調整でしょう。運動でも、交渉でも、様々な面でいっしょにやっていかないと、この大きな流れは変えられません。

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2008年11月14日 (金)

都立墨東病院の産科医不足でレポート 

 11月2日付けしんぶん赤旗では、妊婦死亡事件の背景をレポートしています。大都会東京の、それもER病院で、常勤産科医師が8人から4人に激減していた事実を伝えています。国の医師抑制政策が、いかに現場を疲弊させているかを鋭く指摘しています。

 以下、しんぶん赤旗web版から

社会リポート 都立墨東病院の産科医不足 常勤半減 過酷な勤務 土日のたびに不安な思い

 東京都で脳内出血を起こした妊婦(36)の死亡事件で、深刻な産科医不足が改めて注目されています。最初に受け入れを断った都立墨東病院(墨田区)の周辺住民は「(当直医が一人になる)土日のたびに地域のお母さんたちは不安な思いをしている」と一刻も早い対策を求めています。(本田祐典)

悲惨さ知って(写真)産科の当直体制が維持できなくなっていた都立墨東病院=東京都墨田区

 「こんなに施設が整った病院なのに受け入れられなかったことが悔しい」。墨東病院の関係者は唇をかみます。別の病院関係者は「出産件数の多い都会で産科医が不足しているという現実がどんなに悲惨か知ってほしい」と語ります。

 墨東病院はリスクの高い妊婦を診る都内九カ所の総合周産期母子医療センターの一つ。江戸川区、江東区、墨田区を中心とする地域の産科救急の拠点でした。五年前に八人いた常勤産科医は現在、四人に。体制維持が困難になった理由を、都は「過酷な勤務状況があった」(病院経営本部)といいます。今年七月、土日の母体搬送受け入れを中止しました。

 六月に男の子を出産したばかりの女性(29)=墨田区=は「このままでは妊婦も、お産を引き受けてくれる地域のお医者さんも安心できない」と語ります。

 死亡事件の七カ月前の今年二月、江戸川、江東、墨田各区の医師会と産婦人科医会は会長六名の連名で「総合周産期母子医療センターの継続と充実が必要」とする要望書を都と墨東病院に提出。都の返事はありませんでした。

 江東区助産師会の加瀬けさ会長は「『墨東が搬送をなかなか受けてくれない』という声があがっている」と語ります。

 三百六十五日の当直態勢に穴をあけた過酷な勤務を、墨東病院の関係者は「産科医は出勤時にはタイムカードを押すが、退勤は押さずにシフトの合間にも手術や診療など時間外労働に追われている」と証言します。数年前に連続三十二時間勤務(日勤、当直、日勤)の是正を試みたものの、産科医が減ったため従来と変わらない実態だといいます。

 江東区内にある婦人科診療所の院長は「墨東の先生方はいつ過労死してもおかしくない」と話します。総合病院の産科に勤務した経験から「医師不足はどこも深刻で、産科医が労働基準法を守れと言ったら産婦人科医療は崩壊する。墨東は特に待遇が悪く勤務も過酷と聞く。なぜここまで放っていたのか不思議だ」と話します。

 都立病院医師の給与は〇五年度、全国六十一都道府県・政令指定都市の公立病院のなかで最低水準でした。

 都病院経営本部は「今年度から産科医の給料を増やし、女性医師の労働環境の改善や臨床研修医の育成にも取り組んでいる」としています。一方、都は墨東病院の独立法人化を検討しています。ある病院関係者は「都が切り捨てようとする病院に人生をかける医師がいるだろうか」と疑問を投げかけます。

本気の対策を

 江戸川、江東、墨田各区の住民らでつくる「都立墨東病院を直営で存続させる会」の安田茂雄代表は「国は社会保障費削減のために医師数削減を押し付け、都は都立病院の切り捨てを進めて墨東病院の窮状も放置してきた。安心のお産確保、命第一に方向を切りかえて、本気の対策をしてほしい」と話しています。

妊婦が搬送を断られた経過

 十月四日、出産間近の妊婦が脳内出血を起こし、かかりつけだった産科病院に搬送。かかりつけ医は都内八病院に要請しましたが受け入れ可能な病院が見つからず、約一時間後に最初に要請を断った都立墨東病院が産科部長を呼び出して受け入れました。妊婦は帝王切開で出産し、手術を受けましたが三日後に亡くなりました。

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2008年11月12日 (水)

周産期医療で初会合、年内に提言

 11月5日付けキャリア・ブレイン(CBニュース)では、厚生労働省での「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」の初会合の様子を報じています。7日付け朝日、毎日、読売の全国紙を見ましたが、どうも報じられてないようです。そうした中で、しんぶん赤旗が各医療センターの苦闘ぶりを伝えています。

 まずはCBニュースから

年内に周産期医療体制の強化で提言―厚労省懇談会が初会合

 東京都内で妊婦が8病院に受け入れを断られた後に脳内出血で死亡した問題をきっかけに設置された、厚生労働省の「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」の初会合が11月5日、省内で開かれた。冒頭、舛添要一厚労相は「12月までに集中的な審理を行い、周産期の地域医療体制の強化を図りたい」とあいさつし、年内に提言をまとめる方針を示した。

 この懇談会は、日本産科婦人科学会が10月末、舛添厚労相に緊急提言したことを受け、急きょ開催が決定された。
 委員は救急医療や周産期医療に携わる医師や大学教授、「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」の会の阿真京子代表ら12人で、座長には昭和大医学部産婦人科学教室の岡井崇主任教授が選ばれた。

 初会合では、各メンバーが現在の周産期医療体制について意見を述べた。
 この中で、愛知県岩倉市にある大野レディースクリニックの大野泰正院長は、周産期医療の情報システムについて、「愛知でも情報システムを持っているが、(現場の医師は)ホームページを開いてログインする余裕はない」と訴えた。
 一方、大阪府立母子保健総合医療センターの藤村正哲総長は、「大阪では原則として、(救急の)電話を受けた所が情報センターに連絡して、情報センターが(受け入れ先の病院を)探してくれる」と実績を説明し、「いかにシステムを動かすかを考えるべきだ」と強調した。

 舛添厚労相は問題点や今後の課題として、▽周産期医療センターの在り方▽地方の医療ネットワークのつくり方▽NICU(新生児集中治療管理室)の在り方▽情報システムにおけるIT技術の活用―の4つを挙げ、次回以降の会合で議論したいとした。

 懇談会の委員は次の通り。
 阿真京子・「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」の会代表▽有賀徹・昭和大医学部救急医学講座主任教授▽池田智明・国立循環器病センター周産期科部長▽海野信也・北里大医学部産婦人科学教授▽大野泰正・大野レディースクリニック院長▽岡井崇・昭和大医学部産婦人科学教室主任教授▽嘉山孝正・山形大医学部長▽川人正人・青梅市立総合病院救命救急センター長▽杉本壽・大阪大医学部救急医学教授▽田村正徳・埼玉医大総合医療センター総合周産期母子医療センター長▽藤村正哲・大阪府立母子保健総合医療センター総長▽横田順一郎・市立堺病院副院長

 11月7日付けしんぶん赤旗から

 東京都内で八つの病院に受け入れを断られた妊婦が死亡した問題を受け、厚生労働省は新たに「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」を設置しました。五日の初会合では、産科や救急医療に携わる医師から、現場の抱える問題が次つぎと出されました。

 「東京ですら、受け入れ拒否で最悪の事態を迎えたことはショックだ」。
 こう切り出した田村正徳・埼玉医科大学総合周産期母子医療センター長は、「埼玉には総合周産期母子医療センターが一カ所しかなく、救急の患者の三割は東京に送られている」と同センターでは「母体搬送の59%は断っている状態。NICU(新生児集中治療)のベッドが足りないため、受け入れられない」と訴えました。

 医師・看護師不足が産科・救急の体制づくりの障害になっていることも明らかになりました。

 「周産期センター」に指定するには、本来、十分な人数の医師や看護師が必要。しかし今は足りないから、不十分なところでも無理にセンター化している面がある」(嘉山孝正・山形大学医学部長)

 「(周産期センターが)限定的な施設基準で整備されてきた経緯がある。NICUの病床が足りない状態が長く放置されてきたが、病床を増やすという方針はまだ明確には出ていない」(海野信也・北里大学教授)

 とくに、産科救急の「最後のとりで」となるぺき周産期センターの体制が不十分である問題が強調されました。

 このほか、産科と救急医療の連携体制の強化や、女性医師が働き続けることができる環境づくりを求める声も相次ぎました。

 同懇談会は、年内に一定の結論を出す方針です。短期間で医師・看護師の大幅増員などの抜本対策まで踏み込む議論ができるかどうか、課題は山積です。

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2008年11月10日 (月)

立教大学で伊関さんが講演、追っかけファン?

 最近更新がされていない伊関さんのブログで、あれ、更新かと思ったら、立教大学MBA 第2回「医療経営を考える」公開講演会の案内でした。幸い、前日の10月24日に東京で会議があり、宿泊代を自己負担して覗いてきました。

 :2008年10月25日(土) 18時~19時30分(開場17時45分)で、場所は:立教大学池袋キャンパス 11号館A204教室。テーマは:「試練の時代の自治体病院経営」でした。当日はチェックアウトの10時までホテルでまったり。久方ぶりに東横インを利用。バリアフリーへの配慮などをパンフ等で周知していて、これなら奥さん公認ホテルになるかなーと思っていましたら、なんとまた、例の西田社長(当時)が悪事(地下に有害物質を不法投棄)をしていたことが発覚し、こりゃだめだ。ピカソ展を見て、映画(PSアイラブユー)を見て、会場に1番乗り。場所を確認してから夕食。

 15分まえくらいから、次々に入場。やはり伊関さんのブログ関連、個人的なつきあいのある方が多いようで、あいさつを交わしていました。登場した伊関さんも、参加者の顔を見て、あれ、同じ話しを出来ないナー、と笑談。釜石にいらした志木市の職員ももちろん出席。地方からの参加では、入りがたく、ちょっとうらやましい感じで、耳をそばだてていました。

081025182704_3  講演は熱を帯び、終了時間の19時30分には終わらず、地方からの参加者の私は、翌日の用務もあり、最終新幹線の時間ぎりぎりで退席。ひょっとして、最後にどういう質疑応答があったのか、とっても残念。地域の格差はこんなところにもあるのか、と悲しくなりました。

 さて、当日の講演資料の一部を紹介します。

 今、必要なこと それは地域の医療を継続していくことだ。しかし、公立病院改革ガイドラインは収支優先となっている。この国の方向にとらわれない計画がベターではないか。

 変革の時代、自治体病院は生き残れるのか?
・ 今の医療改革の動きは性急で、現場の実情を無視したもので、問題がある。
・ 国民に、もっと医療にお金をかけることの正当性を訴えかけることが必要
・ しかし、現在の動きを批判するだけで自治体病院が生き残れるかというと疑問
・ 時代の変化に対応していく必要がある

 ガイドラインの問題点
・ 医師不足問題の解消よりも病院の財政的な改善が全面に立っている
・ 確かにガイドラインも医師不足問題の解消のために医療資源の集約、研修の充実などについて書いている

・ しかし行政は、現場で献身的に働いている意思の現状を考えずに、数値だけを見て、権力的に物事を進めるのが通常である
・ そして、結局、地域医療を破壊してしまう可能性が高い

 最後に・・ここからという時に時間が、、残念。

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2008年11月 9日 (日)

来年度の医師養成数、693人増へ

 11月5日付け四国新聞web版で「香川大、医学部定員10人増/地域医療貢献策」と来年度の全国の医学部定数増のニュースを報じています。

医師不足の深刻化に対応するため、文部科学省は4日、医学部がある79の国公私立大(防衛医大を除く)のうち、香川大など77の大学で2009年度の医学部定員を計693人増やし、総定員数を8486人とする計画を公表した。総定員は、1981年度の8280人を上回り過去最多となる。

 特例措置として増員する73校は地域医療充実の貢献策を示し、多くの大学が奨学金や入試での「地域枠」設定で、地元に根付く医師の養成に取り組むとした。

 増員は、政府が昨年決めた緊急医師確保対策分として189人、重要政策を示す「骨太の方針2008」での特例措置分が504人。香川大は10人増の105人とし、緊急医師確保対策分が5人、特例措置分が五人。

 文科省によると、特例で増員するには地域貢献策への取り組みが前提で、全73校が地域の病院や診療所での実習をし、地域医療教育を強化すると打ち出した。

 62校が、卒業後の一定期間、地域医療に従事する学生への奨学金を設ける。入試で地元高校出身者を対象とするなどの「地域枠」を設けるのも香川大など47校に上った。

 深刻な医師不足が懸念されている産科や小児科の教育内容を充実させる大学も34校あった。

 今回の増員について文科省は「当面の緊急的な措置。10年以降は医療界の意見や厚生労働省による医師の需給状況を踏まえ検討する」としている。増員は年内に正式決定の見通し。

 定数増の内訳は国立大が42校で363人、公立大8校で59人、私立大27校で271人。大学別では10人前後の増員が多く、順天堂大と岩手医大の20人が最も多かった。昭和大と近畿大は増員がなかった。

 文科省は定員が増える大学への支援策を打ち出し、実習設備の整備費などを2009年度予算の概算要求に盛り込んだ。

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2008年11月 8日 (土)

山形大医学部で地域定着へ授業料免除 山形

 10月17日付け読売新聞オンラインでは、山形大学医学部での授業料免除について報じています。山形県内への医師定着、確保などのために、4年生から3年間の授業料を免除するというものです。やはり、1県1医大という方針で大学が整備されてきた経緯を考えると、まさに公立大学に課せられた大事な取り組みと思います。

 以下、読売新聞オンラインから

小児・産婦人科、卒業後も山形なら医学部の3年間授業料免除 来年度、山形大が新コース

 山形大医学部は16日、医師不足に悩む産婦人科や小児科などを選択した学生を対象に、4~6年次の授業料を免除する専修コースを、来年度から設けると発表した。

 卒業後に県内で研修・勤務することが条件で、国公立大では初の取り組み。

 専修コースの定員は、小児、産婦人、救急各科2人、外科4人の計10人。卒後臨床研修(2年間)と、専門医資格を得るための後期臨床研修(4~6年間)の期間を県内で勤務・研修することが条件で、卒業後、県外に流出する割合が高い県外出身者を対象に4年次に募集する。

 4~6年次の授業料(各年間約53万円)は免除されるが、県内で勤務しなかった場合、免除分に利息10%を付けた金額を返還させる。

 山形大医学部によると、研修した地域でそのまま勤務する医師は多いといい、約4割にとどまっている卒業生の県内定着率を、5割以上にアップさせたいとしている。

(2008年10月17日  読売新聞)

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2008年11月 7日 (金)

自治体病院の現状と「改革ガイドライン」の問題点 国民医療研究所・所長日野秀逸氏

 県医労の情勢学習会(10月17日)で、国民医療研究所所長であり、東北大学教授でもある日野秀逸先生を講師に、 「自治体病院の現状と「改革ガイドライン」の問題点」というテーマで講演がありました。

 冒頭に、ちょっとなじみのない「全国自治体病院協議会・自治体病院の倫理綱領」を提示し、「地域住民によって作られた自治体病院は、その地域に不足している医療に積極的に取り組むとともに、地域の医療機関や行政機関等との連携を計りながら、公平・公正な医療を提供し、地域住民の健康の維持・増進を計り、地域の発展に貢献する」ここに、存在意義があるのだ、と。

 自治体病院の役割

 自治体病院は、全国に約千施設。地域医療の中核を担う。救急救命センターなどの医療拠点でも、自治体病院が大きな役割。
 自治体病院は、地域の実情に応じ、不採算地域での高度医療、救急医療、小児医療、産科医療など、民間病院では経営が成り立たない医療過疎地域で、住民の命と健康を守る役割を果たしている(表2)。
 憲法や医療法にもとづいた国民の医療を受ける権利にたいして、行政がその責任を果たすために、地域で不足する医療提供をおこなっているのであり、財政面では、国と地方からの支援(地方交付税、自治体会計からの負担金繰り入れ)がなければ、九割の病院が赤字となる。

 医師不足を口実とする病院の「再編・ネットワーク化」は誤り

 病院の「再編・ネットワーク化」は、総務省の「地方公営企業の経営の総点検(〇四年四月)」、「新地方行革指針・自治体病院再編等推進要領一〇五年四月)」通知などで全国各地ですすめられている。

 これらの地域では、「財政再建」とともに、「医師不足対策」がその「推進理由」とされている。日本の医師数は、経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進国三十カ国の平均医師数と比較(〇四年)すると、約十四万人も少ない。

 産科医、小児科医の医師不足は危機的状況にあり、麻酔科、精神科医や外科医の不足も深刻。そのため、二十四時間体制が必要な医療体制を整えることや、勤務医の過重勤務を軽減するために、緊急避難的な医師集約化はありうる。国の失政による医師不足(さらには国の失政による自治体病院の困難)を理由に、病院つぶしがおこなわれてはならない。

 医師が確保されるまでの臨時措置であるべき。

 そして元気な地域の要件は医療・福祉の条件は、福祉・医療の充実です。

 内閣府が2007年11~12月に「地域活性化に関する世論調査」
地域が元気になるための施策:「福祉・医療の充実」56%で第一位(複数回答)。
第二位「防犯・防災」(52%)、第三位「中心市街地の活性化」(44%)

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2008年11月 6日 (木)

「権力の走狗」に憤り超え悲しみを 宇沢弘文氏(続き)

 昨日の続きです。

イギリスの例を取り上げ、警鐘を鳴らしていますね。

 イギリスでは60年代から医抑費の抑制政策が続けられましたが、特にサッチャー政権の下で、医師に対す官僚的管理がその極限に達しました。医師が職業的、人間的威信を傷つけられて、外国に出ていきました。
 実は、このとき重要な役割を果たしたのがアラン・エントホーフェンというアメリカの経済学者です。かれはかつて、マクナママ国防長官の右腕として、Kill-Ratio の最小化をベトナム戦争遂行の目標に掲げた。Kill-Ratio とは「ベトコン」一人殺すのに何万ドルかかるかという指標ですが、限られた戦争予算の下でできるだけ多くの「ベトコン」を殺そういうのを戦争政策の目標に掲げたのです。
 このことが新聞に報道されて、世界中から残虐性を非難されたが、そのエントホーフェンが今度は、Death-Ratioを最小にするため「内部市場」制度を導入した。医療の供給者と購入者を切り離し、供給者間の競争を促し、医療サービスの効率化を図ろうという考え方です。この考え方に基づき、イギリスでは60歳以上の老人に腎透析を禁止する通達が出されたほどです。
 プレア政権が医療政策の見直しを始めたときには、入院待機者が130万人近くに上っていました。5年間で国民医療費を50%増やし、その後、10年間で、国民医療費をさらに2倍にし、医師を50%増やすことを決めましたが、一度壊された医師の志と社会的信頼を回復するのは、不可能ではないかといわれています。

 日本の医師はどうですか。
 地方の病院を訪れていちばん感動したのは、どんな苦境にあっても医の道を守ろうという信念です。ただ、病院がやっていけなくなっている。特に自治体病院は悲惨ですね。

 なぜそうなったのでしょう。
 小泉政権の下で、診療報醐は3度も引き下げられました。
 もともと、診療報酬点数制には重大な欠陥がある。それは、病院が実際にかかる費用のごく一部しか入ってこない。経常経費については、かなりの程度入っているが、資本的経費、間接的経費はほぼ完全に無視されている。それをカバーしてきたのが地方自治体でした。しかし、小泉政権の乱暴な地方切り捨て政策によって地方自治体自体が危機的状況に追い詰められています。
 その小泉政権で、日本の医療の破壊に決定的な役割を果たしたのが、経済財政諮問会議です。特に、経済学者が入っていたが、職業的威信も人間的な誇りも捨てて走狗として奉仕している姿を見て、憤りを超え、何とも言えない悲しみを覚えざるをえませんでした。
 反人間的・非倫理的な後期高齢者医療制度
 日本の経済財政諮問会議は、アメリカの大統領経済諮問会議(CEA)をモデルにしものですね。

 ケネディ政権の初期、CEAに入っていたトービン、アローやソローとよく会っていましたが、彼らは、職業的威信と人間的な誇りを堅持して、決して構力の走狗となることがありませんでした。

 後期高齢者医療制度も、厳しく批判されています。
 75歳以上の後期高齢者を隔離して新しい制度を作ったのは、後期高齢者の1人当たり医療費がそれ以外の人の5倍かかっているからです。そして1人の後期高齢者が死に至るまでの医療費を最小にするために、実にきめ細かい工夫がされている。
 たとえば、「後期高齢者終末期相談診療料」という奇妙な名前の診療報酬が新設されました。これは高齢者が医師との聞で延命治療の希望の有無についで文書で取り交わした場合に、医師は患者1人につき2,000円の支払いを受ける。また、脳卒中後遺症の後期高齢者の入院が90日を超えると診療報酬が大幅にカットされる仕組みが設けられた。病院は患者に早期の退院を迫ることになる。
 日本の後期高齢者医療制度は、反社会的・非伶理的という点でエントホーフェンのDeath-Raito の考え方とよく似ていますね。日本の医療はついにここまで荒廃したのです。

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2008年11月 5日 (水)

市場原理と官僚統制が医療を崩壊に追い込んだ 宇沢弘文氏

 週刊東洋経済 11月1日号では「医療崩壊」を特集しています。医師の過労死等の資料は「日本医療労働組合連合会資料を基に本誌で加筆」(62ページ)となっています。地域医療が面で崩壊している、医師の疲弊・長時間労働などに触れ、分かりやすい内容となっています。その中に、目を引く小論がありました。小泉・竹中路線をびしっと批判する経済学者の宇沢先生の文章です。前に紹介した谷田さんと共通の危機意識が感じられ、医療崩壊の根本を経済の視点から解き明かしています。

 以下、東洋経済から

 世界的な経済学者として名高い宇沢弘文・東京大学名誉教授は最近、医療問題についで精力的に発言を続けている。「社会的共通資本としての医療」と題した同氏のエッセーは18回にわたって連載され、医療関係者に多大な感銘を与えた。宇沢氏に、医療に関して積極的な発言を続ける真意と危機認識を訪ねた。
 宇沢さんは全国の病院や医療関係者を訪問し、医療現場の実情を見聞きしてこられました。医療に関心を抱く理由はどこにありますか。
 私自身、若いとき医の道を志しながら、途中で挫折してしまったことが深く心の傷として残っています。挫折したもっぱらの原因は、ヒポクラテスの有名な言葉、”Vita brecis,ars longa”を「人生は短く、芸術は長し」と訳文どおりに理解してしまったことです。arsが医術を意味することを知ったのは、ずっと後になってからです。「人の生命は短い。しかし、その短い生命を救おうとする医術は、永遠の生命を持つ。それは一人ひとりの医師が、師の教えを守って医の道を歩み、患者のために一生を捧げ、同時に、弟子に医の教えを伝えようとするからである」。
 もともと、社会的共通資本は、一人ひとりにとって、また社会の持続的な発展にとって、大切な役翻を果たすものを、みんなでカを合わせて守っていこうとするものです。その中でいちばん大切な医療が危機に瀕していることに心を痛めています。
 医療関係者との対話を通じて、何を感じになりましたか。
 日本は医療が崩壊したイギリスの後を追っていると言えます。日本は国民皆保険、フリーアクセスというに世界に類のないすばらしい医療制度を作り上げた。ところが、1980年代に始まった医療費抑制政策が、小泉・竹中路線の下で、その極限に達しました。「小泉・竹中路線」という似非(えせ)改革が医療をめちゃくちゃにしたのです。
罪深い「小泉・竹中」改革 日本はイギリスのニの舞い
 「医療とは、患者や家族が、医師、看護師、検査技師などのコ・メディカルスタッフが、患者の健康回復のために力を合わせる営みに他ならない」「医療は売り手と買い手という市場原理に基づくものではない」と宇沢さんは述べています。
 社会的共通資本は世代を超えて受け継がれ、その管理や運営は、決して市場的基準や官僚的基準で決めらてはならない。職業的専門人の知見と職業的倫理観に基づかなければならないということです。そして、社会的共通資本としての医療を世代を超えて継承していくためには、医療人の生活や医療機関の経営がしっかりしなければならない。しかし、日本の医師や看護師の勤務は信じられないほど過酷ですし、病院の経営は危機的です。

(続く)

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2008年11月 4日 (火)

周産期医療センターでも産科医定数割れ

 2008年10月29日付け岩手日報web版では、東京の妊婦死亡事件を受け、産婦人科医師不足の実態などを報じています(新聞版では、30日に資料を含めて、ボリュームもアップして掲載)。それにしても、産科医はどこに「消えた」のでしょうか。よく言われるのは、開業、出産を扱わない診療所などとも言われますが、岩手では純粋に産科医が減っています。岩手県の資料によると、ちょっと年度がずれていますが、岩手県全体の産婦人科医師は、2000年に115人が2004年には89人、県立病院で見ると、2004年に27人が2007年に21人と純減しています。
 県立胆沢病院では出産を取り扱えなくなり、産婦人科医師1人+院内助産院の増加、さらに産婦人科医師がいないなかでの対応すら現実のものとなりそうな勢いです。どうしていくか、住民のみなさんと考えていくことが必要です。

 以下、岩手日報から

産科医、55%が定数割れ 総合母子医療センター

 緊急処置の必要な妊婦や赤ちゃんを受け入れる全国の「総合周産期母子医療センター」(計75施設)のうち、共同通信の緊急調査に回答した60施設中55%は必要な産科の常勤医数を確保できずに定数割れに陥っていることが29日、分かった。

 当直の産科医が1人態勢のセンターが半数を占め、全体の90%以上が産科医確保に「苦労している」とした。

 センターに指定されている東京都立墨東病院など8病院に受け入れを断られた妊婦の死亡判明から1週間。母子の命を救う「最後のとりで」ともいえるセンターの中には、東京以外でも綱渡り診療を余儀なくされているところが少なくない現状が浮かんだ。

 調査は23日から全センターを対象に質問用紙を配布して実施。匿名を条件に医師数や診療上の不安を尋ね、60施設(回答率80%)からファクスで回答を得た。

 定数は各病院が望ましいと考える医師数を独自に定めるもので、それより産科の常勤医数が下回っているのは33施設(55%)。うち4施設は定数の半分以下だった。定数を満たすのは17施設(28%)で、残る10施設は定数なし(9)と無回答(1)。

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小児科医も不足、救急センターの認定医常勤は42%

 日本救急医学会の小児救急特別委員会の調査結果を、11月1日に各紙が報じています。直前の産婦人科の結果などを合わせて、今、日本の医療がどうなているのか、そういう解説が必要だと思うのですが、共同通信の配信を流すだけなら、インターネットの世界ではどうなっていくのか。
 ここまで医療崩壊が進んでいる、そういう実態が連日発表、報道されています。医師の養成数増が来年4月からスタートし、改善の兆しがあります。この10年を、どうしていくのか。みんなで考えていかないと、ひずみを抱えて孤軍奮闘している医師が倒れ、地域が崩壊していきかねません。 

 11月1日付け共同ニュースから紹介します。

小児科認定医の常勤は42%  全国の救命センター調査

 重症患者らを24時間体制で受け入れる全国の救命救急センターを対象に、日本救急医学会の小児救急特別委員会(委員長・野口宏愛知医大教授)が昨年実施した調査で、回答した138施設のうち、日本小児科学会が「専門医」として認定した小児科医が常勤しているのは42%と半数以下にとどまることが分かった。

 小児科医確保の難しさなどを背景に小児診療を実施していないところも13%あり、患者の受け入れ拒否が問題になっている産科と同様、医師不足の影響もうかがわれた。

 救命救急センターは一般病院では対応が難しい重症患者の「救命のとりで」と位置付けられており、特別委は同センターの小児救急の質について「さらなる向上が必要」としている。

 調査は昨年9-11月にかけ、全国の救命救急センター202施設(同8月時点)を対象に実施。回答した138施設のうち、一定以上の診療能力があるとして小児科学会から認定された小児科医が常勤しているのは、58にとどまった。

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医療崩壊を医師が寸止めか 産科医月300時間拘束

 10月31日付け産経ニュースでは、日本産科婦人科学会勤務実態調査の中間集計の結果を報じています。調査報告の内容を伝えていますが、どうしてそうなっているのか、対策はどうか、前後に報告されている救急センターの医師不足との関連はどうか、などの報道が必要かと思います。
 医療崩壊は、これから始まるのか、すでに崩壊しているのか、という議論があります。こうした実態からは、もう医療崩壊は進行している、それが表面化しないのは、医師の献身的な、崩壊寸止め状況があるのではないでしょうか。

 以下、産経ニュースから

産科医、月300時間の拘束 勤務の過酷さ明らかに

 全国の一般病院や大学病院に勤める産婦人科医が、診療や待機などで拘束されている時間は月平均で300時間を超え、中には500時間以上の医師もいることが31日、日本産科婦人科学会勤務実態調査の中間集計で分かった。

 単純に1カ月30日として割ると、300時間の場合は休日なしで毎日10時間、最長の例では同16時間拘束される計算になる。

 学会は「過酷な勤務の一端が数値で示された」とし、厚生労働省に報告。11月1日に都内で開く公開市民フォーラムで発表する。

 集計は一般病院の221人、大学病院の76人の勤務医からの回答を基にまとめた。一般病院のうち、当直勤務がある一般病院の医師は月平均4・2回の当直をこなし、病院にいる時間は月平均301時間だった。

 当直がない一般病院では、お産があると必ず呼び出される「病院外での待機時間」も含めると、拘束時間は平均350時間に上った。

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2008年11月 3日 (月)

総務省が改革プラン強制へ2回目の調査発表

 総務省は「公立病院改革プラン策定に係る取組状況について(調査日:平成20年9月30日) 」を10月31日に発表しました。11月1日付け岩手日報では、淡々と総務省発表の内容を伝える(たぶん、配信記事)報道を2段見出しで。その横には3段見出しで「地方公務員3年で14万人減」と大きな扱い。どうも、何が問題かという意識が感じられません。県、医療局が情報をまったく出さないこともあるでしょうが、すでに策定済みの北海道がどういう再編プランであり、どういう問題があるのか、そこにジャーナリズムがあると思うのですが。

 都道府県で、総務省の強制に従わないところ

 検討中・未定 7府県 栃木、埼玉、東京、新潟、石川、滋賀、京都

 今年度中に策定しない 13県 秋田、福島、群馬、千葉、長野、岐阜、静岡、鳥取、広島、香川、高知、福岡

 つまり、強制ではないという総務省の公立病院改革ガイドラインは、従順な27道府県が作っているに過ぎず、急ぐな、きちんと住民の声を聞け、という運動の正当性が読み取れると思います。

 とりあえず、11月1日付け岩手日報から

公立病院再編計画 本県など39府県で策定へ 総務省の9月調査結果

 総務省は31日、公立病院の経営再建に向けた再編やネットワーク化の計画の策定状況などを発表した。都道府県のうち策定済みは北海道だけ、策定予定は大阪府など39府県、「検討中・未定」は東京都など7都府県だった。
 調査は9月末現在で、4月の前回調査では26都府県が「検討中・未定」と答えており、取り組みが進んでいることが分かった。策定時期は本年度内が本県など26府県、来年度以降が長野など13県。
 総務省は昨年示した公立病院改革ガイドラインで、本年度中の計画策定を求めており引き続き早期の対応を求める考え。
 また大阪府など39道府県が、再編に向け有識者会議を設置するなど検討態勢を整えていた。
 このほか総務省が本年度中に作成を求めている病院ごとの改革プランについては、病院事業を行っている自治体や一部事務組合など656団体のうち647団体が策定済みか年度内に策定する見通しと答えた。

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2008年11月 2日 (日)

「いずれも財政の視点ばかり」だと批判 全自病協・邊見会長

 10月31日付けしんぶん赤旗1面、「発言 私の選択」に、新しい自治体病院協議会会長の邊見さんが登場。肩書きは、全国公立病院連盟会長です。公立病院改革ガイドラインを「いずれも財政の視点ばかり」だと批判しています。前会長の小山田氏は、全自病協の要求していたことがかなり入った、いいガイドラインになった、などと褒め、支持を表明していたことからみると、現実に公立病院改革ガイドラインが地域でどういう役割を果たしてきているかが実感されての発言かもしれません。

 貴重な発言ですので、紹介します。以下、しんぶん赤旗から

全国公立病院連盟会長、邉見公雄さん
へんみ・きみお 1944年生まれ。京都大学医学部卒。京大病院、大和高田市立病院、京都通信病院勤務を経て、現在、兵庫県赤穂市の市立赤穂市民病院院長。中央社会保険医療協議会委員。全国自治体病院協議会会長。

地域の医療崩壊といわれる現状に一番心が痛みます。兵庫県でも昨年十二月、姫路市の救急患者が十六病院で受け入れを断られ、最後にうちの病院(赤穂市民病院)にくる途中で死亡されました。
 さし迫って重要な問題は、急性期の病院医療の崩壊です。その最たるものが救急医療であり、特に小児科、産婦人科、外科、脳外科というところです。

手足縛られて

 医療崩壊は国の政策の結果です。一九八三年に厚生省保険局長が「医療費亡国論」を唱えました。医療費に金をかけ続けると国が滅ぶという議論です。これにもとづいて政府が医師を減らす政策をやってきて、深刻な医師不足になりました。
 最近では、小泉内閣以来の社会保障費の毎年二千二百億円削減です。医学の進歩や老齢人口の増加などで医療費は自然増するんです。にもかかわらず毎年二千二百億円も減らすわけですから、手足を縛られて泳げと言われているようなもので、うまくいくはずがない。絶対あきません。
 公立病院の役割は三つあると思います。まず、患者さん、地域住民の治療や健康のためです。次に、地域の医療機関へのサービスです。診療所や病院が自分とこでは難しいという患者を受け入れる。あとは、学校、行政、企業などを含めて地域社会への貢献です。難しい有機溶媒の中毒などはわれわれが診ないとわからないし、大学でわれわれが講義することもあります。
 ところが、医師不足や地方交付税削減などで多くの公立病院が状況にあり、休止した例もあります。

質の視点なし

 昨年十二月に、公立病院改革ガイドラインが出ました。その前に、菅義偉総務大臣(当時)が示した改革の三つの視点というのがあって、一つが経営改善、二つ目が再編とネットワーク化、三つ目が経営形態の見直しで、最後は廃止まであります。いずれも財政の視点ばかりです。これがガイドラインの基調になっています。地域のセーフティーネット(安全網)ともいえる公立病院を、黒字か赤字かだけでみるのはおかしいですよ。経営改善は必要ですが赤字だから悪い病院というわけではありません。医療の質という視点が入っていない。私は”総務省お前もか”と思いました。私たちの味方と思つていましたから。
 とにかく公立病院は剣が峰なんです。攻められっぱなしです。毎年二千二百億円削減が決まったあと、沖縄米海兵隊のグアム移転に約一兆円、日本の負担が約七千億円だと聞いて、頭にきました。防衛費が年五兆円、しかし、毎晩命を乗せて病院に来る救急車のためには一兆円も使ってない。やっぱりおかしいですよね。主権者である国民がもっと考えねぱならないと思います。

聞き手 兵庫県・喜田光洋
写真 森保和史

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2008年11月 1日 (土)

国立大学病院の過半数が赤字

 10月27日付け日経新聞web版では、国立大学付属病院長会議が発表した、国立大学病院の決算状況について報道しています。対局にある?しんぶん赤旗も、同じ発表資料で報じています。こうも報道内容が変わるものなんですね。同じお金を払うのであれば、しんぶん赤旗に軍配!と思います。扱っている記事の傾向(経済、社会など)が違うので、必要度も違うとは思いますが、市民の目線を感じるのは、後者でしょう。
 それにしても、まともに経営しても赤字(正確には運営費の削減)。民間病院が黒字と言われていますが、その実態を見ることも必要ではないでしょうかね。例えば、平均年齢、平均勤続年数、賃金や労働時間など。ひょっとして、病院版ワーキングプアとか、非正規労働者であふれている?かもしれません。

国立大学病院、過半数が赤字 現金収支計算書ベースで

 国立大学付属病院長会議は27日、2007年度決算で45の国立大学病院のうち28病院がキャッシュフロー(現金収支)計算書ベースで赤字だったと発表した。国からの補助金が減っていることなどが響いているという。

 現金収支計算書は現金の収入と支出を示す。営業活動で得る現金収入から投資や借入金返済による支出を差し引いた現金収支は、大学病院全体で76億円の赤字だった。国からの補助金である運営費交付金は減少が続いており、07年度は367億円と3年前と比べ3割以上減少。経費削減などの経営改善努力が求められている。

 文部科学省が公表した07年度決算では、赤字病院の数は特殊性を加味した修正ベースでも16だった。しかし国立大学法人会計基準による損益計算書は借入金の返済を反映していないため、経営実態をより実態に近づけるため現金収支計算書で計算した。(27日 23:01)

<しんぶん赤旗の記事>

病院長 「医療の質低下」危ぐ

 全国に四十五ある国立大学付属病院の六割以上の二十八病院が赤字状態に陥っていることが二十七日、国立大学付属病院長会議の調べでわかりました。また、国立大学協会のアンケートでは、「医療の質および安全性が低下する」と危ぐする病院長が八割以上にのぼることも判明しました。国立大学付属病院長会議は同日、臨時総会を開き、政府にたいして予算拡充などの対策を要望しました。

 同会議によると、赤字の大きな要因の一つは、国の財政支援策である運営費交付金の大削減です。同交付金のうち、病院関係の交付金は二〇〇四年度に五百八十四億円でしたが、〇八年度には三百九億円へと約五割も削減されました。削減された二百七十五億円は、二十八病院の赤字合計七十六億円の三・六倍にのぼる額です。

 資金繰りが苦しくなった各病院は、より多くの患者を受け入れて収入の確保をめざしました。その結果、医師・医療従事者に過重労働としてのしかかり、臨床研究や教育活動に支障が生じています。また先端医療のための投資にも十分な予算が確保できなくなっています。

 国立大学協会のアンケート調査によると、病院長の82%が「医療の質および安全性が低下する」、93%が「非採算的な高度診療機能が低下する」と回答。「医師確保が困難になる」は91%にのぼります。「臨床系講座の研究機能」については全員が「低下する」と回答しました。

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看護職員確保とベッド削減、再編のガイドライン 岩手

 10月29日付け岩手日報では、看護職員対策への計画案が作られつつあることを報じています。現在は充足していますが、将来的には不足の見込み。県立病院でも辞めていく看護師、病気退職などが少なくありません。どうして県内就職が選ばれないのか。看護実習でいきなり県立病院の厳しい、あまりにひどい実態を見たからではないか、などとも言われています。それにしても、看護職員確保の基本は、働きやすい職場、魅力的な職場であることは、論をまたないところでしょう。しかし、医療局では5時間もの時差勤務の拡大、2交替制の強行などを進めようとしています。どこを見て施策を検討するのか、視点が大事ですね。

 以下、岩手日報から

看瞳職員確保ヘ計画案 県地域医療対策協

 県地域医療対策協議会(会長・大堀勉岩手医大理事長)は二十八日、盛岡市内で開かれ、事務局の県が「いわて看護職員確保定着アクションプラン」 (二〇〇八--○年度)の素案を示した。
 本県の人口十万人当たりの看護職員数(〇六年)は千百五十八・五人で全国平均(九百八十七・〇人)を上回っているが、将来的には不足する見込み。▽看護職員養成施股の卒業生のうち、約半数が県外に就職▽離職率が増加-などの課題も指摘されている。

 素案の基本方針は、①看護職員の養成確保②看護職員の定着③潜在看護カの活用④看護職員の資貿向上⑤看護の魅力発信-からなる。具体的には、中高生を対象にした進路説明会や看護学生のサマーセミナー、合同就職説明会開催や、働きやすい職場環境づくり支援などに取り組む。
 県はこのほか、医師確保対策アクションプランのこれまでの取り組みと今後の方向性、医師招聘活動などについて説明。
 委員からは「大学院生に対する奨学金制度を設けてほしい」「奨学金を受けている医学生が卒業後に義務履行する際の方向性を、早めに示すべきだ」などの意見が出された。

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2008年10月31日 (金)

公立病院経営基盤強化へ交付税増額を報告 総務省有識者検討会

 事時通信社web版では、公立病院経営基盤強化へ交付税の増額を検討していることを報じています。とても短い記事ですが、地元岩手日報では、しっかり報道しています。この違いはなんでしょうか?増額の理由は「公立病院は、民間では困難な不採算医療を担うことが期待されている」ことを挙げているようですが、さて、財政援助をすることこそ必要な措置ですが、一方で同じ総務省が、公立病院の運営に黒字経営を強力に求めています。総務省が悪いのか、検討会のメンバーが優れているのか、さて。

 以下、時事ドットコムから

公立病院への交付税引き上げを=産科、救急医療など支援-総務省検討会

 公立病院に対する財政支援策について議論している総務省の有識者検討会は28日、深刻な医師不足などが叫ばれている産科や小児科、救急医療に対する地方交付税措置の充実を求める方向で一致した。検討会は11月中に報告書をまとめる予定で、これを受けて同省は、自治体に配分する特別交付税の具体的な引き上げ幅を検討。2009年度以降の財政措置に反映させる考えだ。(2008/10/28-19:02)

 以下、10月29日付け岩手日報から

公立病院経営基盤強化ヘ 交付税増額を要求 総務省検討会

 総務省の有識者検討会(座長・持田信樹東大大学院教授)は二十八日、医師不足が深刻な産科や小児科、救命救急センターがある公立病院を抱える自治体に対する地方交付税の増額を政府に求めることで合意した。十一月末にもまとめる報告壽に盛り込む。

 総務省はこれを受け来年度予算ヘの反映を目指す。東京都で妊婦が複数の病院に受け入れ拒否され死亡した問題などを受け、公立病院の経営基盤を強化し患者の受け入れ態勢を確保するのが狙い。

 現行では、周産期医療に対しては一床当たり二百四十四万円、小児医療は九十六万円、救命救急センターは二百三十八万円の交付税をそれぞれ自治体に配分している。増額を求める理由として検討会は「公立病院は、民間では困難な不採算医療を担うことが期待されている」ことを挙げている。

 このほか、財政支援の対象となる過疎地の不採算病院について、病床数や入院患者数などの要件を緩和。公立病院がない地区で、日赤などが運営する公的病院に対しても支援拡充が必要とした。

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2008年10月30日 (木)

共同通信社のアンケートでの解説等 岩手

 10月26日付け岩手日報では、共同通信社の公立病院改革プランの調査報道に解説を付けています。どうもいっしょ配信された感じもします。人材育成などを指摘していますが、岩手県医療局での幹部職員のことには具体的に触れていないことにも象徴されます。また、解説では伊関さんのコメント、本田宏先生、長さんのコメントも紹介しています。

 以下、岩手日報解説から

 公立病院の改革論議は経営形態の効率性に終始しがちだが、関係者の多くは「形態を問わず、収支改善と、不採算でも住民が必要とする医療部門の維持を両立できる「経営のプロ』が不可欠」と指摘。こうした人材の育成・確保策も地域医療の将来にとって大きな課題となりそうだ。
 行政主導の改革は往々にして、制度や組織の再編に偏りやすい。これに対し、公立病院経営に詳しい城西大学の伊関友伸准教授は「専門能力と人間的魅了区も備えたキーマンに責任と権限を与えることが大事」と話す。
 専門能力に限っても、めまぐるしく変わる医療技術や保険制度のほか、地方行財政に精通していることが求められるが、「多くの公立病院は自治体から派遣され2,3年で交替する事務職員に運営が委ねられ、必要な人材は育て以内」(総務省)のが実情。
 地域によっては優秀なリーダーの下、従来通りの自治体直営で黒字を維持しながら、へき地医療などを支えている病院もある。こうした事例を踏まえ、医療行政は担当者には経営形態の見直しだけではなく、経営者やスタッフの充実などによって、住民の意向を改革に反映させる工夫が求められる。

 他部門削ってでも 本田宏(NPO法人)医療制度研究会副理事長の話

 公立病院には民間より給与が高いといった問題があるのは事実だが、全国には直営でなければ医労を維持できない地域もあり、一律に独立行政法人化などを求めるべきではない。病院職員の給与を下げるのなら、一般行政職全体の給与を減らすのが公正だろう。日本には明治以来、財政が悪化すると病院をつぶしてきた歴史があるが、医療は道路より大事なインフラであり、他の行政部門の無駄を削ってでも、病院を守るべきだ。

 直営見直し不可欠 総務省「公立病院改革懇談会」座長の長隆公認会計士の話

 公立病院の経営健全化には、高い人件費を民間並みにする必要があり、直営方式の見直しが不可欠だ。直営方式を維持すれば病院の経営は破綻し、地域医療は守れなくなる。今回(のアンケートで)、直営を維持するとした自治体の多くは、職員組合が怖くて改革ができないか、巨額の不良債権を抱えて改革を行う体力もないのだろう。こうした自治体にも経営形態の変更を促すには、追加支援措置も必要に鳴るだろう。

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2008年10月28日 (火)

共同通信社が調査、3割で直営見直し

 10月25日、共同通信社は、独自調査で都道府県、政令市が直営している229病院の改革プランの内容を伝えています。赤字だから民営化、民営化すると黒字という図式でしょうか。どうしてその地域に民間医療機関が進出しなかったのか。黒字であることにこしたことはありませんが、赤字の原因などにも言及しているか知りたいところです。また、もう1つの柱である医師確保がどうなっているのか。地元紙では、解説、長氏のコメントも紹介されています。

公立病院の3割が直営見直し 独法化など計画・検討

 都道府県と政令指定都市が直接運営する229の公立病院のうち3割に当たる68病院で、経営改善に向け自律的な運営が可能となる地方独立行政法人化や運営の民間委託など直営方式からの転換について計画・検討されていることが25日、共同通信社のアンケートで分かった。

 独法化など民間手法を活用した経営効率化に対しては「へき地医療など不採算部門の切り捨てにつながる」との慎重論も根強いが、全国で1000近い公立病院の約7割が赤字を抱える中、総務省が有効な改革策として推奨。今後、県立病院など地域医療の拠点で採用が広がれば、市町村を含めた公的医療機関の改編にも影響しそうだ。

 アンケートでは、すでに全病院を独法化などで非直営化した大阪、岡山、福岡の3府県以外の都道府県と政令市に、地方公営企業法に基づき直営している229病院の経営形態の見直しについて聞いた。

 このうち秋田県など8都県市の18病院は、2010年度にかけ独法化や民間医療法人への運営委託などを計画。岐阜県など14都道府県市の50病院も、非直営化を含め見直しを検討している。

 一方、徳島県など28道県市の108病院は「直営を維持する」方針。

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2008年10月25日 (土)

公立病院の財政措置見直しで検討会が論点メモ提示

 10月6日付け病院新聞では、総務省の「公立病院に関する今後の財政措置のあり方等検討会」の「総論的部分に関する論点整理メモ」の内容などを伝えています。11月中を目途に報告書を出すようです。

 公立病院への財政措置を、なぜ今ごろ見直すのか。

 なんと、これまで国庫補助金で補填されてきた僻地医療、救急医療などの必要経費を、そのままでいいのか、というのが議論のスタートだとしています。診療報酬で対応すべきか、国庫補助金か、あるいは地方交付税等の財政措置なのかというのです。

 さらに公立病院改革ガイドラインの推進する方向での財政的支援として公立病院の存在意義の検討とガバナンス強化(果たすべき役割の明確化、経営の自主性向上に向けた取り組み促進)、経営形態の多様化への対応を検討することとしています。

 以下、新聞記事から公立病院改革の推進の項目について紹介します。

2 公立病院改革の推進

①公立病院の存在意義

(論点)公立病院の存在意義(果たすべき役割)について度考えるか。

②公立病院のガバナンスの強化

(論点)公立病院経営の自主性向上に向けた取組を促していく視点が必要ではないか。

③ 経営形態多様化への対応

(論点)公立病院の公設民営、民間譲渡等が進展する中で、公立病院と同等の医療機能を担う公的病院や民間医療機関に対する地方公共団体からの助成についてどう考えるか。

④ 財政措置の重点化関係

(論点)普通交付税措置における病院建物の建築単価の上限設定や「病床数」への病床利用率の反映を通じ、建設単価過大部分および空床部分への財政措置を縮減する一方で、そこから得られた財源は、過疎地医療、救急医療など今後財政措置の充実を図るべき分野への重点化に充てるべきと言う考え方でよいか。

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2008年10月24日 (金)

自治体財政指標で病院事業の資金不足比率も公表 総務省

 9月30日、総務省では、2007年度決算を元に、新しい地方自治体健全化法による全自治体の財政健全度を示す数値を公表しました。

 10月16日付け病院新聞では、この数値から、病院事業等公営企業を経営する地方自治体の資金不足比率(事業規模に対する資金不足額の比率)を取り上げで伝えています。この比率が経営健全化基準(早期健全化基準に相当)の20%以上に悪化した病院事業会計の数は全国で53(政令市1,市町村50,一部事務組合2)としています。

 比率が20%以上になった場合は、「経営健全化計画」の策定(2008年度以降の決算から)が求められます。

 全国53の資金不足が20%以上の病院事業会計市町村等

北海道=函館市、小樽市、留萌市、苫小牧市、美唄市、赤平市、士別市、三笠市、根室市、深川市、松前町、森町、由仁町、白老町、平取町、羅臼町

青森=黒石市、十和田市、大鰐町、坂柳町、鶴田町、三戸町、公立金木病院組合、一部事務組合下北医療センター

岩手=奥州市

宮城=石巻市、塩竃市

秋田=男鹿市

山形=高富町

神奈川=三浦市

石川=穴水町

愛知=常滑市

京都=舞鶴市、京丹後市

大阪=大阪市、泉大津市、泉佐野市、松原市、和泉市、柏原市、阪南市

兵庫=西宮市、高砂市、香美町

和歌山=海南市、有田市

鳥取=智頭町

徳島=徳島市

高知=大月町

福岡=川崎町

長崎=大村市、松浦市

熊本=荒尾市

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2008年10月23日 (木)

伊関友伸さん、平井愛山さん、佐藤元美さんが対談

 「乱読のススメ」にある「まちの病院がなくなる!? 地域医療の崩壊と再生」を書かれた伊関さん、「地域医療を守れ―「わかしおネットワーク」からの提案」の平井先生、そして、地元岩手で住民とともに地域医療を担われ、しかも15年も黒字を続けている国保藤沢町民病院の佐藤先生の3人の対談が行われました。どうです、どういう話しか、わくわくしませんか。

 医師のみなさんは、メディカルトリビューン社の医師会員制サイト、MTpro(メディカルトリビューン社の医師会員制サイト)へ。

 そうでない方は、以下のブログで見ることができます。

 http://obgy.typepad.jp/blog/2008/08/post-1341-19.html

 対談は7月下旬。この時期は、公立病院改革ガイドラインのこともかなり話題になっていたのではと思うのですが、対談では触れられていません。対談で示された方向が答えなのかもしれませんが、総務省への批判が聞かれなかったのは残念です。

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2008年10月21日 (火)

月刊誌「経済」11月号で、金川さんが「自治体病院まもろう」と論文

 月刊「経済」11月号で、青森県の公立病院に勤務しつつ、公立病院を守る運動にかかわり、さらに各種政策提言、講演活動もされている金川佳弘さんが、「地域医療と自治体病院をまもろう」と論文を掲載しています。タイトルは、「地域医療」が先、ここにも考え方が表れている感じがします。病院が赤字の原因、特に公立病院の場合に重要な位置を占める地方交付税の削減、医師不足の問題を簡潔に、わかりやすく分析しています。最後の地域医療・自治体病院をまもるためのポイントと「さいごに」を紹介します。

 地域医療・自治体病院をまもるためのポイント
  (1)地域医療問題の本質を探る
  (2)地域の医療ニーズを把握する
  (3)自治体病院が地域医療で果たすべき役割を確認する
  (4)「自治体病院政策づくり」運動を推進する

 「さいごに」

 自治体病院をまもるためには、まず「医療構造改革」が地域医療に壊滅的な打撃を与えているということを共通認識とすることからスター卜しなければなりません。政府の医療政策そのものを<国民の目線に立った政策>に転換していくことが重要です。そのうえで「地域医療の本質・自治体病院のあるべき姿」を考える必要があります。
 地域医療という言葉は<地域>と<医療>という異なる意味をもつ単語が結びついてできています。それぞれ個別の存在である<地域>と<医療>が密接こ結びつくこと、私自身、これこそが地域医療をまもるために最も重要なことだと考えています。そのためには地域住民と医療従事者の距離を近づけることからはじめる必要があります。「両者が地域の医療についてお互いの認識を共有する」こと、簡単そうに見えますが、これまで、できていなかったのではないでしようか。地域の日常会話に身近な医療の話が出てくるような地域社会を創りあげる、この何気ない風景の中にこそ地域医療の未来があるように感じてなりません。
 自治体病院についても同様です。<自治体>と<病院>が一体であるからこそ、地域住民にとって本当に必要な政策的医療が展開できるのだと確信しています。
 もはや国民にとって医療は、<与えられるもの>ではなく<自らまもり育てあげていくもの>へと変貌してきています。地域の貴重な財産である病院を失わないよう、私たちは「地域医療・自治体病院について地域で考え、地域で声を上げ、地域でビジョンを創り、地域で声を上げ、地域で行動する」ことが必要です。
(かながわ よしひろ 自治労連自治体病院闘争委員)

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2008年10月20日 (月)

09年度マッチング 岩手医大は13人、37.1%

 来年医学部を卒業する医学生の臨床研修病院を決めるマッチングの結果が報道されています。岩手日報の報道によると岩手県は、「病院の募集定員112人に対して学生74人を確保し、充足率は66.1%。確保できた人数は2007年度に比べて15人増えた」とのこと。県立病院での充足状況は、後日確認したいと思います。県立病院等に医師を派遣している岩手医大では、「募集定員35人に対して確保できたのは13人で、充足率は37.1%。13人全員が、同大出身者」という状況です。岩手医大で医師を確保できないのは、建物が古いことだけでしょうか。そもそも大学病院全体でも充足率は過半数を下回り、さら東北、北陸地方は苦戦しています。こうした複合的な要因がありそうです。

 以下、朝日新聞web版から

研修医、大学病院離れ続く 「マッチング」また半数割れ

2008年10月16日20時29分

 来春卒業予定の医学生と研修受け入れ病院の両方の希望をコンピューターで突き合わせる「マッチング」の結果が16日、発表された。大学病院で来春から2年間の臨床研修を受けることが内定した学生数は募集定員に対して49%と、4年連続で半数を割った。

 研修医の大学病院離れが指摘されているが、その傾向が定着している形だ。

 医師臨床研修マッチング協議会によると、卒業予定学生のうち8167人が研修を希望。うち今回、研修先が決まったのは7858人(96%)だった。研修病院は全国で1091病院。

 募集定員(計1万1292人)に対して研修予定者が決まった割合を都道府県別にみると、富山(39%)が最も低く、鳥取(43%)、長崎(49%)などが5割を切った。最も高かったのは東京(92%)。沖縄(84%)、神奈川(80%)、福岡(同)と続いた。

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2008年10月19日 (日)

医師確保へ一部学費免除 山形大医学部

 10月16日付け毎日新聞web版では、山形大医学部で、地元の医師確保に向けて、県外出身者を対象に、10人定員で4年生から3年間の授業料を免除することを報じています。対象は、小児科など山形県内での地域医療に携わることを希望する学生です。こうしたことは、公立学校だからできる施策ではないかと思います。岩手は私立医科大であり、初年度納入金1,000万円では、だれが、どのように負担するかが問題になります。やはり、東北6県での地域枠を設け、医師養成をする政策が必要と思います。

 以下、web版ニュースから

山形大医学部:授業料3年分免除 産科医など選択で

 山形大医学部は16日、産科医や小児科などの専修コースを選んだ学生の授業料(年間約53万5800円)を3年間分全額免除する制度を始めると発表した。定員は10人。地域の医師不足と診療科偏在の解消が目的で、全国初の制度。早ければ09年度から実施する。

 3年生の時に、小児科▽産科▽救急医学▽外科のいずれかを選択し、医学部卒業後の臨床研修(2年)と専門医になるための研修(4~6年)を山形県内で受けることを条件に、4~6年生までの3年間の授業料を全額免除する。山形県外出身者を優先する。研修終了後の働き場所は自由だが、研修を受けた土地に根付く医師が多いという。

 ただし、医学部卒業後に、条件を守らなかった場合は、免除額に利息10%を加えて返還しなければならない。

 嘉山孝正医学部長は「現在の地域医療は崩壊しつつあり、医学部の定員増だけでは対応できない。医療界が抱える二つの問題を抜本的に解消する方法で、他の大学も追随していただきたい」と話している。【林奈緒美】

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2008年10月16日 (木)

首都圏でも自治体病院の9割が医師不足

 10月13日付け東京新聞で、自治体病院の医師不足の深刻さを伝えています。首都圏限定(関東一都六県)ですが、9割の自治体病院が医師不足を訴えています。医師不足の原因は、、「大学病院の医局に医師を引き揚げられた」が四十四病院。次いで「診療体制強化や医療の質向上のため」、「応募者がいない」、「医師が開業して辞めた」、「過酷労働が原因で医師が辞めた」などとなっています。こうした医師不足の解消なしに、3年計画、5年計画を建てても、絵に描いた餅になることは明らか。しかし、医師確保をどうやって実現するのか、現在の医師数では、というか現在の医師数の維持すら厳しい実態の中では、計画そのものが無謀といえるかもしれません。

 以下、記事から

 関東一都六県(東京、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川)の自治体病院の九割近くで、医師が不足していることが東京新聞のアンケートで分かった。常勤医は必要数の80%にとどまっており、特に内科や小児科、産婦人科、救急部門などで不足していた。六割の病院が診療体制を縮小・制限しており、深刻な医師不足の実態が浮き彫りになった。 

 アンケートは、都県や市町村立の百四十二病院(診療所を含む)を対象に先月行い、65%の九十三病院から有効な回答を得た。

 通常の診療体制を組む上で医師が足りないと回答したのは八十病院(87%)で、診療科ごとの不足常勤医の数の合計は八百三十二人、一病院あたり一〇・四人に上った。九月一日現在の常勤医数は三千四百四十人。この中には必要数以上に医師がいる病院や診療科も一部含まれている。

 不足人数が三十人以上の診療科で、医師の充足率が最も低かったのは救急部門の61%(不足数三十人)。次いで小児科73%(八十二人)、消化器内科74%(三十九人)、産婦人科76%(五十二人)、内科79%(百十三人)の順だった。

 最近五年以内に診療科の廃止や中止、患者の受け入れ制限など、何らかの形で診療体制を縮小・制限した病院は六十一病院(66%)に上った。現在も五十五病院(59%)で制限が続いている。診療科の閉鎖・廃止は二病院、中止・休止は二十九病院だった。

 医師不足の理由(複数回答可)で最も多かったのは、二〇〇四年度に始まった新臨床研修制度の影響で、「大学病院の医局に医師を引き揚げられた」が四十四病院。次いで「診療体制強化や医療の質向上のため」と「応募者がいない」(各四十一病院)、「医師が開業して辞めた」(三十病院)、「過酷労働が原因で医師が辞めた」(十六病院)だった。

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2008年10月15日 (水)

地域医療連携フォーラムが開催される 岩手・釜石

081004131838 10月4日に、釜石市で「地域医療連携フォーラム」が開催れ、小山田・全自病協名誉会長などが講演しました。小山田氏は、釜石市民病院と県立釜石病院との統合は、医師の引き上げという点で、「失敗だった。東北大医局にも抗議し、全国でも講演して訴えた」と釈明。このフォーラムの目的は、ここにあったのかもしれません。しかし、小山田氏の総括は、発表から実施まで時間がかかりすぎたことが失敗原因の1つであり、山形での酒田市民と県立日本海病院の統合は、短時間で決定した、今はうまくいっている、というものです。さて、「今は」うまくいっているといいますが、まだ「統合」はされていないのに、さて??。

 しかし、報告では千葉県と志木市での取り組みが報告され、興味深い内容でした。

 千葉県の取り組み-「地域医療を守るために」では、地域主導の医療を実現するために必要なこと、その第1は、「医療政策立案者の資質向上」であり、そのためには、医療現場の医師、看護師らの政策立案への関与、情報公開、住民参加という指摘がありました。

 志木市の取り組み報告では、東大医療政策人材養成講座による研究を踏まえ、良い公立病院の5条件(最大公約数)で

1,地域ニーズにあった医療を過不足なく担う
2,行政及び地域住民の理解と積極的な支持がある
3,健全な経営状態、すなわち財政に対して過大な赤字を経常的に発生させない
4,病院を支えるマネジメントが充実している
5,医療従事者や事務方などを含む病院職員全員の満足度が高い

 を上げていました。

 そして千葉県と共通する指摘は、情報の提供と市民参加ということです。小山田氏はどのように聴いたのでしょうか。

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2008年10月 9日 (木)

河北新聞も「長期間にわたり計画的に償還することが可能」

 10月1日付け河北新聞WEB版では、「長期間にわたり計画的に償還することが可能」になると伝えています。元ネタはなんでしょうか、ひょっとして総務省の「記者クラブ」情報?。今、「ジャーナリズム崩壊(上杉隆著)」を読んでいますが、こういうことか、新聞の役割とは、と考えさせられます。 

 以下、ニュースの一部を紹介します。

 発行を希望している自治体は病院事業の収支赤字を補てんするため、金融機関からの借り換えを繰り返し一時借入金が不良債務化している。特例債を発行できれば、長期間にわたり計画的に償還することが可能になる。

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智頭病院で特例債で経営改善 鳥取

 10月3日付け日本海新聞 Net nihonkaiでは、鳥取県内での「特例債」の申し出状況を報じています。論調は「長期間にわたる借入金の計画的な返済が可能になる」というもので、これで一定の経営改善が図られる。うーん、どういう7ヶ年計画になるか。公立病院改革プランにも注目しなくてはなりません。

 以下、ニュースから。

公立病院特例債5億3千万円 智頭町が発行申し出

 国が公立病院を抱える自治体の支援策として打ち出した「公立病院特例債」制度で、鳥取県内では智頭町が特例債発行の認可を総務省に申し出ていたことが二日、分かった。希望額は五億三千六百八十万円で、町立智頭病院の経営改善に充てる。

 同特例債は、公立病院の経営悪化に伴い不良債務を抱えた自治体の支援策として、国が本年度に限り発行を許可するもの。総務省は今月から各自治体にヒアリングし、〇九年三月をめどに発行額を確定する。

 近年、智頭病院は医師不足や診療報酬のマイナス改定などの影響で経営が悪化。さらに〇五年度に新設した病院建築費の償還が重なり、〇七年度だけでも約二億二千七百万円の赤字を計上した。赤字補てんで金融機関などから借り換えを繰り返し、一時借入金が不良債務化している。

 発行が認められれば長期間にわたる借入金の計画的な返済が可能になる。県内市町村で同特例債の発行を要望しているのは、現時点で智頭町のみ。

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「特例債」は借金を借金で穴埋めにすぎない 北海道

 10月3日付けアサヒコム マイタウン北海道 では、見出しも違います。「公立病院借金、一時的に工面」とあり、その性格の一端を示しています。

 「借金の借り換えに過ぎず、各自治体にはさらなる経営改善が求められることには変わりない」という指摘は大事です。それにしても「元本は15年度末までに国に返済しなければならない」という条件を初めて知りましたが、これも厳しいものです。収支均衡では当然返すことはできないし。

 以下、ホームページの記事を紹介します。

 自治体が運営する赤字の公立病院の借金を一時的に工面する「公立病院特例債」の発行を国に要求した自治体が、道内に12市町あることが分かった。総額136億円に上り、これが国に認められれば自治体の財政健全化指標の一つである「連結実質赤字比率」を下げることができる。ただ、借金の借り換えに過ぎず、各自治体にはさらなる経営改善が求められることには変わりない。

 赤平市は07年度決算で、財政再生基準を超えたが、この特例債が認められれば「第二の夕張」となる財政再生団体への転落が回避できるという。市によると、全額の発行が認められれば08年度の連結実質赤字比率は27・22%に下がるといい、市の担当者は「再生団体入りを避けるために、何が何でも認めてもらいたい」と必死だ。

 この特例債は今年度のみの時限措置。各自治体は9月末までに道を通じて総務省に申請した。03~07年度に赤字が急激に増え、07年度決算ベースで営業収入に対する赤字の比率(不良債務比率)が10%以上となった自治体病院の事業に認められるという。収支の悪い公立病院を抱える自治体には朗報となる。

 道内で国に要求したのは、函館(29億3千万円)、小樽(18億8千万円)、留萌(18億2千万円)、赤平(13億8千万円)をはじめ、根室、苫小牧、美唄、江別、士別の各市、胆振支庁白老町、渡島支庁の森、松前両町の12市町。

 自治体から提出された病院の収支改善計画や運営改革プランを道と総務省が精査し、今年度中に発行額を決める。国はまた、特例債を認めた自治体に5年以内の単年度黒字化を求めている。

 ただ、特例債は借金を借金で穴埋めしたに過ぎない。利子の一部は特別交付税で措置される見通しだが、元本は15年度末までに国に返済しなければならないという。

 別の資料から各市町毎の金額一覧

函館市  29.3
小樽市  18.8
留萌市  18.2
赤平市  13.8
根室市  10.5
苫小牧市  9.6
美唄市   8.4
江別市   8.4
士別市   7.0
白老町   4.5
森町    4.2
松前町   3.6
     単位 億円

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2008年10月 8日 (水)

「特例債」を56自治体が申請

 10月2日付け岩手日報で、「特例債」の状況について報道しています。全国で56自治体が「特例債」の発行を申し出て、総額500億円を超える、総務省が年度内に発行額を確定するというものです。共同通信の配信にようですが、「特例債を発行できれば、長期間にわたり計画的に償還することが可能になる」と、言ってみれば「手放しで」評価している感じ。これまで、このブログで苦悩しながら特例債を発行するかどうかの判断をしている自治体の聞き取りなどをしたのでしょうか。

 また、総合水沢病院を運営する奥州市は、19億6,190万円を希望しているそうです。どんな「合理化」計画を立てて、「黒字化」するのでしょうか。

 以下、記事を紹介(web版ではちょっと内容が違いますが)します。

 公立病院の経営悪化で不良債務を抱えた自治体の支援策として、国が2008年度に限り発行を認める「公立病院特例債」について、25道府県の計56自治体が、判明しただけで総額500億円超の発行を総務省に申し出たことが1日、共同通信社の調査で分かった。総務省は今月から各自治体にヒアリングし、08年度内に発行額を確定する。

 千葉県銚子市の市立総合病院が医師不足と財政難で休止するなど、公立病院の赤字問題がクローズアップされている。自治体財政健全化法では、08年度決算から病院など公営企業会計の赤字も、自治体の財政破たんを判定する重要な要素となる。

 発行を希望している自治体は病院事業の収支赤字を補てんするため、金融機関からの借り換えを繰り返し一時借入金が不良債務化している。特例債を発行できれば、長期間にわたり計画的に償還することが可能になる。

 調査は、政令指定都市と都道府県に市町村分を含め、総務省への申し出状況を聞いた。

 都道府県別で申し出が最多だったのは北海道の12自治体で、希望総額は約136億円。道は自治体名を明らかにしていないが、すでに赤平市が12億円超の発行を希望する計画を公表。特例債の発行により、08年度決算で国の財政破たん判定をぎりぎり回避する試算も示している。

 発行希望額が判明している個別の自治体では、最高は名古屋市の33億7000万円。沖縄県や神戸市、徳島市なども発行を申し出ている。

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2008年10月 6日 (月)

産科医の勤務環境が悪化しています

 9月30日付けで共同通信が配信した記事によると、産科の半数が「1年前より悪化」しているとの調査結果が発表されました。これで、また公立病院改革ガイドラインによる再編・ネットワークに拍車がかかり、医師離れが進むのではと懸念されます。「周囲の施設が減り、残った施設の負担が増加している」ことを、当面どうやって解決していくかも問われています。

 以下、記事から

 日本産科婦人科学会が30日までに実施した332病院の産婦人科を対象とする意識調査によると、ほぼ半数が1年前より勤務状況が悪化したと回答した。「医師不足が改善されていない」「周囲の施設が減り、残った施設の負担が増加している」などの理由が多く挙がったという。

 調査は7月に実施。対象は医大生の卒後研修を実施している約750病院。産婦人科で責任者を務める医師に回答を求めた。回答率は44%。

 産婦人科全体の状況について1年前と比べてどう感じるかを問う質問に、「悪くなっている」「少し悪くなっている」とした施設は合わせて47%。「良くなっている」「少し良くなっている」の計18%を大きく上回った。

 一方、自分が勤務する施設については38%が「悪くなっている」と回答。30%が「良くなっている」と答えた。良くなっている理由として最も多かったのは「医師数が増加した」の49施設。

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2008年10月 5日 (日)

09年度 医学部定員760人程度増へ

 08年9月25日付け病院新聞1面トップでは、「医学部定員760人程度増へ、偏在是正への取り組みを」と医師養成で説明会が開催されたことを伝えています。いよいよ医師養成数の増が始まります。そして、これがゴールではなく、今の1.5倍、年12,000人の養成へ運動を進めていくことが必要です。

 記事によると、文部科学省が9月16日に、「医学部を設置する全国の国立大学の学長を集めての医師養成等に関する国立大学長説明会を開催」したそうです。「地域医療崩壊の現状、来年度から国公私立大医学部の過去最大程度の入学定員の増員とその対応」のための予算内容、医師養成を巡る最近の動きなどを説明、「今回の増員が真に医師不足の深刻な地域や診療科の医師確保につながるよう各大学の一層の取り組みを要請した」としています。

 岩手での気になる予算は、「医師不足が深刻な地域・診療科の医療を担う医師の養成プログラム作成、大学や都道府県等による奨学金の設定」などの取り組みを例示したそうです。

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2008年10月 2日 (木)

ついに銚子市立総合病院が廃止に

 9月30日付け産経ニュースWEB版では、公立病院の赤字問題を取り上げ、公立病院改革ガイドラインによる改善を進める内容の記事を発しています。折しも銚子市立総合病院が9月30日で閉鎖が強行されたことも引き合いに、事態改善の処方箋だ、としています。何もしてこなかった市当局の責任も問われますが、公立病院改革ガイドラインだけが解決の道とはいかがなものでしょうか。もっとも、自ら考えられないなら、それも仕方がない、ということかもしれません。しかし、誰が困るか、きっと市長や市議は、病院廃止でも生活に不安がある人はほとんどいないのでは。市民が声を上げる時です。

 以下、産経ニュースから

 赤字続きの地方病院 大都市に研修医集中総務省の平成18年度統計によると、全国973の自治体病院の赤字合計額は1985億円にも上る。

 民間病院と異なって、地域の基幹・中枢病院として、救急医療などの不採算部門や僻地(へきち)医療を業務にしなくてはならないことが赤字の最大要因だ。

 加えて、16年度から導入された新臨床研修制度が、地域病院の>を決定的なものにした。研修先が自由に選べるようになったことで、大都市に研修医が集中してしまった。

 銚子市立総合病院の診療休止について、総務省自治財政局では「年度途中に休院となる例は聞いたことがない」と指摘。公立病院が自治体の財政を圧迫している現状に「事業規模の縮小や、周辺病院と経営統合民間委託に踏み切る自治体は少なくない」と話す。

 事態改善のため、総務省は昨年末「公立病院改革ガイドライン」を定め、自治体ごとに経営効率化計画を策定するよう求めている。

 厚生労働省も、深刻な問題となっている>に対応するため、医学部の定員を増やすことや、新臨床研修制度の見直し議論を始めることになっている。しかし、効果がでるのは数年先になりそうだ

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2008年9月28日 (日)

ガイドラインの目的は「黒字」にあり

 9月26日付け朝日新聞の「ニュースがわからん!」では、「公立病院の民営化が進んでいる」、どうしてか、と解説をしています。

 交付税減額など自治体財政の悪化で、公立病院を支えることが困難になり、国が財政支援するのではなく、運営している各自治体が「改革プラン」を作成せよと「号令をかけた」と解説。この感じでは、国の責任が少なからず薄められている感じがします。

 そしてガイドラインの「黒字にするための計画」の核心は「職員は公務員だから人件費削減に限界がある。民営化すればコスト削減できるという考え方だ」と指摘、まさに、ここに問題と矛盾があります。僻地医療、救急医療、小児・産科などの不採算医療をどうするのか。そもそも赤字が前提の制度になっている分野を、民間でできるはずがありません。そして、なぜ公務員攻撃なのか。役場だって、学校だって、消防だって、そういうところを公務員が担ってきたにもかかわらず、とりたてて病院に勤務する公務員が「賃金が高い」「黒字のために賃金を減らせ」という論理に、大きな問題があります。

 もっとも、公務員然として、病院の(専門職の)仕事だけしか考えない、病院に来る患者だけを診ていればいい、そしてこの公立病院改革ガイドライン問題を傍観しているということでは、当然の批判として甘受しなければならないのかもしれません。

 記事の中の数字を紹介しておきましょう。この10年で公設民営になった公立病院=47病院、民間委譲=24病院、統合・廃止=18病院(自治体病院協議会調べ)。

 朝日新聞 ニュースがわからん!

 コブク郎 千葉県の銚子市民病院が今月いっぱいで休止するんだってね。.

 A そうなんだ。市は「いったん休止して、公設民営か民間譲渡による再開を目指す」としている。

 コ どういう意味なの。

 A 市が直接、医師や師らを雇って仕事をさせる「公設公営」をやめて、民間病院などに経営をお願いする。いわゆる民営化だね。

 コ 全国でも、同じような例は増えてるかな。

 A 全国自治体病院協議会の調べでは、この10ねんで、建物ごと譲り渡す「民間委譲」が24病院。建物は自治体が所有するが、経営は民間に任せる「公設民営化」が47病院あった。総務省も「民間への移管は加速している」との認識だ。

 コ なぜなの?

 A 医師不足や診療報酬引き下げで病院の赤字が拡大し、自治体からの支援金では穴埋めしきれなくなってきたんだ。06年度、全国973の公立病院の赤字は、前年度から567億円増えて過去最悪の約2,000億円になった。

 コ 病院は大事だから、支援を続ければいいのに。

 A 国からの交付税が減らされたり、全集が伸び悩んだりで地方財政は厳しい。病院の赤字がひどいと自治体本体の財政評価も悪化し、借金するのに制限がかかる制度も始まった。そこで国は「今エンド中に、病院の改革プランをつくれ」と号令をかけた。

 コ どういうこと?

 A 経営を効率化して黒字にするための計画を示せといってるんだ。

 コ 厳しいね。

 A 今回、国は初めて経営形態の変更も含めて効率化を迫っている。公設公営だと職員は公務員だから人件費削減に限界がある。民営化すればコスト削減できるという考え方だ。自治体は支援金も滅らせるし、経営が切り離されるから、赤字が出ても自治体本体の財政に影響しなくなる。

 コ 問題はないの?

 A 周囲に別の瘠院がたくさんあるなら受診の心配はあまりない。でも、その病院が地域の救急や小児産科など不採算な医療を担っていた場合、住民ヘの影響は深刻だ。いくら必要な医療でも不採算部門の存続を民間病院に強要することはできない。利用者のことも考えて対策を立ててほしいね。 (浜田陽太郎)

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2008年9月21日 (日)

自治労連病院評議会が総会

 神奈川県病院事業庁労働組合の機関紙「県病院労組」では、自治労連医療部会定期総会の模様を伝えています。

 今年度の重点課題は、「①『いのちと地域を守る大運動』を引く続き推進する、②医療改悪反対、安全、安心の医療の確保、③自治体で働く医療労働者の労働条件の改善の3点を強調」しています。

 総会の討論では、「地域医療を真持つため、全県的に住民の会を結成し団結を強化した取り組み」「公立病院改革ガイドラインに対する運動」「自治体病院を守る運動を組織強化しつつ、実践している経験」など16人が発言したそうです。

 医労連との連携は、どんな感じなのでしょうか。後で聞いてみましょう。やはり、組織している病院の数からいって、日本医労連がすり寄るべきではないか、とは思います。

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2008年9月20日 (土)

「公立病院経営-その複雑さの探求」 (その2)

 その―つのケースとして"公立病院改革ガイドライゾを採り上げ、そこに見え隠れする初期設定ともいえるイメージを確認してみることにしよう。

 医療の提供効率を高めるという規模の経済性の発揮が可能であるという信念の二つである。

' 地域医療は公のみで行っているにあらず。また、民のみで行っているにあらずなのである。

公共性の発揮を存在の理由として設立されている公立病院の必要性は一層強まることとなるのである。私人の統治下にある民間病院は、残念ながら乗り越えられないのが公共性の発揮という壁なのである。

 一晩に患者を何人診たかより、"そこに居る"ことの社会的意義に気づくべきであろう。しかし、不確実性ヘの対応は、それとは正反対にひたすらコストのかかる取り組みなの.である。

 不確実性に対する社会的コストを誰が負担するのがベストな選択か。自らの私財を投じて社会保険制度の枠組みのなかで経営を維持している民間の医療機関にその責を課すのは酷なはなしであることだけは確かである。

 物事は測れるものと測れないものに大別できるが、それに加えて、測ってはいけないものの存在を忘れてはならない。

 ここに、公立病院の地域医療を"ひっぱる"という政策的な機能を見出すことができるのではなかろうか。
 第二の機能として、"競う"という機能も重要な機能として見落としてはならない。特に都市部にる公立病院にあっては、民間病院と医療領域が重なり合っているケースを目にするところである。

 患者が自由に医療機関を選択できる制度である以上、競合は医療提供体制全体の底上げにつながる合目的的なルールなのである。
 第三に掲げる機能は地域医療を"支える"という政策的機能である。

 これら"ひっぱる"機能、"競う"機能そして"支える"機能という三つの機能は、公立病院のもつ政策的機能である。このような機能を地域社会や地方自治体の運営に対し責任をもたない民間病院に担当させようというのは筋違いなはなしである。"お金がないからやりません。"、"お金がないから民間で。"というのであれば、政府や自治体の存在そのものまで疑わざるをえなくなってしまうのである。二言目には財政問題を持ち出し、思考を停止させてしまう昨今の風潮は嘆かわしい限りである。医療提供者たちが文字通り全身全霊を込めて展開している傍らで、"改革"という大銘を振り回して悦に入っている有力者や有識者たちをみるにつけて憤りばかりが湧いてくるのは筆者だけなのだろう。

 すなわち、公立病院が担うであろう様々な医療機能の対象となるのは住民であるということになり、眼前の患者ばかりを対象とするのでは充分といえないのである。

 都道府県や政令指定都市の場合はというと、先の住民に関する考察に加えて広域|生という概念が重要なカギとして加わる。ここに"広域性"という概念の重要性を見出すことができる。

 中央政府の強権こよってなされる計画的なものでないのである。それぞれの所在する地域の特性を色濃く反映する経営主体と広域のバランスを調整する経営主体の創発的な組織化なのである。

 ある市立病院の副院長との経営会議直前での会話である。
谷田=先生はもしこの病院が民間病院であってもこの病院に赴任してくれていただろうか。

副院長=それはない。

谷田=民間だったら今の年収の2倍、3倍は提示するだろうに。

副院長=カネの問題ではない。カネが欲しければとうの昔に行動している。病院のもつ公共性と医師である自分の論理観が広くオーバーラップするからここにいる。だから当直も夜中に呼び出されることも苦ではない。.

 使命感を持つインテリのプロフェッショナルである医師たちである。財政至上主義的な公立病院のあり方が議論されるとなれば、そしてその判断の主要なメンバーに医療に関する理解者が含まれていないということになれば、その議論の帰結は容易に想像がつくことであろぅ。

 また、公立病院にとって住民は単なる顧客ではない。所有者でもあるのだ。しかし、住民達が自らを公立病院の所有者であるという自覚を持っているかというと疑わしい。院長に任せておけば地域医療も病院経営もなんとかなるという時代は終わった。2I世紀の公立
病院経営は利害関係者の参画が必要不可欠となってくるだろう。

 最後に責任をとらざるをえない住民達が所有者としての自覚と理解を身につけながら模索する問題なのではなかろうか。財政再建は何のために行うのか。財政が再建されればまた公立病院をつくるというのなら、それは医療をハコモノと考える20世紀の発想でしか
ない。いったん失われた文化は元に戻せない。完全に破壊される前に踏みとどまる勇気こそが今まさに求められていることだと確信している。

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2008年9月19日 (金)

谷田一久著 「公立病院経営-その複雑さの探求」全自病協雑誌9月号

 全自病協雑誌9月号に広島国際大学医療福祉学部  医療経営学科の準教授 谷田一久氏が「公立病院経営-その複雑さの探求」という論文を寄せています。谷田さんは、病院経営、公立病院経営などを専門分野とする研究者です。

 タイトルは「寄稿」となっています。なぜ「寄稿」なのか。「昨今の公立病院を取り巻く状況は余りにも悲惨であり、看過するには問題があまりに本質的であると考え、本論文を寄稿することとした次第」であると文中で説明があります。全文紹介したところですが、一部を個人的な感覚で紹介します。

 例によって、数回に分けて、です。

 "聖域なき構造改革"は、戦後、諸先輩たちが営々として築きあげてきたわが国の基盤を破壊してしまったようでさえある。国の基盤とは、国民の生活を保障するものであり、その中でも国民の健康や命を守るというのは基盤中の幕盤であり、それができないようでは国家とは言い難い。国家が国家として体をなすには、最低限守り抜かねばならない領域というものがあると思うし、それを"聖域"として位置づけることで、国家の基盤が形成されることとなる。逆に言えば、聖域のない国家などあり得ないということでもある。残念なことに、このところの改革ブームは、国家や地域の社会的存立基盤を危うくするものばかりのようにさえ感じられてならない。

 筆者が公立病院の経営に関わり始めて15年を経過するが、昨今の公立病院を取り巻く状況は余りにも悲惨であり、看過するには問題があまりに本質的であると考え、本論文を寄稿することとした次第である。少なくとも筆者が経営に関わっている公立病院にあっては、近年、収支の改善のために様々な取り組みをしているのであるが、そう簡単に改善に導くことができない。地域の基幹病院であっても医師は慢性的に不足し、一般会計からの繰入金は減少し、職員の給与は削られる。材料や機器を安く買おうとしても入札至上主義の仕組みがそれを妨げ、揚げ句、わけのわからない政治家やマスコミの正義漢然とした批判に晒されるのである。そして今、公立病院を守るべき立場のはずの総務省はというと、"改革"の掛け声を張り上げて責め立ててくる。四面楚歌ではない。味方からねらい打ちにされているというのが公立病院の現状なのである。

 "民にできることは民で!"というスローガンをそのまま信念にしてしまった人々の口から発せられることが多いようだ。いわく、"公立病院は民間病院と何ら変わりのない医療を提供している。しかるに、民間病院は税金を払い、公立病院は税金を遣っている。不公平で納得がいかない。"というわけである。この単純な比較論は、根本に大きな誤解を孕んでいるのだが、単純であるが故に万人受けしやすいのもまた事実である。あるいは、民業圧迫を唱える人もいる。しかし、公立病院の発展の陰に倒産を余儀なくされたといぅ民間病院のはなしを聞いたことはない。むしろ、大型の公立病院の周辺に民間病院が集積し、連携したり補完し合ったりしているケースのほうが一般的であるようにさえ思える・民業圧迫を唱える人の多くは、将来的に自らの病院が進もうとする領域に既に公立病院が存在し、それに挑むのに相当なリスクが存在するが故にそのリスクを取り除かんとせんがためにする議論なのである。そもそも、公立病院と民間病院とでは適用される法が異なつている。民間病院が税金を納めるのは当たり前であり、また、賞賛されることである。事業を営むにあたりて税金を納めるのがいやなら事業をやめるしかない。医療機関以外の事業者たちからすれば到底理解を得られない世間知らずな主張であろう。

 公立病院に適用される規制の本来的意義は、民間病院を保護することでも、職員の労働条件を改善するためでもない。大目的は住民の命と健康を守ることにあるということを忘れてはならないのである。

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2008年9月18日 (木)

自治体病院協議会でも異論次々 (その3)

 全国自治体病院協議会雑誌の9月号で、各地方会議の報告の紹介の続きです。

 北信越地方会議は、7月17日に開催されました。

 「続いて中島副会長から、『公立病院改革プランの策定に向けて-混沌のなかを堂々と歩いて行こう-』と題し、いろんな意味で先が見えなくなっている状況だが、我々は苦しんでいる人を助けていこうという仕事を選んだ訳であり、公立病院改革プランを策定しなくてはいけない今こそ病院の果たすべき役割を高々と掲げ堂々と立ち向かうべきではないか。またプラン策定に向けて不採算部門の要因分析や経営戦略の明確化等が大事であること。経営形態見直しでは地方独立行政法人化の利点等についてご講演いただいた。」

 公立病院改革プランは、作成を強制されているのでしょうか。総務省はあくまで強制はできない、各開設者が自主的に考え、プランを作成すべきだという立場を取っています。いずれ考えなければならない課題であることは議論をまたないでしょう。しかし、3年、5年、いえいえいプランは来年3月までに作れというスケジュールとか、考えの基本を公立病院改革ガイドラインに置かなければならないことは、まったく強制されてはいません。

 今こそ、「公立病院の果たすべき役割を高々と掲げ堂々と立ち向かうべきではないか」ということを大いに語っていくべきと思います。

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2008年9月17日 (水)

自治体病院協議会でも異論次々 (その2)

 全国自治体病院協議会雑誌の9月号で、各地方会議の報告の紹介の続きです。

 近畿・東海地方会議は7月11日に開催され、総務省自治財政局地域企業経営企業室・濱田称司室長が講演。

 「全国共通課題の『公立病院改革プランの策定』に関してはテーマが重く、医師確保がままならない現状の中でそれぞれの院長の苦悩してる状況が感じられた」

 「公立病院改革プランにどう対処するかに関して、議長の考えを述べた。

 ①府県単位で各圏域における地域医療の必要度、質を検証し、再編・ネットワークを府県主導で決定する(府県に責任を持たせる)。

 ②再編には再編前に病院が消滅していては不可能になる.

 ③地域に必要な病院には大学・大病院から府県の責任で医師を派遣し維持する。それぞれが痛みを分かち合う。

 ④医師派遣においては再編後のバランスを考える。

 ⑤再編・ネットワーク化は公立病院に限定せず、地域全体の視点で、また、「民でできることは民に」ではなく、公でしかできない医療をめざす。

 改革プランは行政主導ではなく、病院主導で、そのためには首長の理解を得る努力が必要と述べた。」

 「全国自治体病院協議会邉見会長による審議内容の総括では、公立病院改革プラン策定に当たっては、決してコンサルに丸投げしないよう、総務省スケジュールどおりではなくても5年後のビジョンを持つことが必要である。知恵が出せなければ汗を流すか血を流す
かして欲しい。一人ひとりの職員が原点に戻り、民間より効率的な病院にと撒をとぽされた。」

 どうも、総務省の公立病院改革ガイドラインありきという対応なのが気になります。最終的には、前会長の小山田さんが、自分たちの意見も取り入れられたもので、推進する、と評価していることが大きな足かせかもしれません。

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2008年9月16日 (火)

自治体病院協議会でも異論次々 全自病協雑誌9月号

 全国自治体病院協議会雑誌の9月号で、各地方会議の報告が掲載されています。

 関東地方会議など、問題が報告されていない地方会議もありますが、異論、疑問も出されています。短い報告文書ですが、いくつか紹介します。

 九州地方会議は7月4日に開催され、総務省大臣官房審議官の栄畑潤氏が講演。直後の質問。「ガイドラインで言われている経営目標、例えば、病床稼働率70%以下が3年以上継続して続いた場合云々のところがあるが、我々自治体病院としては、この先、4年~5年して、果たして何百の病院が潰れていくのか危惧している。総務省としてどういう医提供体制を考えているのか」。回答「地域によって違う。どこの地域もこうだと決めることは出来ない。また総務省が決めるようなものではない。必要なものは残っていくでしょう」。

 あれ、どこかで聞いたフレーズのような・・。まさか福田首相の人ごとコメント?。

 質問=「財政主導形の切り捨てはいかがなものかと考えている」。回答=「財政主導とは言っていない」

 質問(大分県)=「経営目標の給与費対医業収益比率52%の根拠はどこにあるのか、300床以下の病院は地域の医療を担っている病院であるが、52は酷な数値で、不可能であり、地域の医療を担っている病院は公務員からハズレなさいということになる。また、地域の病院はその限りでないのでしたら、じゃーどれだけならいいのか示していただきた」。回答=「一律で出した数字ではない。あくまで参考までに出した数字である。医療機関の立地条件によて異なっていい。いろんな機関をひっくるめて出した機械的な数字ではない。」

 長くなってきたので、次回に続く。

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2008年9月15日 (月)

経済9月号 「イギリスの医療荒廃とブレアの改革」

 雑誌「経済」 9月号で、現代イギリス研究としてイギリスに関するいくつかの論文が掲載され、その1つに「イギリスの医療荒廃とブレアの改革」(近藤克典著)があります。

 一部を紹介します。

 サッチャー政権による医療費抑制が続いた(1979年から約20年間)ことで、イギリスの医療は「医療の荒廃」を招きました。その特徴は「『効率重視』による医療費抑制」であり、「NHS直営方式から独立行政法人NHSトラストに運営を移行して、病院経営の自由度を高めつつ病院間の競争を持ち込んだ。これによって、『医療費を抑えたままでも、医療の質は上がる」とされました。

 例えば「医師の自殺率は他職種の2倍」「1998年4月に130万にいた入院待機者」「癌が疑われてから専門医の診察を2週間以上待つ」などなど。

 ブレア政権の第1期(1997年から2000年)は、「医療費を増やさない医療制度改革」を進めましたが限界があり、第2期からは医療費拡大に転じ、その規模は「1997年度の9.6兆円から、2006年度には21.9兆円へと2.28倍」にもなりました。

 改革の内容は、量的な拡充=例えば、医学部定員を「3,972人から6,326人と59%も増やしている」。質的側面=モニタリング・システムなど。

 しかし、包括払いの拡大など気になる側面もあるようです。

 さて、日本が何を学ぶべきか。やはり、医療崩壊からの復活には、思い切った量的な拡大でしょう。そして近藤氏も指摘している「医療費拡大は公的財源で」ということの徹底だと思います。

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2008年9月14日 (日)

総務省の第1回目の調査報告 4月30日調査

 総務省は、公立病院改革ガイドラインの取り組み状況を調査することとしています。その第1回調査が「公立病院改革プラン策定に係る取組状況について(調査日:平成20年4月30日)」として発表されています。

 なんて素早い対応でしょうか。来年3月までに改革プラン作成というスケジュールからいくと、なるほど、というところです。

 

改革プラン策定に向けた検討体制(657団体)
 「検討・協議の場を既に設置している」が101団体(15.4%)、「既存の組織を活用」が187団体(28.4%)、「設置予定」が203団体(30.9%)、「検討中・未定」が147団体 (22.4%)、「設置せず」が19団体(2.9%)となっている。
プラン策定予定
 「策定済み」は7団体(1.1%)、「平成20年度中に策定の予定」が621団体(94.5%)、「検討中・未定」が28団体(4.3%)、「策定せず」が1団体(0.1%)となっている。

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2008年9月11日 (木)

閉会あいさつ (忙中閑話)

 上部団体の定期大会があり、閉会あいさつをさせられました。せっかくですから、採話。

 世の中、あってもなくてもいいものが少なくなくあり、この閉会のあいさつもその1つかもしれません。新しく信任された役員の初仕事、まあ結婚式なら「夫婦で初めての共同作業」、ケーキカットのようなものでしょうか。カメラのある方、どうぞ遠慮なく前の方へお進み下さい。

 年齢によって退任する役員もいます。懇親会でも、いくつのなったか、など話題になりました。私は、今年も35歳でいこうと思っています。若輩ではありますが、10年前はもう少し若く、髪もふさふさ、床屋に行くのもめんどくさく、髪なんてあってもなくてもいいものと思っていました。しかし、10年経ってみると、ご覧のように髪はなくてはならないものとなっています。

 県立病院は、今で言うところのワーキング・プア、働いても働いてもなお貧しい生活を余儀なくされていた農民が、せめて死ぬときだけでも医者に診てもらいたい、地域になくてはならないものとして、自らの力で作り上げてきたものです。

 しかし、その県立病院を、国はあってもなくてもいい、赤字なら、ベッド利用率が悪ければなくてもいい、そんなことを決めつけてきています。

 これは県立病院だけの問題ではありません。岩手で、地域でどう生きていくのか、幸せに暮らすためにどういう医療体制が必要なのか、が問われています。地域のみなさんといっしょに、さすが岩手医労連、なくてはならない労働組合だ、と言われるよう、いっしょに頑張っていきましょう。

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2008年9月10日 (水)

ペシャワール会 日本人アフガンから撤退

 アフガニスタンで、復興支援していたペシャワール会の伊藤和也さんが亡くなりました。志半ばで、現地の治安悪化で不幸な結果となりました。31歳、若すぎる死、本当に残念です。

 中村哲さんのペシャワール会。その活動から何を学ぶべきでしょうか。

 そもそも、中村医師がアフガニスタンで復興支援に関わりだしのは、「パキスタン北西辺境州ペシャワールのペシャワールミッション病院に赴任。ハンセン病棟にて診療開始」したことがきっかけです。「アフガニスタン東北部山岳地域の無医村における診療にもたずさわって」いきました。そして、ハンセン病などの予防対策のためには、きれいな水が必要だと井戸を掘ることをはじめ、貧困の問題、干ばつの問題を解決しようと用水路を造ることまで始めました(「医師、用水路を拓く」)。医療を突き詰めていくと、病気にならない地域をどう作るかに到達します。「清潔な飲料水と十分な農業生産があれば、病の多くは防ぎ得るものであった」(「医師、用水路を拓く」 まえがき)。

 私たちは、病院に来る患者だけを診ていればいいのでしょうか。病院にかかれない病人が増えてはいなでしょうか。そして、地域に病院がなくなれば、社会的弱者=高齢者や子ども、障害者など=は、ますます医療から阻害されることになり、住み続けることのできない地域になっていまうでしょう。これは、自治体労働者(県職員や市町村職員)にとっても大事な視点であり、そういう意味では県立病院の職員は2重の責務を負っていると思います。

 このまま、公立病院改革ガイドラインを見過ごし、自らの職場に拘泥して「よい医療、看護」をしている、と錯覚してはいけないのではないでしょうか。

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2008年9月 8日 (月)

公立病院事務担当者会議(H20.4.15 於:総務省)での説明より

 ネットをうろうろしていたら、面白い資料を発見しました。:総務省が2008年4月15日に開催した公立病院事務担当者会議での説明をまとめたものです。ひょとして消される前に、転載しておきます。

 経営形態の変更でメリット、デメリット(課題)を示したようで、いずれも万能ではないことを赤裸々に??明らかにしています。

各経営形態のメリットと課題
《公立病院事務担当者会議(H20.4.15 於:総務省)での説明より》

* 地方公営企業法の全部適用
【メリット】
・ 他の経営形態への移行と比べて取り組みやすい。
・ 独自の給与制度をとることが可能。
・ 病院事業管理者を責任者として,予算の策定や運営等について病院内で完結でき,自主性の高い経営が可能。
【課題】
・ 手軽に取り組めるために,「改革をしたふりに終わってしまう」可能性がある。
→ 既に4分の1くらいの病院で全部適用されているが,必ずしも全部適用の方が経営が良いという結果にはなっていない。

* 地方独立行政法人化
【メリット】
・ 非公務員であるため,職員定数に制約されず,弾力的に職員を配置できる.
・ 毎年度の予算を各独立行政法人で決定できる.(※議会には中期的な目標を示し,議決をもらう。)
【課題】
・ 職員が非公務員となる点で調整が必要となる。
・ 過去の事例では,必ずしも地方独立行政法人の方が経営が良いという結果にはなっていない。

* 指定管理者希|度の導入
【メリット】
・ 実際の運営を民間の医療法人等が全面的に代行するため,経営の自由度は極めて高
い。通常の民間病院と同じような運営ができる。
・ -般会計で負担する部分の交付税措置は従前どおり。
【課題】
・ 適切な管理者が見つかるかどうかにかかっている。
→ これまで働いていた職員で,指定管理者となる法人を新たに立ち上げた事例もある。
・ 指定後の実際の運営内容等が,当初の約束と違ってきてしまうという事例が見られる.

* 民間譲渡
【メリット】
・ 民間病院でも十分にやっていけるという環境が整っている場合には、,公民の適切な役割分担が実現される。
・ -般会計の財政負担がなくなる。
【課題】
・ 地域医療の確保に留意が必要となる。
→ 「10年間は継続するニと」などの条件を付けるなどの工夫を。
・ 地方交付税措置がなくなる。(※ただし,ガイドラインには,「繰上償還が猶予された残債相当部分についでは,従来の普通交付税措置を継続する」と明記されている。)

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2008年9月 7日 (日)

自治労が全国大会

 自治労が全国大会を開催したことを8月29日付けしんぶん赤旗が報じています。

 当面の闘争方針では「公立病院の存続などをめざす地域医療キャンペーン(中略)に住民や利用者とともに取り組む」ことを掲げたようです。すばらしい!やはり、自らの身分や労働条件だけでなく、地域住民の医療をまもるたたかいに立ち上がるのが労働組合ですよね。

 「当面の闘争方針」とは、シビアな感じがします。まさに特例債への手上げ、改革プラン作成など、今年度内、もしくは春闘前のたたかいが必要、ということでしょう。

 よーし、がんばろう。(自分に)

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2008年9月 5日 (金)

連合通信が自治労連大会を配信

 自治労連全国大会の様子を、連合通信が伝えています。

 見出しが『「変化を確かな流れに!」/自治労連大会/地域医療守る運動の発展を』となり、ふむふむ、そうだよなー、地域医療を柱にするよなと納得。

 記事では、『長崎県で大会を開き地域医療の維持・拡充など「いのちと地域を守る運動」の発展、非正規労働者の処遇改善と十万人組織化(五年間)を柱とする運動方針を決定した。討論では、公立病院や保育所、学校給食などの廃止・民間委託に対し、住民とともに反対運動を進めている報告が相次いだ。 総務省の「公立病院改革ガイドライン」によって、自治体病院の経営形態の変更・廃止が相次ぐなか、「医師確保を求める署名には長蛇の列。町長も署名を訴えてくれた。31人の医師を確保、4月からは内科の救急医療もできるようになった」(愛知)、「児島市民病院で常勤内科医が相次ぎ退職し、産婦人科医も退職意向。医師確保と正常化にむけて開いたつどいには、児島の医師会会長、民主党議員も参加し、守る会準備会で署名運動を展開中」(岡山・倉敷市職労)などの取り組みが報告された。』としています。

 やはり、参加してみないと分からないこと、伝わらないことは沢山あるものです。

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2008年9月 3日 (水)

医師養成 1.5倍を提言

 「公立病院改革ガイドライン」は、そもそもは経済財政諮問会議による骨太方針2007の中で突然、というか社会保障攻撃の1つとして出されたものです。今年の骨太方針2008では、医師不足の大合唱、私たちの運動によって、経済財政諮問会議をリードしている財界代表をして医師の増員に踏み込まざるを得なかった、そしてまあ、「2)大学医学部の定員を早急に過去最大程度まで増員する。」というささやかな数字を示しました。

 しかし、厚生労働省の「安心と希望の医療確保ビジョン具体化に関する検討会」(座長・高久史麿自治医大学長)では、OECDなどのデータを使い、日本の医師が著しく不足していることを指摘し、将来の医師数をOECDの平均に近づけるために、「現在約7,900人の定員数を、将来的に5割増の約12,000人することをめざすべき」(8月28日付け岩手日報)としました。

 まだ、中間報告であり、政府が実行するかも不透明ですが、画期的な検討会に、検討結果になることを願っています。

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2008年8月31日 (日)

Q&Aが改訂(その3)

 改訂版でもう1つ項目が増えたところがあります。それは当初版では検討するなどとしていた「財政支援措置等」の「再編・ネットワーク化に伴うあたら名医療機器の整備に要する経費」のところです。

 改革プラン作成の経費は普通交付税等で措置、再編するなら割高な医療機器も認める、不良債権解消へ、公立病院特例債の創設などを内容としています。特例債の条件には「給与及び諸手当が適切であること」が条件として追加されています。また、発行年度は「平成20年度に限」って、競争するかのように改革プランの作成を迫っています。

 こうした手法で、自主的に自らの首を絞めるプランを作って、10年後の地域を住めない町にしていいのでしょうか。

 その他A21でPLに関して「実質収支比率」の項目がなくなっています。またA32では医師以外の給与が高いことを言わんがために、「他職種については」平均年齢が高いことと文言を追加しています。

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2008年8月30日 (土)

自治労連が全国大会

 自治労連が、長崎で全国大会を開催しました。事前配布大会議案を見せて頂き、大会での議論にも期待していました。

 8月27日(水)付けしんぶん赤旗に、大会討論の様子が紹介され、地域医療をまもる運動で「たたかいの展望がある」「共同が広がる情勢だ」ということが確認されたようです。

 しかし、新聞の情報からは、発言の地域は北海道、愛媛、愛知と医労連の運動とほぼ重なっている感じ。ただし、兵庫県では「兵庫自治労連と自治労県本部が参加して自治体病院労組連連絡会が7月に発足」との報告は、新しい可能性と展望を感じました。

 28日付けしんぶん赤旗では、「自治労連大会終わる」という記事が掲載されましたが、全体を通じて医療問題、ガイドライン問題が触れられていません。どうだったか、後で聞いてみようと思います。

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2008年8月29日 (金)

Q&Aが改訂(その2)

 改訂版の項目が2つ増えました(76から78項目)。その1つが、経営形態の見直しの所です。

 「選択肢には、『地方独立行政法人(公務員型)』は想定されていないのか」、という設問を増やし、「基本的に想定していない」と切り捨てています。例外は、医療観察法第16条による指定入院医療機関の指定を受けるためには、公務員型である必要はあるが、それ以外はそもそも「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(うわー、長い)では、一般型(非公務員型)への移行を推進している、としています。

 おそらく、大阪府立病院が特定地方独立法人になったことを牽制しての項目だと思われます。

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2008年8月28日 (木)

Q&Aが改訂(その1)

 総務省が出した公立病院改革ガイドライン Q&A(2008年4月15日)の改訂版が7月31日に出されました。

 本体の公立病院改革ガイドラインでは、目標を決めろ、全国状況はこうだ、と書かれています。具体的な目標、数字などは、このQ&Aで示されてきました。例えば、人件費率(正確には「職員給与費対医業収益比率」)は「52%を平成23年までに達成」などです。

 そういえば、このQ&Aそのものの批判も必要かもしれません。が、とりあえず3回に分けて、何が変わったのか紹介します。

 この数値目標の書き方が変わりました。

 当初版では「参考までに一例を挙げれば」となっていましたが、改訂版ではそれに続けて「一例を挙げれ以下のとおりであるが、」「各々の数値及び年度はあくまで一例であるので、具体的な数値目標の水準や年次については各病院の状況に応じて適切に設定されたい」としました。しかし、これで締め付けが弱くなるとは思えません。逆に、「自主的に」決めたのだから、最後まで実施を迫ってくる、ということではないでしょうか。

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2008年8月27日 (水)

地域医療を確保が目的?

 濱田室長の記念講演へのコメントは、これが最後です。

 講演の最後の方で「地域医療を確保していくことが最終的な改革の目的だと思っています」と述べています。ここだけ聞くと、反対する人はいないでしょう。しかし、問題はすでに何度も書きましたが、どうも必要でない病院もある、そんな病院は存続の意味がないという主張の裏返しでしかありません。

 「今ある形を単に守るという姿勢ではいけません」とし、「民間の医療機関が整備されてきているのではないか、あるいは道路の事情も良くなって周辺の医療機関に車であれば短時間で行けるという環境になっているのではないかということも考え」で、「ぜひ自治体病院の果たすべき役割を見直していただきたい」と話しています。

 高齢化の問題はどうなんでしょうか。だれでもが講師のように車で移動できるとでも思っているのでしょうか。まったく異なった前提、総務省のガイドラインで考える「自治体病院の果たすべき役割」を地でいっているのが北海道でしょう。

 強制するな、という声には、あくまで指針であり、計画を立てるのは自治体だ、という逃げがすでに準備されています。住民が、医療労働者が、これに対する回答を、早急に準備することが必要です。

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2008年8月26日 (火)

病院再編で医師不足解消?

 またまた続きです。

 ガイドラインでは、経営の効率化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直しの3つの視点を示しています。

 2つめの再編・ネットワーク化の目的を「昨今の医師不足の問題を考えていく際にも避けて通れない課題」だと位置づけているようです。

 「方向としては2次医療圏などの単位を基本として、基幹病院とサテライト病院といった形での機能分担なり、機能集約、役割分担をしていく体制を考えないといけない」とガイドラインの内容を紹介し、「この再編・ネットワーク化というのは医師確保対策、医師不足対策の意味でも重要なのではないかと考えています。再編により後に基幹病院を創り、地域の医師を出来るだけ集約していくことで、いわゆる医師の過重勤務の問題が少しは解消に向かうと思います。」としています。

 これまでの医師不足となった原因、医学部定数抑制などには触れず、今の医師不足解消を、たとえ地域で病院がなくなって困る国民がいたとしても、医師を引きはがし、基幹病院に集め、労働条件の改善をする、そんなところでしょうか。

 医師不足解消、勤務医の過重労働解消を、こういう方法でやろうという国の考えは、とうてい受け入れることはできません。

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2008年8月25日 (月)

給与水準を下げれば立ち直った?

 一昨日からの続きです。

 どうやって、給与を引き下げるのか。講演では具体的に指南しています。「指定管理者制度を入れて、かなりコストを下げた、あるいは経営もよくしたというケースを聞きますと、看護職員や事務職員の方々の給与水準をかなり下げて、その上で経営はなんとか立ち直ったという例をよく聞きます。逆に言いますと、経営を考える場合には、この問題は一般的に言って避けて通れない課題になるのではないかと思います。」

 今年の人事院勧告では、「霞ヶ関手当」が新設されましたが、国はたしか赤字体質、借金まみれではなかったのでしょうか。自らの所属する組織のことは棚に上げ、給与をさげれば経営改善ができるとは、どうにも怒りが収まりません。

 少なくても、こうした給与体系で、黒字の公立病院もあります。診療報酬の影響が、非常に大きいのも特徴です。それぞれの病院で、違いがあるのに、給与水準を下げることが経営改善の処方箋とは、いかがなものでしょうか。公教育は赤字なんでしょうか、消防はどうでしょうか。どうして医療だけが、赤字だと攻撃されるのでしょうか。

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2008年8月24日 (日)

職員(看護師等)給与が高すぎる?

 昨日の続きで、記念講演の問題点を。

 「以前から様々なご批判を受けている医業費用の方では、やはりコストが大会のではないか」とし、「建物が豪華すぎる」「減価償却費の大きさということで重荷に」「材料費も」などに続いて、「しかし、やはり最も批判を受けるのは給与費の高さだと思います」と展開。

 そしてターゲットは(医師は民間病院より安いが)「それ以外の看護師、検査技師、あるいは事務職員の方々の給与が、平均年齢が高いということはありますが、全般的に高い傾向にあります」とし、看護師などの職員給与を攻撃しています。

 さて、8月といえば人事院勧告の季節でもあります。公務員の給与は、民間の労働者の賃金等を調査し、比較し均衡を取ることを1つの指標にし、今年は官民格差がほとんどない(0.04%136円)から昨年と同じ給料表を使う、とされました。もちろん、人事院の調査は、年齢構成なども考慮して、一定の統計的な資料となっています。では、「民間より高い」という根拠は、いったいなんでしょうか。

 特に都会の大病院では、早期退職が当たり前のようになっているなかで、当然平均年齢の低下、平均給与の低下、総人件費の低下となります。「年齢が高いといことはありますが」などと、年齢に関係なく問題だというのはいかがなものでしょうか。あるいは、看護は、年齢・経験を積むとレベルが下がるのでしょうか。専門職への尊敬が感じられないところです。

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2008年8月23日 (土)

国は予算を削り、地方へ転嫁

 自治体病院協議会雑誌 2008年8月号で、自治体病院協議会総会での総務省自治財政局地域企業経営企画室 濱田室長の記念講演が掲載されています。

 冒頭、「大変厳しい環境の中ですが、一種、反転攻勢をかけていくきっかけとして、公立病院改革プラン作りに取り組んで頂きたいという願いをこめましてお話させていただければと思います」と切り出し、「僻地医療の拠点病院という役割を果たしている病院のシェアで見ますと7割以上」であり、そうしたところは「採算の面から民間が病院の設置をするのは難しいのです」と当たり前のことを言っています。

 しかし、ではどうするのか。国が骨太方針を堅持し、来年度予算でも社会保障費2,200億円の削減を決めたことにはほおかむりし、今回の公立病院改革ガイドラインとリンクする財政健全化法を引き合いに出し、「病院サイドからすれば、それを逆手にとって病院の経営のことを一般会計の方でもしっかり考えていただきたいと申し入れることができるということです。ある意味では、一般会計側からしっかりお金は出してもらって、そのかわり病院の経営の側でもしっかりと経営努力を今まで以上にやっていく、大きなきっかけになるのが今回の健全化法の施行ということになるのではないかと思います」と話しています。

 財政基盤の弱い自治体は、どうするのか。国の責任はどうなっているのか。

 まだまだ、この記念講演は問題を含んでいます。明日に続く。

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2008年8月22日 (金)

改革プランも儲けのネタ

 8月20日付け岩手日報に、野村ホールディングスが病院再編の支援事業強化、改革プラン提案も、との2段記事が掲載されました。

 これは、たしか去年10月に毎日新聞に掲載され、話題となった内容。なぜ今頃、と思い記事を追うと、21日に自治体等関係者200人を対象にシンポジウム開催とのこと。

 すっかり事業者の戦略に乗せられ、提灯記事を書かされた?ということでしょうか。

 まあ、当方の宣伝材料にはなったので、いいことにしましょう。それにしても、こういう業者に委託する事業者が、まさに自らの経営責任を放棄しているという査証では、と思うのですが、どうでしょうか。

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2008年8月20日 (水)

「公立病院改革対策本部」、うらやましい

 一番多く公立病院の労働組合を組織している自治労では、ガイドラインへの見解を出していることはすでに紹介してきました。さらに、公立病院改革対策本部が組織され、総務省との交渉も行っていました。

 総務省は、財政局長が対応。

 公立病院改革対策本部は、地域医療の確保と公立病院の存続のため省庁対策、国会対策などをより一層強化する、としています。

 うーん、うらやましい。

 さて、地方での運動はどうなっているんでしょうか。

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2008年8月19日 (火)

運動の3重苦を打破しよう その3

 最後の問題は、自らの組織を中心とした運動の遅れです。

 言い訳を少ししておくと、定期大会などの準備もあったしなー、ちょっとマンパワー不足だよなー、資料収集で力不足だしなー、上部団体でも資料を作ってくれないし、独法化がメインじゃないし、えーとそれから。。。

 お盆を挟んで、ようやく学習資料を作成。これをもとにチラシも準備中。とりあえず、組織内での学習を先行させ、地域の方々とも学んで行ければ。

 ここが粉砕運動の要です。全国に名をとどろかせるような取り組みにしよう(自分に決意)。

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2008年8月18日 (月)

運動の3重苦を打破しよう その2

 運動を阻む3重苦の2つめは、地方からの運動が組織されないということです。

 これは<その1>にも大きく関連しますが、中央での旗が充分振られないなかで、地方でも運動がなかなか組織されない問題があります。ここでいう地方での運動とは、統一的な、組織的な運動が組織されない、という意味です。

 病院をなくすな、という住民運動は散発的にはあります。しかし、公立病院改革ガイドラインを見据えた運動という点では、どうでしょうか。目の前の病院の存続を求めると言うことは、よく分かります。しかし、その原点にガイドラインがあり、そこへの運動も含めた、展望をもった運動こそ大事だと思います。

 先行している北海道でも、まだ本格的な運動は見えてきていません。

 中央組織があっても、そこと総務省と交渉するだけではガイドラインを阻止することは難しいでしょう。地方からの運動があり、1つ1つの病院の廃止は住民の大きな反対があり、それは1つ2つでなく、全国各地で勃発している、そういう状況があってこそ、中央での交渉にも大きな力になることでしょう。

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2008年8月17日 (日)

運動の3重苦を打破しよう その1

 公立病院改革ガイドラインに反対する運動は、短期間に国民的な運動にする必要がありますが、運動発展上に大きな3重苦が存在します。

 その1つが、攻撃の対象になっている自治体病院の労働組合の中央組織がないということです。国立病院の統廃合計画では、国立病院の労働組合、全医労が全国の運動を組織し、日本医労連という産別組織が運動の旗を振りました。現在進行している社会保険病院の廃止問題では、健保労組が全国で運動を組織し、住民組織の結成、全国連絡会の組織などで、日本医労連と運動を作りつつあります。

 全国的な運動をするためには、資料の収集、資料の作成、チラシの作成、国会議員への要請なども必要になります。運動の中心には、その労働組合本部(東京にある本部)が重要な役割を果たしてきました。

 さて、公立病院に対応する労働組合はどういう状況になっているか。残念ながら統一的な中央組織がありません。一番多くの病院労組を束ねている自治労(「公立病院改革ガイドライン」への自治労見解)は、役場を中心にした組織であり、自治労連も同様です。病院としての産別組織は、日本医労連ですが、自治体病院の労組は、少ないのが実態です。つまり、実質的な中央組織がない、ここに反撃への重要な問題があります。

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2008年8月14日 (木)

発言の紹介 運動の重点に(その5)

 発言の最後です。

 すでに総務省による計画策定実施状況調査が行われ、結果が発表されています。総務省のアドバイザー等による解説セミナーも活発に開催され、再編の荒波を受け、苦闘している自治体、自治体立病院、地域の人々を早急に激励し、総務省・国の施策を変えるたたかいの具体化を求めます。

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2008年8月13日 (水)

発言の紹介 運動の重点に(その4)

 発言の続きです。

 この改革プランが終わったとたん、今回の公立病院改革ガイドラインが発表され、新たに3カ年、5カ年計画を立て得ざるを得なくされています。北海道での再編・ネットワークが問題になっています。この計画は公立病院改革ガイドラインが出される前に発表されたものですが、先取りとも言われています。94の公立病院の38病院を診療所に、9病院を縮小するというものです。いわて労連、岩手自治労連、岩手医労連で岩手県との申し入れ、交渉をした時には、「岩手は戦前からの県立病院のネットワークがある」「国の通りの指針を作るものではない」、「北海道は例外だ」、などと回答していますが、岩手県知事でもあった増田総務大臣が紙智子議員の北海道での広域化・連携構想案に対する感想・国会答弁では、「以前、私が知事をしておりました岩手も大変厳しい状況でございました。経営状況が悪化している、それから医師不足の深刻化、いずれにしてももう待ったなしの状況でございまして、その中で、限られたお医者さんをいかに地域の皆様方の診療に携わっていただくか。そのためにも北海道も大変苦渋の選択だったのかもしれません」とし、北海道の例が岩手でも、そして全国でも強行される危険性が高まっています。

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2008年8月12日 (火)

発言の紹介 運動の重点に(その3)

 発言の続きです。

 岩手県は、戦前から住民が自らの運動で病院を創り、守ってきた歴史があります。それは現在、全国一多い県立病院となり、「せめて死ぬときだけでも病院で」という住民の思いが、「県下にあまねく医療の均霑(きんてん)を」という言葉となり、県立病院創業の精神として県政の中で、住民の中で、そして労働組合の運動のなかに、共通の思いとして受け継がれています。しかし、診療報酬のマイナス改定、患者負担の増大による患者数の激減、深刻な医師不足などによりその経営は厳しい状況となり、5年前にこのままでは資金ショートを起こす、とし、回避するための改革プランが策定され、5つの病院が診療所にされ、さらに5つの病院の病棟閉鎖も行われました。事務局機能や検査業務の集約化なども行われ、300人以上の職員が減らされました。労働組合では、改革プランに反対する運動に取り組むとともに、病院の診療所化では当該地域に住民組織を立ち上げ、人口2,300人の大迫町では100人を超える守る会を組織し、人口を上回る県議会請願署名やバス10台で300人が県民集会に参加するなどの運動を行い、4回の県議会で請願を否決させず継続扱いとしました。年度末ぎりぎりの2月県議会で、残念ながら否決されましたが、医師確保、診療機能は低下させないなどの、議員発議の意見書が付けられました。

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2008年8月11日 (月)

発言の紹介 運動の重点に(その2)

 発言の続きです。

 しかし、肝心の今後2年間の「重点課題と具体的な運動」(第5章)では、なんら具体的方向が示されていません。昨年12月に総務省が「公立病院改革ガイドライン」を発表し、財政措置の具体化、ガイドラインQ&Aの発表、全国調査の発表など、今年度中の計画作成を強引に、強力に推進していることに比べると、なんとも情勢の緊急性にマッチしていない方針かと、残念に思います。
 全国交流集会という、これまでにない取り組みでは、自治労連、日本医労連の大きなリーダーシップがあったと聞いています。この2つの産別を中心にしながら、全国の運動を激励する集会などを適切に配置・計画することを求めます。

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2008年8月10日 (日)

発言の紹介 運動の重点に(その1)

 なんとなく、夏季休暇です。ブログも、ネタ切れ?、情熱切れ?

 いえいえ、まだまだ頑張ります。

 とりあえず、これまで会議等で発言してきたことを、ちょっと重複しますが紹介(ホントは、記録として残しておく)します。

 時系列でいくと、まずは某ナショナルセンターでの文書発言です。

 第1章の「2年間の運動の到達点の特徴と明らかになった課題」4.(4)で「医師、看護師不足を原因とする医療体制の不備が明らかに」なったことを確認し、6月22日には全労連として初めて「地域医療を守り充実する運動全国交流集会」を開催しました。その画期的な成果は、第4章の「2年間の運動の基本方向」の1の(2)2)で、「相互の運動や統一した取り組み課題、ゾーンの設定などで全労連の役割を発揮する」、「当面、全国的な課題となっている地域医療・公立病院守れの取り組みの全国的な展開をめざす」としています。「画期的な集会だ」という主催者あいさつで始まった全国交流集会は、ここに一定の成果を上げたと思われます。

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2008年8月 9日 (土)

地域に必要な体制は

 「公立病院改革セミナー」では、北海道を細かく分け、その地域での必要な医療を、診療科の医師の数、病院、療養病床などを含めて分析したものが発表されました。再編なんて、とんでもないということが言えます。

 しかし、必要な医療、医師の招へいは、誰がどのように実現するのでしょうか。映画「シッコ」で紹介されたキューバという国であれば可能かもしれません。NHSのイギリスはどうでしょう。しかし、日本ではどうか。

 まさに公立病院の出番ではないでしょうか。

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2008年8月 8日 (金)

帰納法か演繹法か

 「公立病院改革セミナー」では、ナマの長さんを見ることができました。パネラー等の個別の病院については、そこをなくせと言っているのではない、という一方で、私が見てきた病院は改革が必要だった、なくしてはだめな病院もあったが、そこは公設民営で残した、という言い方が気になりました。

 たしかに、私よりはるかに沢山の、それも危機的な公立病院を回り、その経験を帰納法的にまとめたものが公立病院改革ガイドラインなのかもしれません。しかし、それは全国約1,000の公立病院のモデルになりえるのでしょうか。

 まったくの外からの、あるいは東京から見て、なくしてもいい病院だと思われた病院が地域医療の要であり、なくすことができなかった現実をどう評価し、一般化するのか。そこを抜きに、公立病院改革ガイドラインが1人歩きする危機感を、長さんは持っていないようです。そこに住んでいる住民、病院を利用している、生活している地域を見ずに、「真に必要」かの判断をされては大変です。

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2008年8月 7日 (木)

誰が「真に必要」かを決めるのか

 「公立病院改革セミナー」では、ガイドラインで言うところの「真に必要」な医療機関を誰が決めるのか、という問題提起もありました。

 芽室病院長の宮本さんは、それは住民だと明快。しかし、ガイドラインでは、病床利用率とか、赤字・黒字か、さまざま指標をあげつつ、国が決めてやるという姿勢がありあり。芽室町では、3月8日に「地域で守ろう町立病院」という住民集会が開催されたとのこと。その内容は、町のホームページに町報として記録されています。

 上からの再編・ネットワークは、こうした地域医療をささえる医師や医療スタッフ、首長、そしてなによりも住民の声を聞かないところに特徴があります。どういう医療が必要か、それはそこに住み、そこで生活し、そこで死んでいく住民こそが決めるべき事だと思います。

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2008年8月 6日 (水)

憲法第25条の理想実現へ

 「公立病院改革セミナー」で印象に残った提言は、ガイドラインは25条違反ではないか、我々は25条の「普通の生活」を保証するため、地域で頑張っている、という芽室病院長の言葉です。

 国に先駆けて老人医療の無料化を実施した旧沢内村の深沢村長は、「(無料化が違法だと)裁判されるなら受けて立つ。憲法に照らして、わたしは絶対に負けない。本来国がやるべきことをやっていない。だから沢内がやるんだ。国は必ずあとからついてくる」と高らかに宣言したと伝えられています。ここに憲法25条の理想を実現しようという強い意志を感じます。

 今、憲法9条を変える動きが強まっています。現実がもう自衛隊という軍隊が存在しているではないか、国際紛争は武力なしに解決できないところまで来ているではないかと。しかし、憲法は現実を示めしているのではなく、日本がめざすべき理想を指し示しているのではないでしょうか。憲法25条のめざす地域医療、現状追認のガイドラインとはとうてい交わりようがないものであることは、疑いの余地がありません。

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2008年8月 5日 (火)

上からの再編に潜む危険

 「公立病院改革セミナー」では、再編・ネットワークの推進が誇らしく語られていました。医師不足の中で、一定の集約化の必要性も理解できないわけではありません。その一方で岩手県釜石とか、山形県酒田などで医局・大学の違いによる医師離れも起きています。

 「医療崩壊はこうすれば防げる!」(マイリストに表示)では、今話題の兵庫県丹波地方での小児科医師を守る会の活動によって勤務医を続けることを決めた和久さんが、 「小児医療崩壊を防いだ実例を見よ!~絶望の辞職宣言からの奇跡」 と題し書かれています。その和久さんが、勤務を辞める時の最後の背中を押したのが、一方的に進められた医師の集約化だたそうです。ここに上からの集約化、再編・ネットワークの危険性があるように思います。

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2008年8月 4日 (月)

地方公営企業は時代遅れか

  「公立病院改革セミナー」では、ガイドラインは憲法25条違反ではないか、という指摘もパネラーからありました。「どういう法律に基づいているのか」、という問いに対して、長さんは「もともと公営企業は地方公営企業法で経営最優先となっている、それをガイドラインで示した」と回答しています。

 しかし、地方公営企業法第3条では、経営の基本原則について「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。 」としています。本来の目的は「公共の福祉」の増進のはずが、長さんが読むと「企業の経済性」、つまり黒字の追求が最優先となる、国(総務省)も寄りかかる。あらためて、憲法の理想に近づく努力を、「公」がすべきではないかと思います。

 なお、地方公営企業法では、第5条の2で「国の配慮」を「国の行政機関の長は、地方公営企業の業務に関する処分その他の事務の執行にあたつては、すみやかに適切な措置を講ずる等地方公営企業の健全な運営が図られるように配慮するものとする」。今回のガイドラインは、この適切な措置なんでしょうかね。

 地方公営企業は時代遅れなのか?

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2008年8月 3日 (日)

北海道は特別な対応か?

 「公立病院改悪セミナー」あれ、指が・・「改革セミナー」で気になったことを先に紹介。ガイドラインの大元を作った「総務省公立病院改革懇談会」座長の長さんから、「沖縄と北海道は特別な対応が必要だ、ということを念頭にプランを作った」、北海道病院協会理事長の徳田さんからも「北海道は別枠だ、ガイドラインにとらわれずに考えていくべき」という発言がありました。
 しかし、作った方の元を離れ、国(総務省)の方針となったものは、それを推進する国の考えも聞かなくてはなりません。2月5日の第169回国会・予算特別委員会で紙智子議員が聞いています。紙議員「北海道が国のガイドラインを先取りした形で自治体病院の広域化・連携構想案というのを出しました。九十四公立病院があるわけですけれども、そのうち三十八病院を診療所化する、九病院は規模縮小を求めるもの」だ、「国民が安心できる、あるいは患者本位の医療体制というふうに言えるのかなと。この辺についてちょっと感想をお聞きしたい」と追及したところ、増田総務大臣は「北海道の個別のことも私どももいろいろお聞きをしております。そもそも、以前、私が知事をしておりました岩手も大変厳しい状況でございました。経営状況が悪化している、それから医師不足の深刻化、いずれにしてももう待ったなしの状況でございまして、その中で、限られたお医者さんをいかに地域の皆様方の診療に携わっていただくか。そのためには、北海道も大変苦渋の選択だったのかもしれませんが、道が中心になってそうした再編とネットワーク化ということに踏み出されたということでございます」と応え、北海道が特別だという認識はみじんも示していません。おまけに、岩手も北海道と同じく大変だというよけいな感想まで披露しています。
 国(総務省)は、全国一律にガイドラインでの計画策定を求め、その期限が近づいています。うちの地域は別だ、特別だと言っている場合ではないと思います。

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2008年8月 2日 (土)

札幌へ遠征中

 現在、札幌市内をうろうろ。全日本病院協会北海道支部などが主催する「公立病院改革セミナー」に遠征。諸般の事情で、0泊3日の強行軍。0泊といっても、一応寝台(でも急行寝台)。8月2日朝6時に札幌に着き、大通り方面をぶらつきましたが、そんな時間に開いているのはコンビニとネットカフェ。しかたなく、ネットカフェの3時間パックで時間つぶし(なんとマッサージチェアーでした)をし、昼は札幌ラーメンで腹ごなし。小ホールは、時間に合わせたかのように満席になりました。夕方は、お金の節約でネットカフェも利用せず、駅をぶらぶら。うー、待合室くらい整備してー。
 刺激的な内容は、明日に報告しましょう。

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2008年8月 1日 (金)

総務省のガイドラインとは

 もう1つの「ガイドライン」とは、総務省(自治体病院等を管轄する省庁)が、昨年12月に発表した「公立病院改革ガイドライン(全文 PDF)」「ガイドラインの概要版(PDF)」もの。「地域において必要な医療提供体制の確保を図る」ことと基本としているとしていますが、すぐ次に「真に必要な公立病院」は継続して提供するとして、全ての自治体病院、公立病院を守るのではなく、選別することが明らかです。そして、どの病院を残すのかという基準を、国(総務省)が一方的に決め、各都道府県、自治体病院設置者に、国の意向にそった計画を「自主的」に立てるよう、事実上強制しているものです。小樽ジャーナルWEB版では「このガイドラインに則った改革プランの作成を義務付けられることになった」と紹介しています。

 例えば、病床利用率が3年連続で70%を切っている病院は診療所にするよう求めています。また、病院はさまざまな専門職の人が集合してサービスを提供するにもかかわらず、人件費を一律に制限することなども盛り込まれています。

 しかし、一番の問題は、北海道の計画のように、自治体病院の再編・ネットワークの強制だと思われます。

 だんだん、紹介していきます。

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勇ましいタイトルですが

 はじめまして。

 某労働組合の中央本部定期大会で、「運動の3重苦を臨時革命評議会で打開を」と提言しましたが、取り上げてもらえませんでした。大きな運動方向は問題がなく、方針には賛成を投じましたが、思いはつのるばかり。

 そこで、2008年7月31日 ブログでの発信を思いつきました。

 そもそも「臨時革命評議会」とは何か、を説明する必要があるでしょう。あまり厳密なものではありません。「臨時」=常設ではなく、いまの緊急の運動に必要な組織を臨時的に創る、「革命」=超法規的なもの、規約にもない組織であり、一定の権力、財政を掌握する組織、「評議会」=個人独裁ではなく、一定の団体共闘のようなもの、というイメージを重ね合わせたものです。

 ひょっとして途中でタイトルを変更するかもしれませんが、それいけ!

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東奥日報社説

公立病院改革待ったなし/西北五の地域医療 2008年2月29日 東奥日報

 五所川原市、つがる市、鯵ケ沢町、深浦町、鶴田町、中泊町で構成するつがる西北五広域連合(連合長・平山誠敏五所川原市長)は正副連合長会議で、西北五地域の自治体病院機能再編成について、今年九月末をめどに新しい計画を決定することを決めた。これにより、事実上ストップしていた再編成は、計画実現に向けて再スタートを切ることになる。

 圏域の自治体病院機能再編成計画は、当初から“産みの苦しみ”の連続だった。

 再編成の柱となる中核病院は西北中央病院に代わる基幹病院で、当初の計画では概算建設費約百九十九億円、四百九十二の病床数を予定していた。しかし、各自治体が財政難のため、費用の調達が不透明になり、二〇〇七年三月には中核病院の基本設計者の選定作業も白紙に戻っていた。

 また、残る公立金木、鯵ケ沢中央、鶴田中央、つがる市成人病センターについて、どの病院を後方支援病院にし、どこを無床診療所化するか決まっておらず、計画は宙に浮いていた。

 その結果、広域連合は国が示した公立病院改革ガイドラインに沿って、再編成計画全体を練り直すことになったわけだが、中核病院の整備計画は当初より大幅に遅れている。国は〇八年度中に公立病院改革プランを策定するよう求めており、西北五地域も改革は待ったなしの状況になっている。

 広域連合は再編成計画の見直しに伴い、〇八年度の作業スケジュールを決めた。この中で、医療機能の在り方を再検討するため、新たに圏域の五自治体病院長らで組織する「病院長会議」が設置されることになった。病院長会議は四月から六月にかけ、中核病院の規模縮小や各既存病院の機能分担を検討することになるという。

 その後、再編後の収支計画を検討し、七月末をめどに正副連合長会議で再編案や再編後の運営費などの負担割合を承認した上で、九月末をめどに再編成計画を決める方針だ。

 再編成計画に当たっては、病院長会議の役割が重要になってくる。実効性のある計画を練るためにも会議には一線の医師も参画させて、医療現場の声を反映してほしい。

 計画決定を受け、各病院設置者は十二月をめどに病院改革プランを策定することになるが、一方で課題も少なくない。

 最も大きい課題は医師確保対策だ。圏域内の鯵ケ沢中央病院は内科医減少で診療体制の縮小が懸念されている。機能再編成を進める上で、いかにして医師を引っ張ってくるか。給与水準をアップさせるなど医師の待遇改善に投資することも考えなくてはならない。

 医師不足、患者の減少などで県内の自治体病院は不良債務を抱え、厳しい経営を強いられている。これは西北五も同様だ。

 自治体病院を再編成した結果、赤字に苦しむのでは元も子もない。各病院の現状を検証し、必要があればコストを大胆に削減するなど合理的・機能的な再編成が必要だ。同時に、病院を利用する住民自身も地域医療の問題点を主体的に考えることが求められている。

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河北新聞社説

河北新報:社説 2008年7月29日
公立病院改革/地域医療守る創意工夫を

 地方自治体が運営する全国の公立病院が、総務省の公立病院改革ガイドラインに従い、経営健全化に向けた改革プランを2008年度中に作成する。
 特に市町村が運営する公立病院は、多くが経営難に直面している。プランには病床利用率などの指標について数値目標を盛り込むことも義務付けられ、各病院はプランに沿って3年以内の黒字経営化を目指す。
 ガイドラインは、病床利用率が過去3年連続で70%未満の病院に、病床数の削減や診療所への転換など抜本改革を迫る。例えば宮城県内の公立病院の病床利用率は平均77%(06年度)で、50%前後に低迷する病院も多い。ハードルはかなり高いが、地域医療を守るためにも、各公立病院にはこれまで以上の経営努力と創意工夫を求めたい。
 全国で公立病院経営が赤字の自治体は77%(06年度)。東北では、公立病院を運営する市町村が一部事務組合を含め91団体あり、このうち76%の69団体で病院経営が赤字だった。医師不足などを背景に患者数が減少する一方、人件費など経費の削減は進まず、多くが慢性的な赤字経営に陥っている。
 自治体の一般会計から助け舟を出してもらえる恵まれた環境が、経営力を弱める要因になってきたとの指摘もある。
 病院などの公営事業は自治体の「隠れ赤字」の原因になっており、国は自治体財政健全化法で、一般会計に公営企業会計も加えて赤字割合を示す連結型の指標の公表を、08年度決算から自治体に義務付けた。ガイドラインによる公立病院経営へのてこ入れは、市町村の財政破たんを防ぐための自治体財政改善策の一環という側面も持つ。
 東北では06年度、公立病院を運営する28団体(全体の31%)が病院経営で不良債務を抱えた。各県の不良債務総額は青森の156億6000万円がトップ。秋田は最少の7700万円だったが、「一般会計からの繰り入れでしのいだ」(秋田県市町村課)というのが現実だ。
 改革プランには、経常収支比率も数値目標に盛り込むよう義務付けられている。ガイドラインは100%を上回る目標設定を想定しているが、東北各県平均の経常収支比率(06年度)は96.6-90.9%。病院によっては50%前後という深刻な状況もあり、改革プランづくりは容易でない。
 東北の公立病院は多くが過疎地の地域医療を支えている。経営効率だけで判断するのは住民サービス維持の点で危険であり、ガイドラインの運用には柔軟性も求めたい。
 ただ公立病院側に、最後は自治体財政が赤字を補てんしてくれる、といった甘い体質があるとしたら、一掃しなければならない。
 経営破たん寸前だった公立志津川病院(宮城県南三陸町)は地道な医師確保と経費削減が実を結び、1994年に10億円を超えた不良債務が、07年度決算で全額解消される見通しとなった。過疎地の公立病院も経営感覚次第で再生できることを、志津川病院は教えてくれた。   

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